2024.4.24: SAP、2024年度第1四半期の業績を発表
(本リリースは、4月22日に弊社本社から発表された発表文の抄訳です)
SAP SE(NYSE:SAP)は、2024年3月31日に終了した2024年度第1四半期の業績を発表しました。本資料は、SAP SEが発行している「Quarterly Statement Q1 2024」のサマリーです。詳細はリンク先のオリジナル資料をご参照ください。
- クラウド売上は24%増、固定通貨換算ベースでは25%増。Cloud ERP Suite売上32%増(固定通貨換算ベース)が下支え
- カレント・クラウド・バックログは142億ユーロで27%増、固定通貨換算ベースで28%増クラウドの総利益はIFRSベースで27%増、Non-IFRSベースで27%増、固定通貨換算ベースでは28%増
- リストラクチャリング引当金22億ユーロの計上により、IFRSベースの営業損失は-8億ユーロ
- Non-IFRSベースの営業利益は16%増、固定通貨換算ベースでは19%増(株価の大幅上昇による株式ベースの報酬増を含む)
- 2024年の見通しは据え置き
SAP CEOのクリスチャン・クライン(Christian Klein)は、次のように述べています。「2024年は、すばらしいスタートを切ることができました。私たちはこのまま、本年度の目標を達成できると確信しています。今後、Business AI、クラウドポートフォリオのクロスセル、中堅市場をはじめとする新規顧客の獲得など、強力な成長要因があります。当社のカレント・クラウド・バッグログが記録的な成長率に達していることは、その勢いを証明するものです。当社の変革プログラムも順調に進んでいますので、この成長を支え、効率性を高めるものになるでしょう」
SAP CFOのドミニク・アサム(Dominik Asam)は、次のように述べています。「当社は第1四半期に、変革プログラムの導入を円滑に開始、これにより費用と売上増を切り離しつつ、Business AIの案件に投資を集中させることができています。また、市場が長期的に統合クラウドソリューションへシフトしていることを反映して、Cloud ERP Suiteの成長の勢いが衰えないことを大変喜ばしく思っています」
業績ハイライト
2024年度第1四半期
第1四半期、SAPのクラウドの勢いはさらに加速し、カレント・クラウド・バックログは引き続き固定通貨換算ベースで1パーセンテージポイント増となりました。カレント・クラウド・バックログは27%増の141億8,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは28%増となり、過去最速の伸びとなりました。クラウド売上は24%増の39億3,000万ユーロ、固定通貨換算ベースでは25%増となりました。これは主に、Cloud ERP Suiteの売上31%増(固定通貨換算ベースでは32%増)がけん引役となったものです。
ソフトウェアライセンスの売上は26%減の2億300万ユーロ、固定通貨換算ベースで25%減でした。クラウドおよびソフトウェアの売上は、9%増の69億6,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで11%増となりました。サービス売上は横ばいの10億8,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで1%増となりました。総売上は、8%増の80億4,000万ユーロ、固定通貨換算ベースで9%増となりました。
第1四半期の予測性の高い売上の比率は、2パーセンテージポイント増の84%に達しました。クラウド総利益はIFRSベースで27%増の28億4,000万ユーロ、Non-IFRSベースで7%増の28億5,000万ユーロ、固定通貨換算のNon-IFRSベースでは28%増でした。
第1四半期のIFRSベースの営業利益は、2024年変革プログラムに関連した22億ユーロのリストラクチャリング引当金計上による影響を受けました。この結果、IFRSベースの営業損失は-7億8,700万ユーロとなりました。Non-IFRSベースの営業利益は、16%増(固定通貨換算ベースで19%増)の15億3,000万ユーロでした。Non-IFRSベースの営業利益の伸びは、主に第1四半期中の株価の大幅上昇による株式報酬の1億ユーロの増加によりマイナスの影響を受けました。
IFRSベースの1株当たり利益(基本)は-0.71ユーロ、Non-IFRSベースの1株当たり利益(基本)は8%増の0.81ユーロでした。IFRSベースの実効税率は16.0%(前年同期:40.5%)、Non-IFRSベースの実効税率は32.4%(前年同期:29.1%)でした。前年同期比の変動はいずれも、リストラクチャリングに伴う2024年の税務上の欠損金により、ドイツにおける源泉徴収税が一時的に相殺できなくなったことが主因です。この不利な影響は、控除対象外費用の増減により一部補われました。
