2018.9.18:2018 Siemens PLM Software インダストリーアナリストカンファレンス “Innovation without Boundaries (境界なきイノベーション) ” (CIMdata論評)


“Innovation without Boundaries” the 2018 Siemens PLM Software Industry Analyst Conference (CIMdata Commentary)


重要事項:

 Siemens PLM Software (Siemens) は、顧客が新しい製品、システム、ビジネスモデルを開発・展開するために活用できるユビキタスなイノベーションプラットフォームを創出し、いっそうインテグレーションした包括的なソリューションを構築しています。

  • Siemensは、社がジェネレーティブエンジニアリングと呼ぶメカニカル/ジオメトリ、エレクトロニクスシステム、およびジェネレーティブなアーキテクチャレベルの考えを含めるためにジェネレーティデザインの見方を拡大。
  • Siemensのクローズドループデジタルツイン戦略は、社の顧客のデジタルトランスフォーメーションをサポートする上で最も広範で奥深いもの。同社の自律的なモビリティへのアプローチは、仮想および物理的な製品からドライブのエクスペリンスまで、社のデジタルツイン戦略を拡大するものである。したがって、企業は、製品が動作している環境の一環としてデジタルツインイニシアチブを追求することができる。
  • Siemensは、デジタルトランフォーメーションの基本技術としてアディティブマニュファクチャリング (AM) を考えているという明確なメッセージを出した。同社は、Siemens Additive Manufacturing Networkを通じて、機器、材料、サービスのプロバイダへのデジタルおよび物理アクセスを集約することで、AMのグローバル採用を加速し、変革し、拡大している。
  • Siemensは、幅広いエコシステムのトップクラスのパートナー、Siemensとその顧客のいずれにもデジタルトランフォーメーションの目標をサポートする専用アプリケーションを開発する能力であるMendixの買収により、成長するアプリベースなどを含め、インダストリアル IoT (IIoT) 向けの広範なサービスを迅速に提供している。
  • Siemensは、クラウドを使用したデジタルイノベーションプラットフォームの提供をサポートするために、PaaSとIaaSに対するサポートを拡大し続けている。

 CIMdataは最近、2018年8月27日から30日まで、米国マサチューセッツ州ボストンで開催されたSiemens PLM Softwareの11th annual analyst conference (第11回年次アナリストカンファレンス) に参加しました。このイベントは、100人以上の業界アナリストとジャーナリストが参加して、Siemensのソリューションポートフォリオ拡大・進展につれて拡大し続けています。

基調講演

 オープニング基調講演、“How Continuous Innovation Accelerates Digital Transformation (継続的なイノベーションがデジタルトランスフォーメーションを如何に加速させるか) ” 、Jan Mrosik博士、Digital FactoryのCEOは、PLMビジネスユニットからそのビジネスを推進するなど、顧客向けのソリューションを開発し、自社独自のテクノロジーを使用することいずれものSiemens AGのデジタルエンタープライズへの発展・進化について説明しました。氏は、Siemens AGは、24,500人以上のソフトウェアエンジニアとデジタルサービスや産業用アプリケーションを含む250以上のデジタルサービスを提供するトップ10のソフトウェア企業であると明言しました。氏は、同社は2020年までにSiemens AGが3つの戦略企業と3つの事業会社で組織されると述べました。計画されている事業会社の1つであるDigital Industriesは、プロセスとディスクリート産業のデジタルトランスフォーメーションの推進に注力します。CIMdataは、このデジタル産業への集中が、ビジネスユニット全体でSiemensの顧客に重要な機能を提供する可能性があると考えています。

