2024.7.31:SAPジャパン、SAP(R) Business AIの最新機能の提供状況を発表
SAPジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 洋史、以下 SAPジャパン)は、2024年第2四半期に提供開始したSAP(R) Business AIの最新機能を以下に発表します。
SAPのビジネスAIは、SAPのすべてのエンタープライズソリューションに組み込まれ、コンテキスト化されたビジネスデータとプロセスナレッジ、さらには倫理的なAIプラクティスに基づいて構築されています。すでに世界2万7,000社以上のお客様がSAP Business AIを利用してビジネス成果を上げています。
SAPの生成AIコパイロットであるJoule(ジュール)を利用すれば、自然言語で業務を実行でき、ユーザーエクスペリエンスに革命をもたらします。今年末までに、付加価値の高いAIユースケースをSAPのポートフォリオ全体で100以上用意し、実行頻度の高いタスクの80%をJouleに組み込むことで、お客様の生産性と効率性の向上を支援します。
また現在SAPでは、AI開発基盤でもあるSAP(R) Business Technology Platform(SAP(R) BTP)上の生成AIハブを通じて、あらゆる新興/大手の大規模言語モデル(LLM)のアクセスを提供しています。このハブは、お客様もパートナー企業も、強力なビジネスプロセス統合を活用して、安全なデータアクセスを確保しながら、組み込まれた生成AIユースケースを、完全なLLMの柔軟性により拡張できる市場で唯一のプラットフォームです。
2024年第2四半期に提供開始したSAP Business AIの主な機能は、以下のとおりです。(一部これから提供開始するものも含みます)
1)ERPおよび財務
a. JouleがSAP S/4HANA(R) Cloud Private Editionでも利用可能に
b. プロジェクト向けSAP S/4HANA(R) Cloudでプロジェクトと従業員のマッチングをAIが支援(ベータ版)
c. SAP S/4HANA(R) Cloud Public EditionでAIアシスト・ハンズフリー生産指図管理(アルファ版)
d. SAP(R) Signavio(R) – 厳選されたお客様企業と共同テスト中
2)ITおよびプラットフォーム
a. SAP(R) Integration SuiteにAIを活用した異常検知機能を追加
b. 生成AIハブ(SAP(R) AI CoreおよびSAP AI Launchpad内)
c. SAP BTPコックピットのJoule(ベータ版)
d. ABAP AIビジネスオブジェクトジェネレーター(ベータ版)
3)人事管理 – SAP(R) SuccessFactors(R) HCM(一般出荷)
a. AIアシスト個人目標作成機能
b. AIアシストライティング
c. AIアシスト・パーソンインサイト
4)セールス、サービス、マーケティング、コマース
a. SAP(R) Sales Cloud Version 2
b. SAP(R) CX AI Toolkit
5)サプライチェーン
a. SAP(R) Integrated Business Planningの自動異常値修正機能
b. SAP(R) Digital Manufacturing
c. SAP(R) Product Lifecycle Management
それぞれの詳細は、以下のとおりです。
1)人事管理における SAP Business AI - SAP(R) SuccessFactors(R) HCM
SAP SuccessFactors ソリューションは、グローバルな基盤、スキルフレームワーク、パーパスベースのAI機能を提供することで、人材第一のエクスペリエンスを実現し、人事管理を次なるレベルへと導きます。2024年上半期、SAPはSAP SuccessFactors HCMスイートに25を超える新しいAI機能を搭載しました。以下は主なハイライトです。
AIアシスト個人目標作成機能
従業員は有意義で意欲的な業績目標やキャリアデベロップメント目標を短時間で作成できます。従業員および管理職は、目標作成にかかる時間を最大60%*削減できます。
AIアシストライティング
SAP SuccessFactorsソリューション内のさまざまな領域において、従業員は文章の質と
トーンを高めることができ、文書によるやり取りにかかる時間を最大30%*短縮できます。
AIアシスト・パーソン・インサイト
マネージャーが部下と生産的な議論を交わし、情報に基づいた意思決定を行うために必要な
従業員のインサイトを提供します。
2)ERPおよび財務におけるSAP Business AI
JouleがSAP S/4HANA Cloud Private Editionでも利用可能にJouleは、2024年第1四半期にSAP S/4HANA Cloud Public Editionで利用可能でしたが(アーリー・アダプター・プログラム経由)、第2四半期からはSAP S/4HANA Cloud Private Editionでも利用できるようになりました。ユーザーとのやり取りはさらに効率化し、従業員の生産性も高まります。Jouleは、コンテンツやアプリケーションへの迅速で文脈に沿ったアクセスを提供します。
ユーザーはJouleに自然言語でガイダンスを求めるだけで、Jouleが正しい方向へと導きます。
プロジェクト向け SAP S/4HANA Cloudでプロジェクトと従業員のマッチングをAIが支援
