2024.2.9:MEDITWIN、仏企業・団体の技術と連携し、医療現場のバーチャルツインと医療の質向上を実現
※本リリースは、仏ヴェリジー=ヴィラクブレーにて現地時間2024年1月24日に発表したリリースの日本語参考訳です。
ダッソー・システムズ(Euronext Paris:FR0014003TT8, DSY.PA、以下ダッソー・システムズ)は、2023年12月11日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領の立会いのもと結成されたMEDITWINコンソーシアムについて、本日発表しました。同コンソーシアムについては12月14日に、パリ 15 区に位置するデジタル ヘルス開発センターであるパリサンテキャンパス(PariSanté Campus)において、ロラン・レスキュール仏産業担当大臣の立ち会いのもと、詳細が発表されました。MEDITWINコンソーシアムは、7つの大学病院研究所(IHU)、ナント大学病院(CHU)、フランス国立情報学自動制御研究所(Inria)、スタートアップ数社、ダッソー・システムズで構成されています。MEDITWINは医療現場にバーチャルツインを提供することで、より安全で誰もが利用できる医療を実現するべく、治療や看護の質の向上に貢献していきます。
MEDITWINのプロジェクトでは、患者それぞれに合わせて個別化して作成した臓器・代謝・癌組織のバーチャルツインを提供し、より適切な診断と治療を目指します。医師がMEDITWINを活用することで、患者の予後をシミュレーションすることが可能となります。
このバーチャルツインを基に、神経学、心臓血管学、腫瘍学の分野において、7つの医療手法を開発し、産業用ソブリン・クラウド・プラットフォーム上で遠隔医療を活用したバーチャルヘルスケア製品を展開する予定です。
MEDITWINでは、14団体に及ぶコンソーシアム創設メンバーを中心に、各分野の世界的リーダー企業・団体の専門知識が活用され、11のプロジェクトチームが編成されています。同コンソーシアムには、産業のリーダーを担うダッソー・システムズ、医学と科学における高い水準を持つ7つの大学病院研究所、ナント大学病院の胸部疾患研究所の他に、inHEART、codoc、Qairnel、Neurometersのスタートアップ4社、また、フランス国立情報学自動制御研究所(Inria)が参画しています。
航空業界やモビリティ業界において、安全性、品質、環境フットプリント、コスト効率の観点からバーチャルツインは大きな進歩を遂げており、今日では欠かせない資産となっています。ダッソー・システムズのリビング・ハート・プロジェクトやリビング・ブレイン・プロジェクトなどのヘルスケア業界向けバーチャルツイン、Inriaとフランス国立衛生医学研究所であるINSERMが共同で取り組むデジタル医療関連の優先研究プログラム(PEPR)などにおいて、参画パートナーが蓄積してきた豊富な経験が、MEDITWINの基盤になっています。
MEDITWINは、こうしたイノベーションの産業化、臨床評価、標準化を実現し、規格化されたテクノロジーを展開して、その利点を多くの人々に提供できるようにしていきます。世界中からアクセスできるバーチャル体験に最高水準の治療や看護を組み込むことで、新たな医療水準が生まれ、医学の進歩にとって重要な学習の場が提供されます。
バーチャルツインの効果は、医療チーム、患者、ヘルスケアシステムの各方面において、特に治療効率、他分野にわたる意思決定、医療方法と医療介入の有効性や安全性といった観点から検証される予定です。
MEDITWINの取り組みは、2024年から2029年までの5か年計画の下で実施されており、このプロジェクトにおける参画企業の資金は、「フランス2030」投資計画の一環としてフランス政府からの助成金によって支援されています。
参画企業・団体のコメント
ダッソー・システムズ 取締役会会⾧ ベルナール・シャーレス
