伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長:柘植 一郎、本社:東京都港区、略称:CTC)は、ITで材料開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクスによる、カーボンニュートラルの実現やGX(グリーントランスフォーメーション)につながる材料解析シミュレーションサービスを本日から提供します。水素(H2)と二酸化炭素(CO2)から天然ガスの主な成分であるメタン(CH4)を合成する「メタネーション」に関連するシミュレーションと、工場の製造過程における材料の端材をリサイクルして使用材料の削減やCO2削減につなげるコンサルティングサービスです。鉄鋼製造業や一般製造業、ガスを中心としたエネルギー分野の企業を中心にサービス展開し、3年間で30社へのサービスを目指します。
今回のサービスは、8月に体系化したGXソリューションの一環です。メタネーションのサービスは「GHGプロトコル」※1に基づくScope1の「脱炭素燃料の技術開発」、端材のリサイクルはScope3の「材料リサイクル・燃料バリューチエーン」に対応したソリューションです。
水素(H2)と二酸化炭素(CO2)から天然ガスの主な成分であるメタン(CH4)を合成する「メタネーション」は、化石燃料である天然ガスの使用量を削減し、新たなCO2の生成を抑制しつつも、既存設備の有効活用が期待できる技術として注目されています。経済産業省が2021年6月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においても「次世代熱エネルギー産業」に位置づけられる重要な分野となっています。
メタネーションで、合成メタンを効率よく生成するためには、CO2をより多く回収するための吸着材の開発や、メタンの生成効率を向上させる触媒の設計が重要です。CTCは、マテリアルズ・インフォマティクスを活用して吸着材や触媒について、機能的な材料組成の探索を支援します。CO2の吸着性や合成メタンの生成量を最大化するために、予測技術を用いて圧力、熱、電場などの最適な外部条件を割り出します。本ソリューションにより、高効率なCO2の回収と天然ガスの使用料の削減につながるカーボンリサイクルの仕組みを実現します。
また、材料リサイクルのコンサルティングサービスでは、材料の端材をスクラップして再度材料として活用するにあたり、スクラップ材の成分検査から、期待する特性を持つ材料の合成方法を材料解析の技術で算出するもので、材料の使用量やCO2排出量の削減につながります。
CTCは、30年以上前から材料解析の分野に携わっており、熱力学に基づくミクロ組織の諸性質に関する予測からマクロスケールの機械特性の予測まで、コンサルティングや技術サポートを含めた材料解析ソリューションを提供しています。今回蓄積したノウハウを活用し新たにGXソリューションとして本サービスを開発しました。個別の提供では、既に製造業での実績もあります。
今後も、モデリングや予測の機能について性能の更なる向上を図ると共に、マテリアルズ・インフォマティクスを活用した材料開発を通してカーボンニュートラルを含めた社会課題の解決に貢献していきます。
メタネーションのサービスイメージ
材料リサイクルコンサルティングのサービスイメージ
GXサービスメニューでの位置づけ
※1GHGプロトコル:GHGのサプライチェーン排出量における算定・報告に関する世界的な基準で、組織の排出量をサプライチェーンに応じて3つの範囲(Scope)に分けて、サプライチェーン排出量を各範囲の排出量の合計と定義している。以下、各範囲の説明(環境省ホームページからの引用)
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
本件の参照先:https://www.ctc-g.co.jp/company/release/20221012-01482.html