~Meister SRMポータル、およびAsset Administration Shell技術注1を用いたデータ連携・交換を実証~
株式会社東芝(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:島田 太郎、以下 東芝)と東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 東芝デジタルソリューションズ)は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める 「Green x Digitalコンソーシアム」主催の「仮想サプライチェーン上におけるCO2データ連携」実証試験フェーズ2に参加し、同コンソーシアムに参加する32社とともに、CO2データの算定・データ連携に成功しました。具体的には、仮想サプライチェーン上で、同コンソーシアムが策定したCO2データ注2算定方法と技術仕様を用いて、CO2データの算定から流通、見える化の実証を行い、各社のソリューション間でデータ連携ができることを確認しました。
今回の実証実験では、同コンソーシアムの見える化ワーキンググループが策定した「CO2可視化フレームワーク」および「データ連携のための技術仕様」注3に基づき、パソコンを題材としてCO2データの算定と、各社ソリューション間での算定データの受け渡しを行い、最終的に複数社にまたがるサプライチェーン上でのCO2データの算定を行いました。「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」は、国際的な取り組みであるWBCSD Partnership for Carbon Transparency(PACT)注4との連携を強化し、グローバルレベルでの相互運用性を確保しつつ、アップデートされていくものとされています。
東芝と東芝デジタルソリューションズは、この実証試験に製造業者として、ソリューションを提供するソリューション企業と、ソリューションを利用するユーザー企業の双方の立場で参加しました。
ソリューション企業の立場では、東芝デジタルソリューションズが提供しているサプライチェーン・プラットフォーム「Meister SRM™ ポータル」 注5と他社のソリューションとを連携し、同コンソーシアムが作成した「データ連携のための技術仕様」を用いてCO2データの受け渡しを行う仕組みの試作を行うことで、これまで個別に利用されてきた各社のソリューションとの間でサプライチェーンをまたがったCO2データの流通が可能であることを実証しました。
同時に、ユーザー企業として同コンソーシアムの仕様に基づくCO2データの算定作業を実施し、サプライチェーンの上流企業から提供されるCO2データをデータ通信により取得し、算定に必要な情報の収集、それをもとにした算定作業が実現可能であることを実証しました。
さらに東芝と東芝デジタルソリューションズは、ユーザー企業の観点から社内に留めおきたい製品の構成管理は社内で管理し、Scope1/2を中心に他社製のCFP(Carbon Footprint of Products)算定外部ソリューションと連携を行うCO2データの算定の仕組みを検討し、試作による確認を実施しました。
この中ではインダストリー4.0の推進団体や企業によってその具体化や活用が進められているAsset Administration Shell(AAS)技術と、PACT(Partnership for Carbon Transparency)との相互運用性について検証を行い、ユーザー企業として不可欠な製造現場からのデータ集計と、CO2データ以外を含むより汎用的な海外のデータ連携基盤との連携につなげるための基礎技術の有効性確認を行いました。
社内CEP算段ツールに検証ポイント
東芝と東芝デジタルソリューションズは、今回の実証試験で得られた知見をもとに気候変動や環境への対応を迫られる製造業に対して、その解決策を提案し、ユーザー企業にとり利用しやすいCO2データの円滑な流通環境、および、データ提供企業のメリットを見出せるアプリケーションサービスを実現するサプライチェーンネットワーク環境の提供を目指します。
注1 Asset Administration Shell(AAS)技術:
インダストリー4.0のカギとされるデジタルツイン技術を開発している
IDTA(https://industrialdigitaltwin.org/en/)が進めている企業の所有する物理的または論理的な「資産」の標準化されたデジタル表現であり、製造システムを管理するアプリケーション間の相互運用性の基礎となるものとして、製品のカタログ情報の記述からOTレイヤからのデータ収集、さらにはCatena-Xに代表されるデータ連携基盤まで含めた幅広い分野で導入が進められている技術。
Plattform Industrie 4.0
https://www.plattform-i40.de/IP/Navigation/EN/Home/home.html
注2 CO2データ:
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)が定める
温室効果ガス排出量(GHG排出量)の二酸化炭素換算(kg-CO2 eq)
注3 「CO2可視化フレームワーク」および「データ連携のための技術仕様」について:
サプライヤー企業の削減努力を反映した一次データに基づくCO2データの流通の実現を目的に、デジタル技術を活用してサプライチェーン内で交換されるCO2データについて、算定ならびに共有ルールを提示する方法論文書「CO2可視化フレームワーク」と、共通データフォーマットと連携仕様を提示する技術文書「データ連携のための技術仕様」。双方、国際的な枠組みであるWBCSD PACTによるPathfinder FrameworkならびにPathfinder Networkのアプローチを取り入れながら、参加企業のニーズや国内制度等を踏まえた独自の要素も含む。
CO2可視化フレームワーク:
https://www.gxdc.jp/pdf/CO2_VisualizationFrameworkEdition_1.0.pdf(4.11MB)
注4 WBCSD Partnership for Carbon Transparency(PACT)について:
WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は、持続可能な開発を目指す企業約200社のCEO連合体。GHGプロトコルの主催団体。Partnership for Carbon Transparency (PACT) は、WBCSDの下、バリューチェーンにおける排出量の透明性を高めて脱炭素化を加速することを目的として活動。排出量データ交換に必要な方法論と技術仕様を定義し、Pathfinder FrameworkならびにPathfinder Network Technical Specificationsとして公表中。Green x Digitalコンソーシアムは、PACTのエコシステムに参画。
Webサイト:https://www.carbon-transparency.com/
注5:東芝デジタルソリューションズ ニュースリリース 2022年10月19日発表
サプライチェーン・プラットフォーム「Meister SRM™ポータル」を提供開始
~ものづくりに関わる企業同士が繋がり、サプライチェーンを強靭化・高度化するサービスを提供~
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/1019.html
Meister SRMは、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
■ サプライチェーン・プラットフォーム 「Meister SRM™ ポータル」
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/manufacturing-ict/meister-srmportal.html
本件の参照先:https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2023/08/news-20230804-02.html