「産業界はバーチャルツインによって、より持続可能な方法で変革を遂げることができました。今日では、このテクノロジーを活用して人体をより深く解明し、医療における新たな可能性を切り拓いています。ダッソー・システムズは、40年間にわたりバーチャルツインをけん引してきました。我々はその知識とノウハウを活かして医療現場に変革をもたらすことができると信じています。MEDITWINを通じた官民連携は、今後の医療に貢献するための大きな一歩となり、最高水準の医学と科学とテクノロジーを結集させます。バーチャルツインは既に利用可能なものです。我々はMEDITWINの活用によりバーチャルツインを標準化して普及させることで、数多くの患者の治療に役立てていきます」
Inria CEO ブルーノ・スポルティス氏
「欧州でフランスをデジタル医療改革のリーダーとして位置付けるには、活発なデジタルエコシステムの構築が不可欠です。2021年に締結された戦略パートナーシップに沿って、Inriaとダッソー・システムズは医療におけるバーチャルツインの分野で、データ主権の課題や医療のデジタル変革に関する一貫したビジョンを掲げて積極的に連携しています。フランス2030の支援を受けて、ダッソー・システムズ、Inria、IHUフランス連合の革新的な連携によって発足したMEDITWINのプロジェクトでは、新たな医療課題の最前線にフランスの産業を築いていくという我々の決意を示し、患者のために役立てていきます」
ギュスターヴ・ルッシー研究所内IHU PRISM 所長 ファブリス・アンドレ氏
「PRISMでは患者の生体機能をモデリングして一人一人の患者に最適化した治療の提供を実現するための癌のアバターを開発しており、その方針に沿ってこの度MEDITWINコンソーシアムに参画しました。PRISMは他のIHUの専門知識も活用できるため、彼らと緊密に連携して学際的なプロジェクトを進めていきます」
IHU LIRYC 所長 ピエール・ジェ氏
「7つのIHUと、Inria、ダッソー・システムズが取り組むMEDITWINは、特筆すべき官民連携です。同コンソーシアムは大規模な自動化を実現し、予防医学の新時代を切り拓くことができるため、患者にとって極めて重要であり、莫大な費用対効果をもたらします。最終的にはフランスの医師や研究者に、今後の医学研究を担うデジタル医療分野において、産業界の世界的なリーダーと連携する場を提供していきます」
IHU Strasbourg 所長 ディディエ・ミュッテ教授
「バーチャルツインは将来の医療にとって不可欠です。バーチャルツインにより治療のシミュレーションができ、患者に可能な限り最善の結果をもたらすことができます。MEDITWINは、その目標と課題の観点からみて卓越したプロジェクトで、IHUフランス連合にとっても初の試みであり、世界でも類を見ない学際的な生物医学研究の能力を結集させています。創設メンバーである2つの機関(Inriaとストラスブール大学病院)と緊密に連携することで、IHU StrasbourgにとってMEDITWINは、転移性大腸癌に対する最小限の侵襲的治療の質向上を実現する強力な促進剤となるでしょう」
IHU FOReSIGHT眼科第4部門責任者および15-20国立病院臨床調査センター 所長 ミシェル・パック教授
「IHU FOReSIGHTがMEDITWINコンソーシアムへ統合されることで、網膜微小循環のバーチャルツインを大規模に開発し、定量的な観点から脳や循環器疾患の最適化された検出と追跡が可能になり、定量的な微小循環生体マーカーが初めて開発されます。IHU FOReSIGHTは、フランスのハイテク企業と研究機関の協力を得て、フランスが世界に誇る補償光学技術を網膜イメージングに採用した革新的な毛細血管イメージングの専門技術を開発しました。世界的にも珍しいこの手法はダッソー・システムズによって強化される予定で、主にAIを基にしたアルゴリズムの開発を通じて大きな網膜表面から形態学的情報を抽出します。この測定結果を医師が直接利用できる生体マーカーに統合することは、研究室から診察室へデータを移行する際の大きな課題となっています」
Institut Imagine 所長 スタニスラス・リヨンネ教授
