ジョブ型人財マネジメントに基づく多様な人財の活躍を実現する採用活動と、新卒採用活動における「ガクチカ」の見直し
株式会社日立製作所(以下、日立)は、2024年度の新卒採用計画および2023年度入社の経験者採用計画を策定しました。日立は、社会イノベーション事業をグローバルに展開する上で「人財」を重要な資本と位置づけ、ジョブ型人財マネジメントに基づき、多様な人財が生き生きと活躍できる組織づくりを進めています。採用活動においても、候補者一人一人のキャリアニーズと各ジョブのマッチングを意識した「パーソナライズ採用」を推進しており、2024年度採用計画においては、大学入学時からコロナ禍に直面した世代が初めて就職活動を迎えることを考慮した新卒採用選考(「ガクチカ」の見直し)を進めるなど、新たな取り組みを開始します。
また、新卒採用と経験者採用の比率を初めて1:1とし、大学・大学院・高等専門学校(以下、高専)卒業予定者600名、高等学校(以下、高校)卒業予定者50名*1、経験者600名*2、合計1,250名を採用します。
*1 高校卒に、短大および専門学校卒を含む。
*2 経験者採用については、2023年度中に採用活動を行い、入社する計画人数。
1. 大学入学時からコロナ禍に直面した世代を考慮した新卒採用活動(「ガクチカ」の見直し)
新型コロナウイルス感染症拡大により学生生活が大きく影響を受ける中、日立はこれまでも、オンラインの活用や「オンデマンド面接*3」「ドレスコードフリー採用*4」など、柔軟な採用活動に取り組んできました。今年就職活動を迎える大学4年生は、入学当初から対面での活動が制限された初めての世代であり、いわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」のアピールが悩ましいとの声も多く聞かれます。
日立は、この状況を鑑み、応募書類や面接での「ガクチカ」に関する質問を、応募者の強みや潜在能力をより引き出せる選考方法・質問に改めます。具体的には、最終面接において「入社後、どの職種で、日立のリソースを用いてどのように社会課題の解決に取り組みたいか。それはなぜか。」について発表する「プレゼン選考」を新たに導入し、応募者の将来志向やキャリア観(=Will)、強み・行動特性(=Can)、希望職種とのマッチング(=Must)の3点を引き出します。
ジョブ型人財マネジメントを進める日立は、応募者の就職活動時のキャリア観を、入社後の自律的キャリア形成と活躍に繋げていただきたいと考えており、採用後のミスマッチも減らしていきます。
*3 会社が設定した質問に学生が動画で回答し、選考を行う方式。学生は回答締切日までの間、いつでも、どこでも回答が可能。面接官も、回答受領後、いつでも、どこでも選考することが可能。一部の選考段階において導入。
*4 各選考における学生の服装は自由とし、「リクルートスーツ」の着用は不要。面接官の服装も原則としてビジネスカジュアルスタイル。
2. 多様な人財の活躍に向けた、ジョブ型人財マネジメントに基づく新たな採用活動
(1) 「青田創り」(若年層のキャリア観醸成に向けた社会全体でのサポート)
少子高齢化が社会問題化する日本においては、限られた労働力から多くの付加価値を生み出す労働生産性の向上に加えて、必要な人財を採り合わず社会全体で育成することが重要です。また、個人が自律的なキャリア観を形成し、生き生きと働ける社会としていくことが求められます。
日立は、採用活動において政府の定める「就職・採用活動に関する要請」を遵守しつつ、高校生や大学1~2年生を対象に、教育機関、民間企業、政府機関、各種団体等と幅広く連携しながら、学生のキャリア観の醸成を図る「青田創り」の取り組みを行っていきます。具体的には、これまで実施してきた「ジョブ型インターンシップ」を継続するほか、会社や業界の垣根を越えたキャリア観醸成イベントの開催、大学等と連携した各種講義への講師派遣などを行います。「やりたいこと」を探す学生に寄り添い、「キャリアを築くこと」の面白さや楽しさ、喜びなどを伝え、「青田創り」に貢献します。
(2) 高度専門人財の育成支援と採用の強化(博士課程学生の採用強化)
日立は、博士課程学生について、研究開発部門や設計開発部門を中心に毎年30名程度を採用してきましたが、将来の社会・顧客課題解決に向けた「破壊的イノベーション」の創出を担う高度専門人財の役割はますます大きくなっており、博士課程学生の採用を一層強化します。
具体的には、「文部科学省ジョブ型研究インターンシップ」をはじめ博士課程学生を対象とした長期・有給インターンシップ(2ヶ月~1年間程度/社員と同水準の報酬を支給)について、受け入れ規模を2022年度実績の約1.5倍に拡大します。本インターンシップは、企業研究における学会発表や製品・サービス等への技術実装等を経験できる、学生の育成機会であるとともに、企業は学生のアカデミア研究の専門性と知見を取り入れることができ、精緻な採用マッチングにも繋がります。
