(本リリースは、5月4日に弊社本社から発表された発表文の抄訳です)

SAP SE(NYSE: SAP、以下SAP)と、表形式データ向け基盤モデル「Tabular Foundation Models(TFMs)」のパイオニアであるPrior Labsは、SAPがPrior Labsを買収する最終合意に至ったことを発表しました。本買収により、SAPはERPなどに蓄積された、販売、購買、在庫、会計などの構造化された業務データをもとに予測インサイトを提供する独自のAIモデル「SAP-RPT-1」で開始したTFM分野での取り組みを加速するとともに、世界有数のTFM研究チームをSAPグループに迎え入れます。

Prior Labsは、買収後も独立した組織として運営を継続します。SAPは今後4年間で10億ユーロ超を投資し、同社を企業の基幹業務を支える構造化データ向けの世界有数のフロンティアAI研究機関へと発展させる計画です。なお、本取引条件は非公開であり、買収の完了は規制当局による承認を前提としています。

大規模言語モデル(LLM)は、テーブルや数値、統計といった構造化データの理解が限定的であり、ビジネスデータに基づく精度の高い予測には課題があります。一方、TFMはこうしたデータに特化して設計されており、支払い遅延、サプライヤーリスク、アップセル機会、解約リスクなどを高精度に予測できます。

SAPの最高技術責任者(CTO)であるフィリップ・ハーツィク(Philipp Herzig)は、次のように述べています。「SAPは早い段階から、エンタープライズAIにおける最大の未開拓領域はLLMではなく、企業の基幹業務を支える構造化データに特化したAIであると認識していました。SAP-RPT-1は、その考えを実証するために開発されました。Prior Labsは公的ベンチマークで優れたTFMを開発し、この分野をリードする研究チームを有しています。

これらの先進的なモデルとSAPのデータおよび顧客基盤を組み合わせることで、世界市場をリードしていきます」

Prior LabsのCEOであるフランク・フッター(Frank Hutter)氏は、次のように述べています。
「過去18カ月間で、当社はTFM分野における研究開発を加速させる卓越したチームを築き上げてきました。SAPグループに加わることで、リソースやデータ環境、顧客基盤を活用し、この分野の可能性を最大限に引き出すことが可能になります」

本取引完了後、SAPはPrior Labsとともに業界をリードするAI研究ラボを構築し、TFMという新たなカテゴリーの確立を目指します。同研究組織は研究の俊敏性確保のため独立性を維持しつつ、SAPは長期的な投資とともに、SAP(R) AI CoreやSAP(R) Business Data Cloud、さらにはJouleによるエージェント型AIレイヤー通じて、研究成果の製品化を推進していきます。

Prior LabsのTabPFNは、300万件を超えるダウンロード実績を持ち、表形式データ向けAIのオープンソースツールとして広く利用されており、活発な開発者エコシステムを支えています。SAPは、このオープンソース戦略を引き続き全面的に支援していきます。Prior Labsの共同創業者であるフランク・フッター(Frank Hutter)、ノア・ホルマン(Noah Hollmann)、サウラジ・ガンビール(Sauraj Gambhir)は、世界トップクラスのAI研究者および実務家からなるチームを率いています。また同社は、ACM A.M.チューリング賞受賞者でありAdvanced Machine Intelligenceのエグゼクティブチェアマンを務めるヤン・ルカン(Yann LeCun)や、マックス・プランク知能システム研究所の所長でありELLISプレジデントを務めるベルンハルト・ショルコフ(Bernhard Schölkopf)をはじめとする同分野を代表する研究者と連携しています。両氏は、Prior Labsが世界有数のフロンティアAI研究機関へと拡大するにあたり、同社の科学諮問委員会のメンバーに就任する予定です。

Prior LabsのTabPFN-2.6は、TFM分野の主要ベンチマークであるTabArenaにおいて最高性能を示しています。本モデルは、4時間を要する自動機械学習パイプラインと同等の精度を単一モデルで瞬時に実現し、かつ複雑性を大幅に低減しています。

対話型インターフェースを重ねることで、ビジネスユーザーは自然言語で質問を行い、データセットの生成や選択、さらには「What-if」シナリオの実行を、データサイエンスや機械学習の専門知識を必要とせずに行うことができます。Prior Labsのモデルにより、SAPはインコンテキスト学習を提供し、ユーザーはデータレコードを入力するだけで、モデルのトレーニングを行うことなく、即時かつ信頼性の高い予測を得ることが可能になります。単一のTFMであらゆるビジネスユースケースに柔軟に対応でき、GDPRに準拠しながら迅速に価値創出を実現します。

SAPはPrior Labsとともに、優れた予測能力を備え、テーブル構造をネイティブに理解するTFMを提供します。これにより、データから直接統計的推論を学習し、高次の目標を理解するとともに、表データ・言語・画像を組み合わせた推論や、ドメイン知識の統合、因果関係の推定、さらには動的な適応が可能なエージェント型AIシステムを実現します。

本取引完了後、SAPとPrior Labsは最先端のAI研究をエンタープライズ向けのイノベーションへと展開し、お客様が表形式のビジネスデータからさらなる価値を引き出せるよう支援します。真のインテリジェンスの実現には、相関関係を超えて因果関係を理解することが不可欠です。「何が起こるのか」に答えることは有用ですが、「なぜそれが起こるのか」に答えることこそが、変革をもたらします。

本取引は、関係当局の承認を含む所定の条件を満たすことを前提に、2026年第2四半期または第3四半期に完了する見込みです。

以上

Prior Labsについて

Prior Labsは、構造化データに特化した新たなAIカテゴリーであるTabular Foundation Models(TFM)のパイオニアです。Frank Hutter、Noah Hollmann、Sauraj Gambhirによって創業されました。同社のTabPFNモデルシリーズは、学術誌Natureに掲載されており、数百におよぶ独立した学術研究において、表形式データのベンチマークで最先端の性能を確立しています。Prior Labsは、数百万行規模のデータ処理やリアルタイム推論、さらには新たなデータモダリティへの対応に向けてTFMの拡張を進めるとともに、世界で最も要求水準の高い業界において本番環境への導入を可能にするインフラの構築にも取り組んでいます。

同社はドイツ・フライブルクに本社を置き、ベルリンおよびニューヨークにも拠点を展開しています。Google、Apple、Amazon、Microsoft、G-Research、Jane Street、Goldman Sachs、CERNなどから採用された研究者で構成される、世界有数のAI研究チームを擁しています。詳細は、www.priorlabs.aiをご覧ください。

SAPについて

SAP(NYSE:SAP)は、エンタープライズアプリケーションとビジネスAIのグローバルリーダーとして、ビジネスとテクノロジーの融合を推進しています。50年以上にわたり企業と共に歩み、進化を続け、財務、調達、人事、サプライチェーン、カスタマーエクスペリエンスなどのビジネスクリティカルな業務を統合し、お客様のビジネスを成功へと導く支援をしています。詳細は、こちらからご覧ください。www.sap.com

この文書には、将来の事象に関する予測、見通し、その他の将来予想についての記述が含まれています。これらの記述は現在の期待値、予測、仮定に基づいており、実際の結果や成果が予想と大きく異なる可能性があるリスクや不確実性を伴います。これらのリスクや不確実性に関する詳細情報は、証券取引委員会(SEC)に提出された資料に記載されています。特に、SAPの2025年度の年次報告書(様式20-F)のリスク要因セクションに詳細が記されています。

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