第1四半期のフリーキャッシュフローは28%増の24億9,000万ユーロでした。支払額の増加は主にコンプライアンス関連事項および利息に起因するものでしたが、プラスとなった主な要因は、収益性の向上、運転資本の改善、そして設備投資およびリースの支払額の減少でした。
自社株買いプログラム
2023年5月、SAPは、総額50億ユーロを上限とする、期間2025年12月31日までの自社株買いプログラムを発表しました。2024年3月31日現在、SAPは同プログラムに基づき、平均価格137.62ユーロで10,024,841株の自社株買いを行い、購入総額はおよそ13億8,000万ユーロでした。
2024年度変革プログラム:事業の拡張性と主要な戦略的成長分野への集中
2024年、SAPは主要な戦略的成長分野、特にビジネスAIへの注力をさらに進める予定です。また、組織シナジーやAI活用による効率化を目指すとともに、拡張性の高い将来の収益拡大に備えるため、組織構造の変革を進めています。
このため、1月に発表されたように、SAPは全社的なリストラクチャリングプログラムを実施しており、2025年初頭に終了する予定です。このリストラクチャリングは、SAPのスキルセットとリソースが将来のビジネスニーズに対応し続けられるようにすることを目的としており、約8,000のポジションに影響が及ぶと予想されますが、その大半は希望退職制度と社内のリスキリング対策によってカバーされる予定です。また、戦略的成長分野への再投資により、SAPは、2024年末には2023年末と同レベルの人員数になると予測しています。
第1四半期には22億ユーロのリストラクチャリング引当金が計上され、これは同プログラムのリストラクチャリング費用総額の大半をカバーする見込みです。この引当金には、第1四半期の株価上昇による離職者の株式報酬への影響、および米国における早期退職優遇制度に応募した対象従業員が多かったことを受けての費用の増加が含まれています。
一部の地域(特にドイツ)における早期退職優遇制度への応募率および正確な条件が現時点では不明であるため、SAPは、プログラムの実施がさらに進んだ時点で、リストラクチャリング費用およびキャッシュアウトフローに関する最新情報を提供する予定です。
ビジネスハイライト
第1四半期に、エンド・ツー・エンドのビジネス変革を推進するために「RISE with SAP」を選択いただいた世界各国のお客様には、Brussels Regional Public Service、Clearway Energy Group、Curtiss-Wright、Fresenius、Ineos Europe、Lindt & Sprüngli、LyondellBasell、MAHLE International、Public Power Corporation、SKF Group、住友重機械工業株式会社、富士通株式会社、Sutherland、Velliv、ZF Friedrichshafen、Zoetisなどがあります。
また、Foodstuffs South Island、Havells India、PureTech Scientific、Randoncorp、および Stuttgart Netzeが、第1四半期にSAP S/4HANA(R) Cloudの本稼働を開始しました。
さらに、Aleron Shared Resources、American Printing House for the Blind、Centrale del Latte di Roma、Churchill Downs Incorporated、Climeworks、Ironwood Pharmaceuticals、MaxiTRANS、SFC Energy、およびUnicoには、クラウドERPのスピーディかつ予測可能な導入を継続的イノベーションにより支援する中堅企業向けのサービス「GROW with SAP」をお選びいただきました。
SAPのソリューションポートフォリオをお選びいただいた主なお客様としては、Cintas、FrieslandCampina、LEONI、Maersk、Rabobank、Schaeffler Group、Sky、Vaillant Groupなどがあります。
また、ALDO Group、BARMER、Coca-Cola Europacific Partners、Dell、大韓商工会議所などのお客様がSAPソリューションの本稼働を開始しました。
第1四半期におけるSAPのクラウド売上の実績は、APJ(アジア太平洋)とEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域で特に好調で、南北中央アメリカ地域でも堅調でした。クラウド売上の成長率は、ブラジル、カナダ、ドイツ、イタリア、アラブ首長国連邦、インド、韓国で顕著で、米国、日本、スペインは特に好調でした。