 Mrosik博士は、Siemens AGが過去11年間、ソフトウェアとオートメーションの世界を結びつける仕事をし、社内開発と戦略的買収 (10億ドル+) を組合わせて仮想世界とデジタル世界を如何にインテグレーションして進めたかを説明しました。氏はまた、Bentleyのソフトウェアツールを使用してインフラのデザインとシミュレーションを行いSiemens softwareのソフトウェアポートフォリオを体系的に拡張することも発表しました。Siemensは現在、Bentleyの9%を所有しており、両社は共同投資資金を1億ドルへと倍増しています。プラントデータ管理とデザイン・設計 (すなわち、Bentley ProjectWise、COMOS、およびサードパーティの製品) は、Teamcenterをコラボレーションプラットフォームとして使用して、企業データとより緊密にインテグレーションされます。BentleyのiModel製品に基づいて、2つのテクノロジーをインテグレーションすることで、大規模で複雑な製品を総合的にカバーします。BentleyのiModel製品をベースに、2つのアーキテクチャをインテグレーションし、建築、エンジニアリング、および建設 (AEC) 業界への製造アプローチを継続的に適用します。CIMdataは、シーメンスが両者の共通な顧客に実質的な価値をもたらすことができると期待しています。

 Mrosik博士はその後、製品、生産、および性能のツインを含むバリューチェーン全体にわたる総合的なデジタルツインをSiemensがどのように作成したのかを論じました (図1) 。氏は、Siemensがデジタルエンタープライズスイートを使用して、メカニカル、エレクトロニクス、およびソフトウェア分野全体でデジタルツインを提供できると述べました。氏は、Siemensの強みの1つは、全世界の250+の工場で、デジタルソリューションとPLMスイートを適用していることで洞察・識見を得ていると言及しました。たとえば、ドイツのアンバーグにあるSiemensのエレクトロニクス製造工場は、1990年以来13倍の生産量増加を達成しており、1,200種類の製品を処理するために1日あたり約350回の変更を行い、1日に組み立てられる120種類以上の製品バリエーションにわたって、99.9999%の品質レベルを維持しています。これらのすべてのゲインは、1990年以来ほぼ同数の従業員で行われました。

図1 - デジタルツイン製品、生産、およびパフォーマンス
 (Courtesy of Siemens PLM  Software)

 Mossik博士の後、Siemens PLM SoftwareのTony Hemmelgarn社長兼CEOは、Siemens PLM Softwareが “Innovation Without Boundaries (境界なきイノベーション) ” の実現にどのように役立っているかを論じるためにステージに立ちました。氏はXeroxのチーフ・サイエンティストであり、ユビキタス・コンピューティングの父であるMark Weiser氏の “最も重大な技術は消えて行くような技術です。それらは日々の生活の中に見分けがつかなくなるまで織り込まれています。“ を引用しました。Hemmelgarn氏は、SiemensはPLMスペースで、透明でシームレスなイノベーションプラットフォームをユーザーに提供し、まさにそれを実行していると主張しています。しかし、氏は、ユビキタスなイノベーションを実現するためには、プロセスの奥深いインテグレーションと理解が必要である一方、アイディエーションから実現、そして利用の境界をなくす必要があると言及しました。CIMdataはこの戦略に同意します。ユーザーは、環境が ”どのように” 動作するかについて気にしておらず、”自分はどのアプリケーションが必要か” あるいは ”データがどこにあり、自分はそれをどう入手するか” などについて考えることなく自分の仕事をできるようにしたいだけです。Hemmelgarn氏は、Siemensはとてつもない変革上のビジネス価値を持つインテグレーションされたソリューションに注力していると述べています:

  • クローズドループデジタルツイン (Closed-Loop Digital Twin)  - 企業が’ビジネスを行う方法を変えるために実世界のパフォーマンスの洞察・識見を使用する。
  • ジェネレーティブエンジニアリング - 最適なデザイン・設計とシステムを飛躍的により速く手にするためにエンジニアリング調査・探求を自動化する。
  • IIoT / EDGE - 新しいビジネスモデルを発見するために、生産性を高め、製品を最適化し、IoTの洞察・識見を活用する。
  • デジタルファクトリー - 構成可能で柔軟性のあるパーソナライズ化の生産を達成・実現するためにインテリジェントに自動化されたデジタルファクトリーを構築する。
  • アディティブマニュファクチャリング - 有用な部品を大規模にデザイン・設計し生産するためのアディティブマニュファクチャリングを工業化する。
  • 自律/電化 (Electrificatio) - 1つの環境でシステム全体のデザイン・設計と検証をインテグレーションすることでより迅速に自律モビリティ (autonomous mobility) を実現する
  • E/Eシステムインテグレーション - 複雑な電気、電子、および機械のシステムズオブシステムズのデザイン・設計と製造を最適化する。
  • エレクトロニクス製造 - 正しく/速く/短時間に製造を実現するためにエンジニアリングと計画を “left-shifting” することでNPIを加速する。
  • PaaS/SaaS/Cloud - 柔軟なクラウドソリューションと迅速なアプリケーション開発により、迅速に市場投入するために継続的なイノベーションを引き起こす。

 CIMdataは、Siemensの戦略的な方向性が、Siemensの非常に幅広い技術ソリューションスイートをより効果的に活用し、新しいイノベーティブ的な製品、システム、サービスを創出するのに役立つと考えています。

 Hemmelgarn氏のセッション、“Innovation Without Boundaries (境界なきイノベーション) ” は、Siemens PLM Softwareの業界トレンドの見方とそれらがどのように進化し続けているかについてのアップデートを提供しました。氏のビジネスアップデートの一環として、Hemmelgarn氏は、Siemens PLM Softwareの事業は10%以上の内部成長 (organic growth) を享受し、収益で34億ユーロ以上を達成していることを明らかにしました。氏は、過去1年間にクラウド収入は2倍になり、数千のTeamcenterユーザーをクラウドで実行していると述べました。さらに、社はMicrosoft AzureとAmazon Web Services (AWS) の両方で認定され、AWSのIndustrial Software Competency Programの唯一のPLMソリューションプロバイダーです。氏は、Siemensはクラウド対応アプリケーションの提供とクラウドネイティブソリューションの開発を行っていますが、顧客にクラウドを押し付けることは考えてないことを述べました。Siemensは、クラウドインフラストラクチャとソリューションを何時、どのように使用するかは各顧客の決定に委ねるとしています。CIMdataはこれが顧客が感謝する非常に実用に即したアプローチだと考えています。

 以下のセクションでは、会議の内容を整理するために使用された多くの戦略的テーマについて詳しく説明します。

ジェネレーティブエンジニアリング
(Generative Engineering)

 Siemensは、次世代の製品エンジニアリングを可能にするジェネレーティブエンジニアリングのコンセプトを導入しました。それは異なるドメイン間の合成 (synthesis) と最適化 (メカニカル、電気/電子、組込ソフトウェア、制御など) を必要とする複雑なサイバーフィジカルシステムのイノベーティブなデザイン・設計、開発、製造をサポートするものです。産業界は、3Dデザイン、シミュレーション、トポロジー最適化、製造 (アディティブとサブトラクティブの両方) の新技術の優位性を活用するためのジェネレーティブデザインのコンセプトを採用していますが、主にサブシステムとコンポーネントレベルに焦点を当てています。ジェネレーティブエンジニアリングは、最適なアーキテクチャーデザインの代替案を特定するために機能的要件やデザインの検討をして、クローズドループループで反復され、システム、サブシステム、およびコポーネントデザインレベルの全体が管理されて製品設計の全体的なシステムレベルのビューにこれを展開・拡大します。異なるドメイン間のベストプラクティスとチームのナレッジキャプチャ及び学習がされ、グローバル組織とサプライチェーン全体でコラボレーションが可能になります。CIMdataは、Siemensのアプローチが、電気/電子、ソフトウェア、IC設計などの他の領域を含めることによって、ジオメトリ-を重視したジェネレーティブデザインに比べて、ジェネレーティブデザインの価値を大幅に拡大すると考えます。