(ベータ版)
エンゲージメントマネージャーおよびリソースマネージャーは、プロジェクト向けSAP S/4HANA Cloudに組み込まれた生成AI機能を使って、従業員とプロジェクトをマッチングできるようになりました。この機能は、スキルベースの従業員検索を合理化し、適切なプロジェクトに従業員を配備する時間を短縮するのに役立ちます。この機能を使用することで、組織は、従業員のプロフィール確認に時間を費やすことなく、必要なスキルセットを持つ候補者を選出することで、案件ごとにかかる時間を15~30分*短縮することができます。
SAP S/4HANA Cloud Public EditionでAIによるハンズフリー生産指図管理(アルファ版)製造監督者は、工場の外にいても、生産指図の生産量を増やせるようになりました。自然言語を使用してシステムと対話し、営業担当者から受ける予定外の需要に迅速に対応できます。
この新しい生成AI搭載機能で、生産指図関連情報への迅速なアクセスと検索、システム対話による効率的な生産指図の承認、施設内での直接の音声またはテキスト経由での生産指図の迅速なチェック、レビュー、変更が可能になります。
従業員による生産指図の確認時間を最大50%*削減できるので、製造メーカーにとっては、業務効率と時間節約の向上で30~50%*の利益につながります。
この機能は現在アルファ版として提供されていますが、今年後半にはグローバルにリリースされる予定です。
SAP Signavio – 厳選された顧客企業と共同テスト中(2024年第3四半期に一般提供予定)
SAP Signavioをご利用のビジネス・プロセス・コンサルタント担当者は、生成AI搭載機能を使えるようになるため、ベストプラクティスのレコメンデーションを瞬時に取得したり、プロセスに関連した指標を発見したりできるようになります。
プロセス推奨機能により、コンサルタントは、SAPの5,000を超えるベストプラクティスのデータベースに基づく構成済みプロセスモデルを取得できるようになります。これにより、最初の探索からプロセス設計までスピーディーに進めることができ、モデル化を開始するための最初のプロセス草案を定義する負担の大きいコンサルティングサービスの必要がなくなります。
また、パフォーマンス指標推奨機能により、コンサルタントは、ビジネスプロセスや問題に関連したプロセスパフォーマンス指標(PPI)のレコメンデーションを迅速に取得することができます。これは、何千ものKPIとPPIのリポジトリーに基づく測定アプローチを通じて、スムーズに問題解決に取り組むのに役立ちます。
これら2つの機能は現在、厳選されたお客様企業と共同テストを行っており、2024年第3四半期には一般提供される予定です。
3)ITおよびプラットフォームにおけるSAP Business AI
SAP Integration SuiteにAIを活用した異常検知機能を追加
システム統合は、企業の自動化イニシアチブを成功させ、効果的なエコシステム連携を実現するための基礎となるものですが、企業内外の異種システムを接続するのは骨の折れる作業です。
SAP BTPのシステム統合基盤であるSAP Integration Suiteの新しいAI対応異常検知機能により、開発者はAPIコールの急激な増減、待ち時間の増加、検出エラーの増加などを簡単に検知できるようになります。
APIパフォーマンスの異常をユーザーに認識させることで、このテクノロジーは問題を深刻化する
前に特定し、対処するのに役立ちます。これにより、混乱を最小限に抑え、システムパフォーマンスを最適化し、より高い運用効率を実現します。
生成AIハブ(SAP AI CoreおよびSAP AI Launchpad内)SAP BTPで利用可能なSAP AI CoreとSAP AI Launchpadの生成AIハブは、開発者が管理環境内で大手LLMにアクセスして、AIモデルを安全に、かつ高いコスト効率で実行し、SAPアプリケーションの生成AIユースケースからの価値創造を最大化することを支援します。
開発者は、Amazon BedrockモデルファミリーのLLM、MetaやMistral AIといったベンダーの主要AIモデルなど、利用可能になった新しい機能やモデルから恩恵を受けることができます。全リストはこちらをご覧ください。
SAP BTPを利用することで、従業員が生成AIを使った実験やイノベーションを行える、安全でエンタープライズ対応のフィールドを用意できます。今四半期からは、開発者は生成AIハブ内のチャットインターフェースで対話できるようになり、利用可能な生成AIモデルとのより直感的なインタラクション、マルチモデルサポート、中断のない連続対話によるコンテキスト認識、カスタマイズ可能な設定が可能になりました。開発者は、データのセキュリティとプライバシーを維持しながら、生産性、問題解決能力を高めることができます。
SAP BTPコックピットのJoule(ベータ版)
SAP BTPコックピットは、プラットフォーム管理者がリソース、サービス、セキュリティを管理するのに役立ちます。また、アプリケーション指標を監視し、クラウドアプリケーションに対してアクションを実行することもできます。
SAP BTPコックピットのJouleは、情報のスピーディーな検出、トランザクションタスクやナビゲーションの迅速な実行をサポートします。一貫性のある正確な設定によりシステムの信頼性を向上させ、自動化とレコメンデーション機能により管理コストを削減し、自動化されたプロセスによりユーザーオンボーディングの効率を高めます。
ABAP AIビジネスオブジェクトジェネレーター(ベータ版)