「Institut Imagine(アンスティテュ・イマジン)は、ダッソー・システムズとIHUフランス連合の戦略的パートナーシップにおいて、創設メンバーの一員としてバーチャルツインに関わることを誇りに思っています。また、我々は、希少疾患分野における卓越した医療や研究をMEDITWINのプロジェクトに提供できることを光栄に思います。初期段階でのプロジェクトは、ダッソー・システムズとInriaとの共同開発で、心臓学をテーマにしています。個別化された循環器系のバーチャルツインを活用して、先天性心臓疾患、特に左心低形成症候群を患う新生児の死亡率を劇的に改善することを目的とした術前・術中の意思決定支援システムを構築します。2つめのプロジェクトでは、ダッソー・システムズとスタートアップ企業のcodoc社との連携により、小児神経学に関する多職種カンファレンスの進行をサポートするツールを開発します。同プロジェクトには、医学的な意思決定と希少難治性てんかん、特にドラベ症候群の治療を支援する患者のバーチャルツインが使用されます。これら2つのプロジェクトは、研究者と医師にとって重要な機会を提供し、患者への介入前に視覚化、検証、把握、予測を可能にします」
IHU ICM内パリ脳研究所 所長 アレクシス・ブリス教授
「我々はIHUフランス連合を通じてダッソー・システムズとInriaと連携し、将来の医療を生み出すイノベーションの実現や、それによる医療業界のエコシステム構築に貢献できることを嬉しく思います。バーチャルツインは、さまざまなスケールでの効率的な医療データの活用、病気進行のモデリングと予測、早期診断、正確な基盤に基づく患者一人一人に最適化した医療の構築といった研究所が目指す目標を具体化することができます。MEDITWINにおいて、パリ脳研究所は、アルツハイマー病、血管性認知症、てんかんの特定や患者グループのデータ分析に関する専門知識を提供します」
IHU ICAN 総長 兼 UMR 1166循環器系および代謝性疾患研究ユニット 所長 ステファン・アテム教授
「バーチャルツイン技術は、循環器系代謝性疾患における新たな精密医療と予防医学の可能性を切り拓きます。我々の目標は、各患者の将来的な循環器系疾患発症リスクを、個々のリスク要因、特に遺伝子シグネチャーを基に予測することです。この目標達成に向け、ダッソー・システムズおよび参画パートナーが中心となり、研究の規模を拡大することが重要だと考えています」
ナント大学病院付属胸部疾患研究所 所長 ベルトラン・カリュ教授
「ナント大学病院付属胸部疾患研究所では、ダッソー・システムズのエンジニアと連携し、先進工業国で主要な死因となっている心臓発作の予測機能の向上を目指して開発を行います。この目標のために、研究者は全国規模の橋渡し研究であるCHOPIN(CHOlesterol Personalized Innovation = コレストロールに関する個別化イノベーション)の調査結果からSAFIRグループのデータを活用します。この中には、心臓疾患の有無に関わらず家族性高コレステロール血症の患者が含まれます。心臓疾患を発症するリスクが非常に高い集団を対象にした研究前段階で行われる小規模調査では、臨床・マルチオミクス・画像の各データを組み合わせてバーチャルツインモデルを作成し、その後、より大きな心臓病患者の集団で検証を行う予定です」
inHEART社 CEO トドール・イェリアスコフ氏
「inHEART社は、MEDITWINの一員としてデジタル医療変革の最前線に立てることを大変光栄に思います。MEDITWINでは、年間80万人以上が命を落とす急性心臓疾患の予防に焦点を当てて取り組むことを予定しており、医療システムの在り方を急性合併症への対処療法から合併症の予防へと移行させていきます。これにおいて、デジタル技術とAIは、このプロセスを加速させていくと考えています」
codoc社 共同創設者 兼CEO アーサー・デラパルム氏
「MEDITWINは、異なるIHUの医学専門知識を集結しており、こうした学際的アプローチは、研究を加速してイノベーションのメリットを迅速に患者に届ける有効な手段です。codoc社として、私たちはこのプロジェクトにおける7つのバーチャルツインのうちの一つを開発できることを大変誇りに思います」
Qairnel社CEO スタンリー・デュレルマン氏
「Qairnel社は、MEDITWINプロジェクトに参画できることを誇りに思います。我々のバーチャルツインは、アルツハイマー病の初期段階における病状の変化をシミュレーションすることを可能にします。同プロジェクトを通じて、我々がこの技術を医療従事者の手に委ねることで、医療従事者は患者一人一人に最適化した管理計画と治療方針を提案することができます。それを実現することで、21世紀の主要な公衆衛生における課題に対処していくことができます」