 Siemensのジェネレーティブエンジニアリングのアプローチの重要な要素は次のとおりです:

  1. プロセスおよびナレッジキャプチャ、多次元アナリティクス、エンジニアリングおよび製造分野全体にわたるクローズドループフィードバックによるシステムレベルのデザイン・設計自動化を可能にする共通の製品イノベーションプラットフォーム基盤 (Teamcenter) 
  2. 複数分野、マルチフィジックス、マルチスケールのモデリングとシミュレーション、堅牢な設計と最適化、マシンインザループ (MIL) / ハードウェアインザループ (HIL) / ソフトウェアインザループ (SIL) / ヒューマンインザループ (HIL) 向けの高度な機能
  3. 物理プロトタイプテストによるモデル検証と妥当性確認のための機能を備えた概念システムとコンポーネントレベルのデザイン・設計ツール
  4. データ相互運用性のための業界標準、そして要件、機能、論理と物理ドメインをサポートする広範に使用されているシステムアーキテクチャモデリング言語に基づくオープンクロスドメインプラットフォーム
  5. 稼働中のデータ (In-service data) をTeamcenterを介して製品ライフサイクル全体にわたってSiemens MindSphereなどのIIoTプラットフォームにデジタルモデルと組み合わせることができる。

クローズドループエジタルツイン (Closed Loop Digital Twin)

 このイベントを通してSiemensとその顧客の両者が、クローズドループプロセスにおける全体論的なデジタルツイン (holistic digital twin) の重要性と用途について説明しました。講演者は、デジタルツインの完全な忠実度を達成するには、製品、生産、パフォーマンスを含める必要があり、機能的なツインを展開・開発することはシステムのインテグレーション作業になると述べています。それは単にジオメトリーだけではなく、ソフトウェア、エレクトロニクス、ネットワークなどの要素が含まれている必要があります。Siemensは、クローズドループデジタルツインの基盤について、次のような特徴があると説明しました:マルチドメイン - 製品全体を開発する

  • 深さ・奥行き - 可視化やVRにより、ドメイン間の統一されたコンフィグレーションを提供する
  • 多分野/領域 - より多くの人々のさらなるビジネスプロセスをサポートする
  • 追跡可能 (Traceable) - 仮想的にすべてのステップを検証してテストする
  • つながる - プロセス全体に通知する;デザインナレッジ、デザイン・設計に実世界をフィードバック、シミュレーション、そして製造情報
  • 最新式 (Modern) - スケーラブルでオープンで低コストのアーキテクチャを基盤に構築される

 Siemensは、実世界と仮想世界の双方向のアクティブフィードバックループによって実用価値あるインテリジェンスを提供するためにこの詳細に渡る定義 (full definition) を用いています。CIMdataは、Siemensの全体論的なデジタルツインコンセプト (holistic digital twin concept) をサポートしており、企業にとってデジタルツイン技術を最大限に活用するためにはクローズドループープツインが必要であると考えています。

自律モビリティ (autonomous mobility)

 Simulation and Testing SolutionsのSVPであるJan Leuridan博士は、氏のプレゼンを自律型の電気自動車のデザイン・設計、検証、妥当性確認の課題に焦点を当てるために、マッキンゼーが2021年までに200以上の電気自動車のスタートアップが起きると予測、IHSは2035年までに2100万台の自律自動車販売台数の予測、そしてReThinkXの予測は2030年までに1/3のコストで60億の相乗り客マイルを予測を引用しました。過去4、5年の間に、Siemensは、電気および自律型車両の開発を加速するためにLMS、CD-adapco、Polarion、Mentor Graphics、TASS International、Infolytica、Sarakolなどの事業の戦略的買収をしました。CIMdataは、Simulationの自律可動性のビジョンを達成するためには広範なマルチフィジックス機能への投資が不可欠であることに同意します。

