マーク・ライシグ (Mark Reisig) 著

約3週間後、PLMエコノミーのソフトウェアおよびサービスプロバイダーの皆さんが、PLM Market & Industry Forumとして知られるる一連のグローバルミーティングで一堂に会します。

私たちが展開する重要なトピックの1つは、サステナビリティとPLMに関連するトレンドです。これを念頭に、CIMdata のサステナビリティのプラクティスディレクターであるマーク・ライシグ (Mark Reisig) に、プレゼンテーションで取り上げるトピックのいくつかを紹介してもらいました。

サステナビリティの課題に対処する緊急性はますます高まっています。温室効果ガス (GHG) 排出量の増加、地球温暖化、その結果生じる気候危機、そしてより広範囲にわたる持続不可能な慣行が、世界経済の変革を推進しています。

企業 (Businesses) はますます持続可能性を実践し、大胆な「ネット・ゼロ」の取組を行い、カーボンフリーで環境に配慮した製品やサービスに対する高まる需要に応えています。製品ライフサイクル管理 (PLM) は、組織が製品ライフサイクル全体にわたってサステナビリティを組込んで統合し、環境への影響を最小限に抑えるように移行する中で、極めて重要な役割を果たしています。

排出される温室効果ガスは二酸化炭素 (CO2 ) の最大量は、2023年の406億トンから2024年には416億トンになると予測されています。これにより、世界の平均気温は産業革命以前の水準より1.6°C上昇することになります。2015年のパリ協定では、産業革命以前の水準より2.0°C未満に温暖化を制限し、気温上昇を1.5°Cに抑える努力をすることが約束されたにもかかわらず、現在の予測では2.5°~2.9°Cへの上昇が示唆されており、対策の緊急性が強調されています。

多くの企業がサステナブルなプラクティスを取り入れ、製品やサービスを脱炭素化し、廃棄物をなくし、「作る・使う・捨てる」というリニアなエコノミーからよりサーキュラーなエコノミーへと移行しています。リスクが大きい、すなわち地球温暖化は生態系を脅かし、種の絶滅を加速させ、食糧と水の安全保障に影響を与え、経済を混乱させるのです。2080年代半ばには人口が103億人に達すると予想されており、エネルギーの必要性は高まるばかりです。

課題は、私たち人々の基本的なニーズと消費者の要求を満たす一方で、環境スチュワードシップに基づいたよりサステナブルな製品を管理するための転換をしながら、利益を上げていくことです。そうすることで、未来の世代が住みやすい地球を受け継ぐことができるのです。PLMは、サステナビリティの目標を達成する上で極めて重要であり、特に製品のライフサイクル全体にわたるGHG排出量の指標であるPCF (Product Carbon Footprint) を削減する上で重要です。製品の環境への影響の約80%は、設計段階で決定されます。しかし、設計中にサプライ チェーンを可視化できる企業はわずか24%です。このギャップは、サステナブルなプラクティスを製品開発に組込んで統合する上でPLMが果たす重要な役割を浮き彫りにしています。

  • 製品のカーボンフットプリント:PLMは、設計、製造、また運用中の過程での二酸化炭素を削減しながら、コスト効率を良くする。
  • サプライチェーンの可視性の向上:PLMは、材料や部品のエンボディドカーボン (Embodied Carbon) 、すなわち内包二酸化炭素に関するインサイトを提供し、設計者が情報に基づいたサステナブルな選択を行えるようする。
  • サステナブルな設計:モジュール性、耐久性、またリサイクル性を組込むことで、PLMは環境に優しい製品のイノベーションをサポートする。
  • ライフサイクルアセスメント (LCA) :PLMはLCA全体をまとめて統合し、リアルタイムの環境影響をアセスメントし、緩和・軽減することができる。
  • サーキュラーエコノミーのサポート:PLMは、廃棄物を最小限に抑え、再利用、リファービッシュ、またリサイクルを促進するプロセスを推進する。これには、欧州連合 (EU) のCSRD (Corporate Sustainability Reporting Directive:企業持続可能性報告指令) が、製造業者に対してデジタル製品パスポート (DPP) の公開を開始するよう求めていることも含まれ、製品のライフサイクル全体を通じて透明性を確実なものにする。
  • デジタルスレッドとデジタルツイン:PLM を使用すると、製品のパフォーマンスと環境への影響に関するリアルタイムのインサイトを提供することで、リソース効率を最適化し、サーキュラーエコノミーの取組みをサポートする。

現在、世界最大手の企業のほとんどは、事業規模や収益が拡大する一方で、排出量を削減しています。65%が排出量を削減していますが、スコープ 3 (バリュー チェーン) 排出量を削減しているのは37%のみです。

ネットゼロ目標を掲げる企業の数は劇的に増加しているものの、サステナビリティを彼らのPLMシステムの中に組込んでいる企業の割合はまだ初期段階にあります。企業がネットゼロ目標をどの程度達成しているかについては推定値が異なりますが、大多数は彼らの目標と行動のギャップを埋めるのに苦労しています。これは、サステナビリティとデジタルに変革するための PLMの使用に対する一貫した戦略的な理解やアプローチの欠如という、より広範な課題を反映しています。

サステナビリティの目標を実行可能な成果に結びつけるには、組織文化とリーダーシップが極めて重要です。ほとんどの組織が彼らのサステナビリティ性の取り組みに苦戦していることは間違いありませんが、PLMの観点から見ると、2025年の産業界の企業には、ほんの数年前よりもはるかに多くのものを利用できるようになっています。この移行には、産業界組織、ソフトウェアベンダー、またシステムインテグレーター間のコラボレーションが必要であり、サステナビリティをPLMプロセスの中に組込むことが必要です。PCF 削減、サプライ チェーンの最適化、デジタル ツインなどの高度な機能を活用することで、PLM 戦略は企業が持続可能性に向けて有意義な進歩を遂げるのに役立ちます。

サステナビリティはもはやオプションではなく、急速に必要不可欠なものになりつつあります。PLMにサステナビリティを組み込むことで、企業は効率的にイノベーションを起こしながら、進化するカーボンコンシャスな経済において競争力を維持することができます。 この変革を受け入れることで、組織は長期的な収益性を確保し、地球を保護し、サステナブルな未来に貢献することができます。

2025 PLM Market & Industry Forum eventsのイベントは、米国ミシガン州アナーバー (3月27日)、ドイツのフランクフルト (4月10日)、インド (4月14日)、中国 (4月18日)、そして日本 (4月22日) で開催されます。

このブログのcomments sectionで、このトピックに関するご意見をお聞かせください。または、m.reisig@​​CIMdata.comまで直接ご連絡ください。

フォーラムのイベントでお会いできることを楽しみにしています。

マーク・ライシグ (Mark Reisig)

オリジナルソース:https://www.cimdata.com/en/industry-summary-articles/item/27037-shaping-the-plm-economy-model-based-system-engineering-in-the-spotlight-at-cimdata-s-2025-plm-market-industry-forum