強化されたMBSE機能、AIを活用したパフォーマンス予測、利便性の高いクラウド環境などにより、次世代製品の設計を強力に支援します
サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:安江 令子、以下「サイバネット」)は、ANSYS, Inc.(本社:米国ペンシルベニア州、以下「Ansys」)が開発・販売・サポートするマルチフィジックス解析ソフトウェア「Ansys®(アンシス、以下「Ansys ソフトウェア」)」の最新バージョン、Ansys 2023 R1の販売および技術サポートを開始することをお知らせします。
Ansys 2023 R1では、新しいクラウドオプションと複数の GPU※1の最適な使用により、複雑な製品のシミュレーションをこれまで以上に高速に実行できるようになりました。また、MBSE※2ワークフローとの統合によって、シミュレーションの効果をさらに高めます。さらに、AI(人工知能)やML(機械学習)をはじめとした先端技術の活用により、効率性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上します。Ansys 2023 R1は、向上したシミュレーション性能、分野横断的に統合されたワークフロー、革新的な新機能を提供し、お客さまの課題解決と世界を変えるような次世代製品の設計を強力に支援します。
【Ansysソフトウェアとは】
構造・熱流体・電磁界・回路・システムなどのさまざまな物理現象やそれらを組み合わせた連成問題を目的に合わせて柔軟にシミュレーションすることができる、マルチフィジックス解析ソフトウェアです。
シミュレーション性能の大幅な向上
構造解析製品(Ansys Mechanical)にAIやMLを活用したパフォーマンス予測機能を搭載
より正確かつ効率的でカスタマイズ性の高い構造解析が可能になりました。例えばAnsys® Mechanical™の新機能では、AIやMLを活用し、解析実行に必要な計算量と時間を予測することができます。
また、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)では、GPUを活用した拡張ソルバーアルゴリズムを採用することで、大規模かつ高忠実度の解析を、より効率的に実行できるようになりました。
熱流体解析製品(Ansys Fluent)におけるマルチGPUソルバーの対応アプリケーションが拡大
Ansys® Fluent®のマルチGPUソルバーが、化学種※3およびLES※4に適用可能になりました。複数のGPUが幅広いアプリケーションで活用可能になり、解析時間と総消費電力の大幅な削減に貢献します。
3D 設計製品(Ansys Discovery)において薄板構造物のシミュレーション予測精度が向上
Ansys® Discoveryでは、薄板構造物に対するリアルタイムシミュレーションの予測精度が向上しました。これにより、高速なシミュレーションにおいても信頼性の高い予測結果が得られるようになりました。その一方でGPUメモリ要件が最大で10分の1に削減されました。また、サブディビジョン・モデリングと呼ばれる革新的な新機能により、どのようなCADデータでも、滑らかなフィーチャーやパーツなどの編集が可能になりました。
Ansys Gateway powered by AWSによりクラウド環境の利便性が向上
Ansys Gateway powered by AWSは、AnsysソフトウェアのシミュレーションとCADやCAEのプロジェクト全体を、Webブラウザさえあればデバイスや場所を問わず管理できるソリューションです。今回のリリースでは、仮想マシンやHPCクラスターの作成およびサイズ変更を迅速にできるようになりました。また、AWSのクラウドサービスによりチーム間の連携がスムーズになり、柔軟なシングルサインオン機能で社内環境へのアクセスも容易になりました。
光学製品(Ansys Zemax OpticStudio, Ansys Speos, Ansys Lumerical)の解析機能の強化
今回のリリースでは、光学・フォトニクス設計のための高性能なシミュレーション機能とワークフローが大幅に強化されています。特にAnsys Zemax OpticStudioにおける Ansys Lumerical FDTDへのダイナミックリンク機能により、複雑な微小光学素子を含む光学モデルの解析と最適化が可能となりました。
また、Ansys Zemax OpticStudio STARでは剛体運動を考慮した光学解析への対応、Ansys Speos®ではGPUソルバーによる光線追跡シミュレーション高速化の正式サポート、Ansys LumericalではRCWA※5ソルバーのGUI対応などの機能強化が行われました。これらは日本のお客さまからの要望にもお答えして強化された機能です。
ワークフローの統合と自動化、そして製品開発プロセス全体の改良
ワークフローの自動化と共同作業をサポート