 Siemensの製品は、モデルを支援し、シリコン、システムオンチップ (SoC) 、ICボード、ECU、サブシステム、およびその動作環境内の車両全体に対するあらゆるステップのデザイン・設計、検証、妥当性確認へのマイクロレベルとマクロレベルでのシミュレーションすることを目的としています。本質的にSiemensの製品は、車両のデジタルツインとその動作環境のデジタルツインの開発を可能にします。これらのツインは、自律型車両が直面する可能性のあるすべてのシナリオを評価・判断するために不可欠です。

 全体として、Siemensは自律型の電気自動車用の信頼性の高いデジタルツインを可能にする一連のソリューションを提供するだけでなく、そのような車両の経済的なデザイン・設計、検証、妥当性確認、そして車両の認定を加速するためのそれら動作環境のデジタルツインも提供しています。

アディティブマニュファクチャリング
(Additive Manufacturing)

 Siemensは、個別の作業からAMをしかるべく位置に据え、単一のコンポーネントあるいはプロトタイプを作成することにより、世界中のあらゆる場所で大量に有用な最高品質の部品を製造するためのエンドツーエンドのビジョンへと、前回のアナリストブリーフィングから大きな進歩を遂げました。

 SiemensのAMソリューションに焦点を当てた多数のプレゼンテーションがありましたが、AMはイベント中に他の多くのプレゼンでもテーマとなっていました。2007年以来、現実世界と仮想世界を組み合わせたSiemens AGのJan Mrosik博士のプレゼンから、同様に、ジェネレーティブデザイン、デジタルファクトリー、デジタルツイン、MindSphere (同社のクラウドオペレーティングシステム) のプレゼンでは、AMは至る所で首尾一貫したテーマとして存在していました。

 Siemens Additive Manufacturing Networkのディレクター、Robert Meshel氏は、Siemens AM Networkが、AM設計コンサルタント、AM材料サプライヤー、特殊プリントショップ、ソフトウェアツールプロバイダーのグローバルな専門知識を活用して、顧客が如何にデザイン・設計をイノベーションして、最終的な部品使用の場所または近くで生産と製造を拡大するグローバルな生産能力を利用して活用するか要点と述べました。氏はまた、Networkを使用することで、如何にエンジニアがより多くのデザイン・設計案を創り出し、実績のあるデザインを個人用の “My Workspace” に保持して、“知的財産 IP (intellectual property) ” の企業AMリポジトリ-を拡大するかについても説明しました。学習の機会を増やし、知識をキャプチャすること (capturing knowledge) は、AMをアートから量産の準備に移行するために不可欠です。その学習を共有することで、商用アプリケーションと収益の可能性を広げることができます。

 Siemens PLM SoftwareのAM戦略についての最重要スポークスマンであるSenior Director Marketing、Aaron Frankel氏は、最終的なエンドユースの生産部品を作るためにAM産業が大きく進歩したにもかかわらず、ほとんどの人々はAMが未だプロトタイプ用であると考えていることを残念がっていました。Frankel氏はこれがどのように変化しているのか、そしてAMに関するSiemensのデジタルツインコンセプトを明確に説明しました - Siemensがプロトタイプの使用からエンドユースの生産に至るまでのどのようにAMの再位置付けしているか、そのコンセプトが製品、生産、パフォーマンスのデジタルツインにどのように拡大しているかについてです (図1参照)。このエンドツーエンドのデジタルツインコンセプトにより、顧客は生産と製品のパフォーマンスから得られた洞察・識見を使用して、ライフサイクル全体を通じて製品のあらゆる面を改善することができます。これらのアプローチは、従来の製造業ではごく一般的であり、何十年にもわたって構築された材料とプロセスの知識ベースを活用しています。AMを商業的に成功させるためには、Siemensやその顧客のような企業は、より速く学ぶ必要があり、その知識を応用して、生産においてAMを使用するために同じ成熟度で迅速に開発する必要があります。