Neurometers社 共同創設者 リオネル・ナカッシュ氏
「Neurometers社は、認知と意識の状態を示す脳の活動パターンを定量化する脳波(EEG)の医療利用を拡大することを目指しています。当初は健康な被験者とコミュニケーションが困難な患者を対象に開発を進め、その成果は数々の科学論文で発表されています。直近では、当社はこの手法がアルツハイマー病などの認知機能に影響を与える神経変性疾患に非常に有効であることを発見し、発表しました。患者の定期的な経過観察に直接的な認知機能の測定が初めて組み込まれ、神経心理テストや脳萎縮の測定を補完できるようになります。この手法を用いることで、新しい治療法の有効性を検証することも可能となります。当社はMEDITWINプロジェクトに参画することで、経過的な手法で脳波を記録した患者グループを分析し、アルゴリズムの質を向上させることを目指しています」
(以上)
フランス2030について
フランス2030投資計画:
- 二つの目標の反映:エネルギー、自動車、航空宇宙などの主要セクターに関して、技術革新を通じて持続可能な方法で変革し、フランスを未来の世界のプレーヤーとしてだけでなくリーダーとして位置づけます。基礎研究からアイデアの創出、新しい製品やサービスの提供に至るまで、フランス2030はイノベーションのライフサイクル全体を産業化まで支援します。
- 規模の拡大:これらの戦略分野において、企業、大学、研究機関の各組織が確実かつ完全に変革を成し遂げられるよう、540億ユーロの資金が用意されています。各組織が明日の世界における環境や魅力の課題に競争心を持って対処し、我々の卓越した分野から未来のリーダーの輩出を目指します。フランス2030には分野横断的な2つの方針が定められており、DNSH(Do No Significant Harm)の原則に従い、予算の50%を経済の脱炭素化に、残りの50%を環境に負荷をかけないイノベーションを開発するスタートアップ企業に投資します。
- 共同での実施:戦略的な方針や主要な取り組みを決定する、経済、学術、地域、欧州諸国の関係者との協議のもとに計画、実行されます。公的な助成金の交付を受けるために、プロジェクトリーダーは、公正かつ厳正な選択的手順を踏んで提案書を提出する必要があります。
- 官民による主導:首相に代わり投資総局が主導し、フランス生態系移行省(ADEME)、フランス国立研究機構(ANR)、公共投資銀行およびテリトリーズ銀行が実施しています。
フランス2030に関する詳細はこちらをご覧ください:france2030.gouv.fr | @SGPI_avenir
ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォーム、3次元設計のソフトウェア、3Dデジタル・モックアップ、プロダクト・ライフサイクル・マネジメント(PLM)ソリューション等について、詳しくはホームページをご覧ください。
ダッソー・システムズとつながるソーシャル・アカウント
Inriaについて
Inriaはフランスのデジタル科学技術のための国立研究機関です。世界屈指の研究、技術革新、リスクを厭わない起業家精神がそのDNAに組み込まれています。プロジェクトチームの多くが主要な研究大学と協働しており、3,900人以上の研究者とエンジニアが、課題達成のために、各分野にわたる産業界のパートナーと協力しながら意欲的に新しい道を探究しています。Inriaは技術研究所として、オープンソースソフトウェアの公開から技術分野のスタートアップ企業(ディープテック企業)の設立まで、多様なイノベーションの手段を支援しています。
IHU PRISMとギュスターヴ・ルッシー研究所(Gustave Roussy)について
IHU PRISMは、癌治療において革新的なビジョンに基づく研究機関であり、ギュスターヴ・ルッシー、パリ=サクレ大学、CentraleSupelec(サントラル・スペレク、工学系グランゼコール)、国立衛生医学研究所(Inserm)、Unicancer(ウニカンサー、癌治療および研究に特化したフランスの非営利組織)の5つの組織からなるコンソーシアムによって支えられています。その目的は、各患者の癌の生物学的な特性をより深く理解して、診断と同時に最も浸潤性の高い腫瘍を特定し、イノベーションをベースに治療効果を最大限に引き出せる別の予防から回復を提案することです。これを実現するために、循環マーカー分析、AI、オルガノイドなどの革新的なツールや手法を利用しています。また、PRISMは癌の評価や分類の方法を臓器ベースから分子レベルに見直すことを目指しています。