Ansys 2023 R1では、開発効率の向上に貢献するために、材料、SPDM※7、最適化のほかMBSEの機能が強化され、ワークフローの自動化と共同作業が可能になりました。Ansys Connect製品は、ユーザーエクスペリエンスの向上、新しい統合環境の追加、操作性の向上が実現しており、複数のチーム間における最新のプロセス、ツール、データへのより簡単なアクセスを可能にします。
設計最適化製品(Ansys optiSLang)で最適設計の迅速な検討が可能に
Ansys® optiSLang™ではシミュレーションの最適化を「ワンクリック」で実行し、迅速に最適設計の検討ができるようになりました。また、同じ最適化アルゴリズムを用いて、Ansys ModelCenterでもMBSEのトレードオフ分析が実施可能になりました。さらに Fluent ユーザーは、optiSLangによる最適化や、Ansys Minerva®のSPDM ソリューションを併用し、ツール、システム、チームとのコラボレーションやデータ管理をより簡単に行えるようになりました。
材料選定ツール・材料データベース(Ansys Granta)でより最適な材料選択が可能に
Ansys® Granta™では、クラウド上で利用できる材料のエコデータ※8とツールが提供されるようになりました。より費用対効果が高く、サステナブルな製品を開発するために、最適な材料の選択を支援します。
電磁界解析製品(Ansys Electronics)によるアンテナアレイシミュレーションの高速化
Ansys Electronicsは、個々の3Dコンポーネントセルを並列に適合させることで、有限サイズのアンテナアレイシミュレーションの高速化を実現しました。業界でも比類のないこの技術は、衛星通信、車載レーダー、航空宇宙業界におけるアンテナ設計などを支援します。
Ansys 2023 R1の詳細については、下記 Webサイトをご覧ください。
https://www.ansys.com/ja-jp/products/release-highlights
https://www.cybernet.co.jp/company/about/news/press/2023/20230313.html
注釈
※1:GPU:Graphics Processing Unitの略で、3Dグラフィックスなどの画像描写のために計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のこと。
※2:MBSE:Model-Based Systems Engineering(モデルベースシステムズエンジニアリング)の略で、機械、エレキ、制御・ソフト等の複数の領域にまたがって、要求分析、システム設計、検証までの開発工程全般を、モデルをベースに効率的に進める開発手法。
※3:化学種:複数成分の流体が混ざり合う様子を計算するモデルのこと。
※4:LES:Large Eddy Simulationの略。乱流モデルのひとつで、空間平均モデルと訳される。
※5:RCWA:Rigorous Coupled-Wave Analysis(厳密結合波理論)の略。微細な周期構造に対する光の振る舞いを解析する電磁場解析手法の一種。
※6:DOE:Diffractive Optical Element(回折光学素子)の略。光の回折現象を利用して、レーザー光をさまざまなパターンや形状に変えられる光学素子。
※7:SPDM:Simulation Process and Data Managementの略で、解析データとプロセス管理を指す。
※8:エコデータ:各材料の環境への影響度および規制材料に関する情報。
サイバネットについて
サイバネットシステム株式会社は、CAE※のリーディングカンパニーとして、30年以上にわたり製造業の研究開発・設計関係部門、大学・政府の研究機関等へ、ソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティングを提供しています。また、IT分野では、サイバー攻撃から情報資産を守るエンドポイントセキュリティやクラウドセキュリティなどのITセキュリティソリューションを提供しています。近年では、IoTやデジタルツイン、ビッグデータ分析、AI領域で、当社の得意とするCAEやAR/VR技術と組み合わせたソリューションを提案しています。
企業ビジョンは、「技術とアイデアで、社会にサステナビリティとサプライズを」。日々多様化・複雑化する技術課題に向き合うお客様の課題を、期待を超える技術とアイデアで解決し、更にその先の変革へと導くことを目標に取り組んでまいります。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/
※ CAE(Computer Aided Engineering):ものづくりの研究・開発工程において、従来行われていた試作品によるテストや実験をコンピュータ上でシミュレーションし分析する技術。試作や実験の回数を劇的に減らすことで、開発期間や資材コストを大幅に削減できるメリットがある。
※記載されている団体名、ブランド名、製品名、サービス名は、各所有者の商標および登録商標です。
本件の参照先:https://www.cybernet.co.jp/company/about/news/press/2023/20230313.html