エレクトロニクス製造 (Electronics Manufacturing)

 Fram Akiki氏、Vice President, Electronics Industryは、エレクトロニクス業界における競争は、成熟した産業でのパーソナライズ、極小化、カスタマーエクスペリエンス、そしてアプリケーションによってますます激しくなっているとコメントしています。CIMdataのオピニオンでは、これらの要素は次の制約を考慮して検討されるべきであります: (1) 低コストな遠隔地での製造競争によるコスト、 (2) 工場からの直接搬出やインターネットショッピングによるタイムツーマーケットとダイナミックな在庫、 (3) マスカスタマイズに起因する多変種でいくつもの構成。本質的に、エレクトロニクスの製造業は、ますます増加するプロダクトミックス、需要の変動、自動プロセスの運用パフォーマンスを維持する必要性に対処するために、デジタルトランフォーメーションを受け成し遂げる必要があります

 SiemensのValor DivisionのOren Manor氏、Director of Business Developmenは、マシンツーマシンクローズドループフィードバックやDFM (Design-for-Manufacturing) 分析による製造からデザイン・設計へのクローズドループフィードバックに基づいたエレクトロニクス製造のデジタルトランスフォーマーションを支援するためにSiemensが提供するインテグレーションされた機能をプレゼンしました。氏は、三つの重点分野、すなわちデザイン・設計から製造までのフルフローカバレッジを可能にするインテグレーション、製造のパーフォーマンスと柔軟性の改善・向上、最終的にはフロー全体で整合性 (consistent and coherent) のとれたデータを維持して改善の推進について説明しました。

 スマートなエレクトロニクス製造の中心になるのは、正確で、リアルタイムな製造の活用と全体の機器有効性 (OEE - overall equipment effectiveness) に対するグローバルな電子機器製造オペレーションのモニタリングと管理をSiemens MindSphereによりサポートするValor IoT Manufacturing Analyticsプラットフォームです。サプライチェーンのパフォーマンスをグローバルにサポートするために、Valor shop-floor modulesのデータソースを収集して管理することで、マテリアル管理、現場の機器、トレーサビリティ、サプライチェーンオペレーション、製品品質の可視化を提供します。 Valor IoT Manufacturing Analyticsは、顧客の要件を満たすことと各ドメイン間のリアルタイムな更新により、エレクトロニクスおよびメカニカルなフロー間のスムーズな接続を容易にすることで、デジタル製品を開発して運用する様々な機会を提供するIoTサービスとソリューションの包括的なスイートを提供します。アナリティクスに基づいたフィードバックループは、電子機器向けのTeamcenter manufacturing、Valor NPI DFM、Valor process preparation、Camstar Scheduling、Valor MSS Materials Management、Valor IoT Manufacturing Analytics、そしてMindConnect Valorで構成されているCamstar electronics suiteを橋渡しします。Siemensは、常に変化するエレクトロニクス業界で企業が競争するのを支援するために、PLM、MES、IoTプラットフォーム、エッジデバイス間の必要とするインテグレーションを提供することにより、デザイン・設計と製造の間に必要なすべてのフィードバックループを可能にするエレクトロニクス製造業の包括的なソリューションを提供しているとCIMdataは観ています。

エッジ&IIoT (EDGE&IIoT)