IHU Lirycについて
Lirycは心拍障害に特化した世界で唯一の研究機関です。Lirycは、研究、イノベーション、治療、教育の4つの使命を果たすことに尽力しています。その目的は、こうした疾患が生じるメカニズムを理解し、治療法や診断ツールを開発することで、より効果的に患者を治療し、そこから得られる専門知識を伝えていくことです。Lirycには、世界中の研究者、医師、エンジニア、数学者が集結しています。独自の技術環境とダイナミックなエコシステムにおいて、Lirycは未来の治療ツールを開発し、こうした主要な公衆衛生の課題に対応する支援を行っています。Lirycは、フランス政府による「Investissements d’Avenir – 未来投資」計画の一環として設立された7つの大学病院研究所(IHU)の一つであり、フランスにおける医学研究とイノベーションを促進することを目的としています。創立メンバーには、ボルドー大学、ボルドー大学病院、Inria、ヌヴェル・アキテーヌ地方行政区が含まれています。
IHU Strasbourgについて(www.ihu-strasbourg.eu)
IHU Strasbourg(ストラスブール)は、学際的な研究機関で、個別化された効率的かつ安全な患者の治療を実現する革新的な画像誘導治療の開発と普及を専門にしています。その目的は、外科患者のために新たな治療の基準を確立することで、手術準備から通常の生活に戻るまでの治療計画全体を考慮し、考え得る最善のQOLを患者に提案することです。この研究所の使命は、患者の治療、探索的臨床試験、教育、技術移転という4つの重要な柱に焦点を当てています。これらの使命には、患者QOLの向上、新しい治療法の研究、革新的な医療機器の開発、そして未来の医療の進歩を支える知識の学習と普及が含まれています。
IHU FOReSIGHTについて
2019年にIHUの認定を受けたIHU FOReSIGHT(フォーサイト)は、眼科領域で研究を加速し、治療イノベーションを可能にすることで、明日の医療の実現を目指しています。この研究所は、15-20国立病院、ソルボンヌ大学、国立衛生医学研究所(Inserm)、視聴覚研究財団(Fondation Voir et Entendre)によって設立されました。IHU FOReSIGHTには、15-20国立病院や視覚疾患に関する基礎および探索的臨床試験に特化した国際研究センターであるパリ視覚研究所(Vision Institute of Paris)などを含む眼科専門センターが含まれています。
Institut Imagineについて
ネッケール=アンファン・マラード病院のキャンパスに位置するInstitut Imagine(アンスティテュ・イマジン)は、遺伝性疾患に関する研究、医療、教育の分野で世界をリードしています。研究所の建物は、建築家のジャン・ヌーヴェルとベルナール・ヴァレロの設計により建てられました。そこに、患者と共に働く約1,000人の研究者、医師、研究者教員、エンジニア、医療従事者を一堂に集め、患者と共に研究、診断、そして遺伝性疾患の影響を受ける家族の生活を改善する治療イノベーションの加速を目指しています。Institut Imagineは、2011年と2019年に「大学病院研究所(IHU)」として、2020年には「カルノ研究所(Institut Carnot)」として認定を取得しました。この研究所は、パリ公立病院連合(AP-HP)、フランス国立衛生医学研究所(Inserm)、パリ市立大学(Université Paris Cité)の他、民間の共同出資企業ならびに後援団体を含む創設メンバーの6つの組織によって支えられています。フランスでは、1日に64人の新生児が遺伝性疾患を持って生まれてきます。8,000種近くの遺伝性疾患が3百万人以上の人々を侵し、そのうちの約半数が診断されない状態で、8割以上の治療法が未だ確立されていません。国民の健康を脅かす緊急の事態に、診断と治療という2つの課題に取り組まなければなりません。