生成AIとABAP Cloudの統合により、総勢500万人ものABAP開発者コミュニティの作業がシンプル化され、SAP S/4HANA Cloud Public Edition、SAP S/4HANA Cloud Private Edition、およびSAP BTP, ABAP 環境と対話可能な拡張機能の開発が加速されます。2024年第2四半期に制限付きベータ版として提供され、今年後半には一般提供が予定されているこの機能により、ソフトウェア開発者はSAP BTP, ABAP 環境で生成AIを使用してABAPビジネスオブジェクトを作成することができるようになります。
4)セールス、サービス、マーケティング、コマースにおけるSAP Business AI
SAP Sales Cloud Version 2
セールスチームは、概要、推奨事項、次回訪問時の相違点など、アンケートに関するインサイトを得ることができるようになり、店舗アンケートの集計と分析に費やしていた時間を最大で半分*まで短縮することができます。この機能により、セールスチームは、得意先における競合状況に関する情報を得ることができ、特定の課題に対処することで、的を絞った関連性の高い顧客との対話が容易になります。
SAP CX AI Toolkit
昨年末にローンチされたSAP CX AI Toolkitは、e-コマース、マーケティング、セールス、サービスの各チーム向けに、包括的で設定可能なAIソリューションを提供します。それぞれの担当者は、コンテンツ作成タスクの効率化や企業全体のデータ分析に利用することができ、e-コマースチームは最大50%*の生産性の向上、平均注文額の増加、コンバージョン率の向上を実現しています。
SAP CX AI Toolkitの新しいAIツール「Ask About This Product」を使えば、e-コマースチームは商品に関する質問をすることができ、商品の詳細、属性、さらに詳しいコンテンツに基づいて回答を得ることができます。
さらに、セールスチームとサービスチームは、「AIツールビルダー」を使用してSAP CX AI Toolkit内部でカスタムAIツールを構築して、業界固有の課題を解決できるようになりました。
5)サプライチェーンにおけるSAP Business AI
SAP Integrated Business Planningの自動異常値修正機能
需要計画担当者は、SAP Integrated Business Planning(SAP IBP) for Supply Chainで利用可能な、AIを活用した新しい自動異常値修正機能を活用することができます。SAP IBPの自動異常値修正機能は、販売履歴データの異常値を自動的に特定し調整することで、データクリーニングに費やす時間を最小限に抑えながら、販売予測精度を高めます。機械学習アルゴリズムを使用することで、異常値として分類する前に各データポイントが相互検証され、データの信頼性が高まります。
SAP Digital Manufacturing
ビジュアル品質検査プロセスをシンプル化および最適化することで、SAP Digital Manufacturingのビジュアル品質検査は、製造作業員がより迅速かつ正確に欠陥を発見できるよう支援します。エラー修正1件あたり最大14時間*の節約になり、ヒューマンエラー率も最大20~30%*削減、さらに、顧客満足度が高まり、保証請求回数を減らすことができます。
SAP Product Lifecycle Management
生成AIにより、プロダクトオーナーは説得力のある包括的なキャンペーンやアイデアの説明テキストをスピーディーに作成できるようになりました。これにより、明確で魅力的、かつインパクトのある製品メッセージを作成することができます。
*免責事項:このブログ記事に記載されている数値は、SAPの分析から得られた平均的な業界ベンチマークの数値に基づく推定値です。
以上
■最新のSAP Business AIの情報についてはこちらをご参照ください。
・SAP Business AI: Q2 2024 Release Highlights(原文)
・sap.com/ai でポートフォリオをご確認いただけます。
・SAP Sapphire News Guide ページでSAP Business AIに関する発表をご確認いただけます。
SAPジャパンについて
SAPジャパンは、SAP SEの日本法人として1992年に設立されました。SAP(NYSE:SAP)は、エンタープライズアプリケーションとビジネスAIのグローバルリーダーとして、ビジネスとテクノロジーの融合を推進しています。50年以上にわたり企業と共に歩み、進化を続け、財務、調達、人事、サプライチェーン、カスタマーエクスペリエンスなどのビジネスクリティカルな業務を統合し、お客様のビジネスを成功へと導く支援をしています。詳細は、こちらからご覧ください。 http://www.sap.com/japan
この文書には、将来の事象に関する予測、見通し、その他の将来予想についての記述が含まれています。これらの記述は現在の期待値、予測、仮定に基づいており、実際の結果や成果が予想と大きく異なる可能性があるリスクや不確実性を伴います。これらのリスクや不確実性に関する詳細情報は、証券取引委員会(SEC)に提出された資料に記載されています。特に、SAPの2023年度の年次報告書(様式20-F)のリスク要因セクションに詳細が記されています。
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