 Siemensのデジタルイノベーションプラットフォームの差別化要因の中核は、ホリステックなデジタルツイン (holistic digital twin) のサポートです。IoTとIIoTは、このビジョンを達成するための重要なイネーブラです。企業は、社の製造プロセスと社のスマートで接続された製品の両方を準備するために安価なセンサーと通信技術を活用しています。企業は、製品と生産のツインが何をすべきかについて互いのパフォーマンス (performance vis-à-vis) を把握 (track) するために社の製造プロセスと社の製品を測定・記録できます。IIoT実装の主な質問の1つは、これらの戦略が生み出す膨大なデータをどこで管理するかです。SiemensのMindSphere、”クラウドベースのオープンIoTオペレーティングシステム” により、クラウドに直接データをストリーミングできたり、それをエッジと呼ばれるエッジコンピューティングリソースを使用して、ローカルで処理することもできます。現場にローカルに接続されたコンピューティングハードウェアを持つことで、通信コストと時間を削減できます。多くの分析が難しいことなく行われ、ローカルに使われる (consume) ことなります。2018年4月、SiemensはこのIIoTニーズを満たすSiemens Industrial Edge [1] の提供を発表しました。製品ラインに含まれるものは:Edge Management System、Edge Devices、そしてEdge Appsとなります。

 氏の開始の挨拶として、Mrosik博士は、Siemensの成長するIIoTエコシステムについて説明しました:つまり、100万台以上の接続デバイス (昨年80万台以上) 、過去6ヶ月間に600社以上のMindSphere社の新規テナントがあり、全てがSiemensによってサポートをされ、160社を超えるMindSphereパートナーがサポートしています。2018年1月、Siemens AGは、MindSphere World Association アライアンス (MindSphere [2] を中心としたIIoTエコシステムの展開に重点を置く) を発表しました。CIMdataは、MindSphereエコシステムの急速な拡大とこのイベントでの顧客プレゼンで示された進展に感銘しています。Siemensの戦略の中心的な教義は、幅広い市場関係者と協力して作業する必要があるオープン性であります。しかし、CIMdataのオピニオンでは、デジタルイノベーションプラットフォームとホリスティックデジタルツイン戦略は、新しいレベルへの異質性を引き起こす (そして力を与える) ことになります

 我々の日常世界と同じように、Siemensが成功するためには、すべてアプリケーション次第です。もちろん、社の核であるPLMポートフォリオには、幅広い堅牢なアプリケーションが含まれています。同社とそのパートナーは、レポートや高度なアナリティクスを得るために別なエンタープライズナレッジを活用できるMindAppを構築しています。結果は、ユーザーが最も利用できる (consume) 方法で、可能な限り明確かつ迅速に広範囲のユーザーにデリバリーできます。Active Workspaceは、この見込み (promise) を実現するのに役立ちます。しかし、 Siemensとそのエコシステムパートナーは、いくつもの多くのappsを構築することしかできません。ユーザーは、彼らのソリューションプロバイダーよりもしたいことや必要なものについてより適確に理解しています。それを手助けするためになぜツールをユーザーの手に置かないのでしょうか?会議で論じましたが、まだ完了してないMendixの買収により、Siemensは、“low code” 開発プラットフォーム分野のリーダーを迎えるのです。

 Mendixは、70%少ないリソースで10倍高速にアプリを開発するような、派手な効率向上を取りあげています。 PLMの分野では、これはPTCがThingWorxの買収で得たメリットの1つです:つまり、ほとんどまたはまったくないコードでIoTアプリケーションを迅速に開発でき、別なエンタープライズデータソースを容易に活用できることです。 MendixでSiemensは、29カ国650社以上の顧客と6万人以上の開発者による巨大なエコシステムと、Mendixをクラウド・プラットフォームに導入したSAPとIBMの両社を含む135社以上のパートナーによるSiemensのコード量の少ない市場分野のリーダーです。MendixのCEO、Derek Roos氏は、社のアプローチにより、ドメイン知識を持つ人々が自身が必要とするアプリを容易に開発できると述べています。 Mendixは、「既存の如何なるデータベースでも、如何なるレガシーシステムでも、如何なるイベントでも、如何なるサービスでも、如何なるファイルでも、如何なるクラウドでも」としてその社の製品について説明しています。これが本当であり、その成功が示唆されれば、非常に異種の環境をサポートすることができます。Hemmelgarn氏は自身のオープニングセッションでMendix氏の言葉に惚れると述べ、Siemens製品ライン全体がMendixを活用してデジタルイノベーションプラットフォーム全体でより良いソリューションを提供することを楽しみにしていることを明らかにしました。彼の発言で、Hemmelgarn氏は顧客がMendixを使用して、市場への独自のデジタルな解答を構築するプロセスをより迅速にデジタル化する構想示しました。領域専門家 (SME - subject matter experts) が独自のアプリケーションを開発したり、過去に比べて開発に直接貢献したりするためのツールがあれば、これらの新しいアプリケーションがそれらニーズを満たし、デジタルトランスフォーメーションの活動をサポートに必要なペースを提供できるようになります。