Institut du Cerveauについて
2010年に創設されたパリ脳研究所(Paris Brain Institute)は、脳の研究と神経疾患の新しい治療法の発見に特化した科学医療研究センターです。研究所では、患者、医師、研究者、企業が協力して共通の目標に取り組む革新的なモデルを採用し、基礎研究を重ねて見つけ出した新しい医療の種を、学際的なトランスレーショナルリサーチを通じて、治療ソリューションに繋げることを目指しています。パリ脳研究所は、ヨーロッパ最大の神経内科センターであるピティエ=サルペトリエール病院の中心にあり、27の研究チームに800名以上の国際的な専門家が所属し、10種類の最先端技術プラットフォーム、臨床試験センター、トレーニング機関、リビングラボ、ビジネスインキュベーターを有しています。パリ脳研究所は、ソルボンヌ大学、フランス国立衛生医学研究所(Inserm)、フランス国立科学研究センター(CNRS)による共同研究ユニットならびに公益性が認められた私立財団であるICM Foundationとの提携を基盤に、パリ公立病院連合(AP-HP)と協力関係にあります。
IHU ICANについて
2011年にピティエ・サルペトリエール病院内に設立されたIHU ICAN(心臓代謝・栄養学研究所)は大学病院研究所であり、糖尿病、肥満、脂肪肝(MASH)、心臓病、血管障害などの心血管代謝疾患に関する探索的臨床試験に関わるセンター・オブ・エクセレンス(CoE)でもあります。我々の目標は、心血管代謝疾患の発症リスクに寄与する決定要因を統合した新しい個別化医療の促進に貢献することです。創設メンバーであるパリ公立病院連合(AP-HP)、フランス国立衛生医学研究所(Inserm)、ソルボンヌ大学(SU)の支援の下、IHU ICANは最先端の科学プラットフォームと、マルチオミックス、新しい画像診断、データ統合、AIに重点を置いたトランスレーショナルリサーチに関する独自の専門知識を構築しています。 IHU ICANは、医師170名、研究者220名、有効な臨床試験数50件、6つの希少疾患リファレンスセンター、4つの革新的なケアパスウェイ、科学論文6,000編、グループ・登録台帳・臨床試験の患者数を含む約42,000人以上で構成されています。今日、ICANは心臓代謝と栄養疾患におけるヨーロッパ有数の研究所の一つで、そこに基礎研究と臨床研究のチームを結集しています。
ナント大学病院(CHU de Nantes)
ナント大学病院はナント市の中心に位置し、約13,000人のスタッフが平等、継続性、中立性、適応性という公立病院サービスの価値の向上に貢献しています。ナント大学病院は9つの施設において、地域レベルおよび複数の地域間レベルの両方でセンター・オブ・エクセレンス、医療リソース、文献を有し、ナント/サン=ナゼール都市圏の約800,000人の住民に対して、日常的な地域医療を提供しています。ロワール川の南岸に建設中の新病院は、2027年に完成する予定です。この病院は、将来の医療地区の基盤となる、ヨーロッパ規模のプロジェクトです。2004年に創設された胸部疾患研究所は、心臓、血管、代謝疾患に特化したトランスレーショナルリサーチ機構です(ナント大学病院/国立衛生医学研究所/国立科学研究センター/ナント大学)。そこでは、研究、臨床試験、高度なトレーニングが一つの組織内に統合されています。胸部疾患研究所の目標は、詳細に文書化された大規模なバイオコレクションを基に遺伝的なリスク要因、バイオマーカー、治療標的を特定し、患者治療の質を向上させることです。これらのバイオコレクションは、現実の患者の経験と未対応の医療ニーズが基になっています。
inHEARTについて
inHEART社は、フランスのペサックに拠点を置くディープテック・ヘルスケアのスタートアップ企業です。inHEART社は国立情報学自動制御研究所(Inria)、ボルドー大学病院(CHU de Bordeaux)、ボルドー大学からのスピンオフとして設立されました。この企業は、心臓専門医向けにAIを活用したウェブベースのSaaSソリューションを開発しています。医師がアップロードした心臓の画像と心電図から患者の心臓のデジタルツインを作成し、不整脈治療のサポートや心臓病の予防/スクリーニングを実現します。当社は大規模な臨床データを有し、Class II CEマークと510(k)クリアランスも取得しています。inHEART社は、2022年にSaaSソリューションのビジネスを開始し、ヨーロッパ、米国、アジア諸国で急速にユーザーベースを拡大してきており、現在は140以上の病院で利用されています。この企業では、心臓突然死、脳卒中、心不全の予防とスクリーニングを実現するために、膨大な注釈付きの臨床データを強力な予測AIに学習させています。このSaaSソリューションは、2024年から複数のフェーズでリリースされる予定です。