SAPは、2023年度の配当金として、1株あたり2.20ユーロを提案しました。これは2022年度の普通配当と比較して前年比7%の増加となります。この配当は、2024年5月15日に開催予定の年次総会での株主の承認が条件となります。
2月11日、SAPは、SAP SEのスーパー・バイザリー・ボードがペッカ・アラ・ピエティラ(Pekka Ala-Pietilä)氏をスーパー・バイザリー・ボードの新メンバーとして立候補させ、ペッカ・アラ・ピエティラ氏を現会長ハッソ・プラットナー博士(Prof. Dr. Hasso Plattner)の後継者として指名することを発表しました。
2月29日、SAPは、2023年12月31日に終了した年度のSAP年次報告書(Form 20-F)を米国証券取引委員会(SEC)に提出し、2023年SAP統合報告書が www.sapintegratedreport.com からオンラインでアクセス可能になったことを発表しました。
3月6日に、SAPは、AI時代における、より深いインサイト、よりスピーディな成長、より高い効率化を実現するためにデータを最大限に活用する革新的なデータイノベーションを発表しました。新しい生成AI機能を含むSAP(R) Datasphereソリューションの新機能は、シンプルなデータランドスケープとより直感的なデータのやり取りを通じて、エンタープライズプランニングに変革をもたらします。
3月15日、TauliaとVisaは、世界中の企業がエンベデッドファイナンスを利用できるようにするための新たなパートナーシップを発表しました。
3月18日、SAPとNVIDIAは、SAPクラウドソリューションとアプリケーションのポートフォリオ全体で、企業顧客がデータと生成AIの変革力をスピーディに利用できるようにするためのパートナーシップの拡大を発表しました。
3月20日、SAPは、ムーディーズが長期発行体格付をA2からA1へ、無担保普通社債格付をA2からA1へ、無担保普通社債MTNプログラム格付を(P)A2から(P)A1へ格上げしたとの報告を受けました。同時に、短期発行体格付はP-1に据え置かれ、格付の見通しは「ポジティブ」から「安定的」に変更されました。
財務見通し
SAPの2024年財務見通しは、SAPが更新したNon-IFRSの利益指標の定義に基づいており、2024年以降の株式報酬費用を含み、株式損益(純額)を除くものになっています。詳細については、当社の Investor Relations WebサイトのReporting Frameworkセクション( https://www.sap.com/investors/performance-measures )をご覧ください。
2024年について、SAPは引き続き次のように予想しています。
- クラウド売上は、固定通貨換算ベースで170億~173億ユーロ(2023年度:136億6,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで24%~27%増となる見込みです。
- クラウドおよびソフトウェアの売上は、固定通貨換算ベースで290億~295億ユーロ(2023年度:269億2,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで8%~10%増となる見込みです。
- 営業利益は、Non-IFRSの固定通貨換算ベースで76~79億ユーロ(2023年度:65億1,000万ユーロ)、固定通貨換算ベースで17%~21%増となる見込みです。
- フリーキャッシュフローは、約35億ユーロ(2023年度:50億9,000万ユーロ)。
- 実効税率(Non-IFRS)は約32%(2023年:最新の税率定義(Non-IFRS)に基づくと30.3%)。
財務以外の見通し
2024年について、SAPは引き続き次のように予想しています。
- 顧客ネット・プロモーター・スコアで、9~13。
- 従業員エンゲージメント指数で、76%~80%。
- 2030年までに二酸化酸素排出量ネットゼロを達成するという当社の目標に沿って、関連するバリューチェーン全体で二酸化炭素排出量を着実に削減。
- 役員に占める女性の割合を、2027年度末の目標である25%の達成に向け、着実に増大。
追加情報
本プレスリリースおよびそこに含まれるすべての情報は予備的であり未監査です。四捨五入しているため、数値の合計は正確でない場合があります。
SAPの業績指標 :当社の主要な成長指標と業績指標、その算出方法、その有用性、およびその限界に関する詳細については、当社のInvestor RelationsのWebサイト( https://www.sap.com/investors/performance-measures )をご覧ください。
以上
SAPについて
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