IaaS/SaaS

 Innovations、Architecture and Embedded Systemsの副社長であるRay Krok氏は、Siemensのクラウド戦略について説明しました。Siemensは、 Integration as a Service (IaaS) とSoftware as a Service (SaaS) ソリューションの両方を提供する社のデジタルイノベーションプラットフォーム全体にクラウドベースのソリューションを提供するという強い意欲を明らかに示しました。 Teamcenter (PLM) 、MindSphere、およびTIAポータル (Manufacturing Operations Management) は、クラウドプラットフォームサービスとして提供され、SaaSとして提供されるすべてのアプリケーションを備えています。これを図2に示します。 

図2 - SaaSソリューション全体図 (Courtesy of Siemens PLM Software)

 CIMdataのクラウドPLM導入に関する調査によると、PLMの見通しは現在「クラウド対応」となっており、調査対象の回答者の94%が今後2年以内にクラウドPLMソリューションを導入し、37%がクラウドのみのPLM導入を計画しています。

 Mr. Krok氏は、Teamcenterが最近、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)両方での使用が認定され、いくつかのグローバルクラウドプロバイダーをサポートすることを発表しました。 近い将来、他のグローバルクラウドサービスプロバイダーのサポートも計画されています。

 CIMdataは全体として、 Siemensが幅広い製品ラインをサポートし、すべてのクラウドおよびIIoTトランザクションのために管理された安全なプラットフォームとしてMindSphereを使用して、クラウド対応製品のサポートを進めたことに感心しています。

まとめ (Conclusion)

 この解説 (commentary) はいつもよりも長くなっていますが、ある意味で、この2日半の間のアナリストイベントで提供された情報の表面だけをかすめたにすぎません。SiemensのPLMソリューションのポートフォリオは非常に広範囲になり、このようなイベントの1つが実際にはそれを収めるのに十分な大きさではありません。戦略的なテーマを中心にイベントを開催することは、Siemensのポートフォリオのさまざまな部分を組み合わせて使用​​して、それらのテーマに対処する方法を示すのに役立ちました。Siemensには長い間、社の努力が広範囲に及び多様で奥深いものでした。何度も世界最大のメーカーの一員であるメーカーは、PLMの競合他社やその戦略的テーマをめぐり競合他社が勝つのが難しい戦略的優位性があることを証明しています。これらのツールをすべて使用し、最適化されたプロセスフローを作成するために行われた作業により、Siemensは、ほとんどの産業組織で一般的に見られる異種・混成のソリューション環境でこれらベンフィットのすべて提供することに挑戦しています。社の多くのプロセスとワークフローは、Siemens製品の組み合わせを使用することが最も効果的に見えます。しかし、MindSphere、クラウド、アディティブマニュファクチャリング、そしてMendixの買収を通じて構築するエコステムへのSiemensの取り組みは、顧客がどこにいるかを把握し、PLM、デジタリゼーション、Industry 4.0のビジョンに到達することの支援をコミットしています。

[1]https://www.siemens.com/press/en/pressrelease/?press=/en/pressrelease/2018/digitalfactory/pr2018040239dfen.htm
[2]https://www.siemens.com/press/en/pressrelease/?press=/en/pressrelease/2018/corporate/pr2018010136coen.htm

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