codocについて
codoc社は、業務アプリケーションの開発と医療データウェアハウスの展開に特化したヘルステック企業です。codoc社は、研究を加速して患者治療の質の向上を図るために、医療研究関係者が医療データを再利用できるようサポートしています。2017年に創設されたcodoc社のソリューションは、その価値が認められ、現在ではフランスの15の病院に実装され、100編以上の科学論文で引用されています。詳細についてはこちらをご覧ください。http://www.codoc.co/
Qairnelについて
Qairnel社は、国立情報学自動制御研究所(Inria)とパリ脳研究所(Paris Brain Institute)のスピンオフとして設立された企業です。私たちは、記憶障害を専門とする初のデジタルクリニックであるdocteurmemo.frを立ち上げました。患者は、オンラインスクリーニングツールと、提携する医療専門家のネットワーク上に統合されたケアパスウェイを利用することができます。生成AIツールで各患者の病気の進行を予測し、進行パターンが顕著に現れる患者の予測データを臨床試験で活用することで、コストを抑えつつ短期間で精密な臨床試験を実施することが可能になります。
Neurometersについて
Neurometers社は、ピティエ=サルペトリエール キャンパス(AP-HPおよびソルボンヌ大学)内のパリ脳研究所からスピンオフしたスタートアップ企業です。当企業は、健常者と意識障害を抱える患者を対象に、リオネル・ナカシュ氏(ソルボンヌ大学、AP-HP)とハコボ・シット氏(Inserm)によって行われた意識に関する認知神経科学の研究の下、設立されました。各被験者の脳波(EEG)から認知と意識状態を示す脳の活動パターンを計算し、その結果を機械学習アルゴリズムに学習させることで、特定の認知プロセスや意識状態を識別できるようにします。このアルゴリズムついては、いくつかの研究で意識障害とアルツハイマー病の両方の分野に医学的関連性があることが実証されています。
ダッソー・システムズについて
ダッソー・システムズは3DEXPERIENCE®カンパニーとして人類の進歩を促す役割を担い、企業や個人のお客様に対して、持続可能なイノベーションを実現するためのバーチャル コラボレーション環境を提供しています。当社のお客様は、3DEXPERIENCEプラットフォームとアプリケーションを用いて現実世界のバーチャルツイン・エクスペリエンスを生み出すことで、製品やサービスの創出、製造、ライフサイクルマネジメントのプロセスを再定義できるので、世界をより持続可能にするために意義のある影響をもたらすことができます。また、ダッソー・システムズはお客様と共に、消費者や患者、市民など全ての人々のために、人間中心の経済活動であるエクスペリエンス・エコノミーを推進しています。ダッソー・システムズは150ヵ国以上、あらゆる規模、業種の30万を超えるお客様に価値を提供しています。より詳細な情報はホームページ、https://www.3ds.com/ja(日本語)、https://www.3ds.com(英語)をご参照ください。
3DEXPERIENCE、3DSロゴ、Compassアイコン、IFWE、3DEXCITE、3DVIA、BIOVIA、CATIA、CENTRIC PLM、DELMIA、ENOVIA、GEOVIA、MEDIDATA、NETVIBES、OUTSCALE、SIMULIAおよびSOLIDWORKSは、フランスの法律に基づいて設立された欧州会社(Societas Europaea)であり、ヴェルサイユの商業裁判所書記課に登記番号322 306 440で登録されているダッソー・システムズ、またはアメリカ合衆国やその他の国におけるダッソー・システムズの子会社の商標もしくは登録商標です。