加えて、研究開発部門における通年での経験者採用、国内外各種学会での学生との接点の創出・個別アプローチや大学研究室との連携など、多様なチャネルを用いて高度専門人財の採用を強化します。
(3) 「アルムナイ(退職者)ネットワーク」の開始
ジョブ型人財マネジメントにおいて、入社は「就社」ではなく「就職」であり、キャリアの中で日立の外に活躍の場を求めることや、一度退職した社員が再び戻ってくることが想定されます。これを踏まえ、入社から退職まで画一的な直線型ではない、より柔軟なキャリア形成を促進するため、2023年3月から「アルムナイネットワーク」を構築・運用します。今後日立を退職する人財および過去日立を退職した人財と、WEB上の登録データベースを通じて積極的にコミュニケーションを図り、社内外の経験を併せ持つ多様な人財の獲得へと繋げていきます。「アルムナイネットワーク」は、3月10日以降、以下URLから登録可能です。
https://app.crm.i-myrefer.jp/entry/hitachi/RwU9dOWA6u4tvfbCWS1N
(4) 経験者採用のさらなる拡大(新卒:経験者=1:1へ)
ジョブ型人財マネジメントへの転換を進めるなか、即戦力として活躍可能な専門性を有する人財を獲得するため、日立はこれまでも経験者採用を拡大しており、2015年度に150名だった経験者採用人数を2023年度に600名とします。これにより、日立として初めて新卒採用と経験者採用の比率が1:1となり、新卒・経験者を問わず優秀な人財を獲得していきます。
3. ジョブ型人財マネジメントに基づくその他の採用活動
(1) ジョブ型インターンシップ
「ジョブ型研究インターンシップ推進委員会」(文部科学省、経団連)や「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(経団連)などにおける産学間の議論を踏まえ、ジョブディスクリプションをあらかじめ明示し、長期間かつ実際の職場で実務を体験できる「ジョブ型インターンシップ」を、2022年度は約600名の学生に実施しました。2023年度も引き続き、将来の就職を見据えキャリアを検討する機会として、学生に実際の職場での就業経験を提供していきます。
(2) 通年採用
政府の「就職・採用活動に関する要請」を踏まえつつ、新卒採用(技術系職種、事務系職種)、経験者採用共に、1年間を通じて応募を受け付けます。海外への留学、年度途中の進路変更等、様々な理由で国内の就職活動のピーク時期に応募が難しい方など、多様な人財にいつでも応募いただけるようにします。
(3) 「専門性」を考慮した採用
新卒採用において、技術系職種(研究開発、設計開発、システムエンジニアなど)を対象とした「Job Matching*5」、事務系職種(営業、資材調達、経理財務、人事など)で実施している「職種別採用コース*6」により、専門性を適正に評価し、各ジョブとのマッチングを実現する採用活動を行います。
また、技術系職種では2021年度採用計画から「デジタル人財採用コース*7」を設けており、毎年40名程度を採用しています。これを2024年度採用計画においても継続・強化し、Lumada事業の成長加速を実現するデジタル人財の確保・育成を強化します。
*5 学生自身が希望の配属先を選択し、選択に応じ配属などを確約する仕組み。
*6 応募時に希望職種を選択し、選考を経て内定時に希望職種への配属が決定する仕組み。2023年度採用計画においては、事務系応募者のうち約40%が本コースを選択。
*7 デジタル分野の研究開発職やデータサイエンティストなどの職務を特定し、その職務への配属を確約するとともに、処遇についても対象者の技能や経験、職務の内容などを勘案し、学歴別一律の初任給額ではなく、個別に設定することが可能。
(4) 「求めるアビリティ」の開示
新卒採用において「専門性」「リベラルアーツ」「ダイバーシティ(多様性)を受け容れるマインド」の3つの知識や素養を「求めるアビリティ」として開示し、ジョブ型人財マネジメントに基づく採用活動を行います。
4. 2024年度採用人員計画(括弧内は2023年度入社人数)
*8 2023年度採用・計画人数*92022年度採用・入社人数
日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。
以上
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