~ロケーションビッグデータを活用し地域の活性化と渋滞・混雑等の社会課題解決へ~
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、株式会社ナイトレイ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:石川 豊、以下:ナイトレイ)と協業し、さまざまなデータから特定地域における人々の移動・滞在傾向等を分析し、街に滞在する人々の行動を予測するデジタルツインの共同開発を開始します。
本共同開発は、NTTデータが2030年までの解決を目指す社会課題「都市における経済発展と環境負荷低減の両立」に関する取り組みの一つです。ナイトレイのSNS解析データや車両走行データをはじめとするロケーションビッグデータ解析技術と、NTTデータのAIやシミュレーション開発技術を掛け合わせることで、街の生活者や旅行者のデジタルツインを構築します。デジタルツイン上で生活者や旅行者がどのような行動をするかの未来を予測することで、渋滞・混雑緩和、地域消費拡大、物流全体最適化などの日本が直面する社会課題の解決を目指します。自治体や事業者は、本サービスを利用することで、都市開発や観光施策の導入の検討に生かすことができます。
NTTデータは、2023年に地域活性や渋滞・混雑等に課題を有するエリアでの実証実験を進め、将来的には全国の地方都市において経済発展と環境負荷低減を目指します。
背景・概要
デジタル化の急速な進展・高度化により、全世界で年間に生成されるデータの総量は約163兆GBと爆発的に増大する見込み注1です。データが競争力の源泉となる資産として再定義される動きを見せるにつれて、データ取引市場を含むデータ流通の仕組みづくりが急速に進んでいます。
このような状況下、NTTデータはさまざまなデータをサイバー空間上で掛け合わせて、その効果・影響をシミュレーションできるデジタルツインがデータの付加価値を向上させるポイントであると考え、2021年末にベンチャーやスタートアップとの連携を目的としたアクセラレータープログラム注2を主催して共創パートナー募集を開始しました。さらに2022年4月からは、各種データや人材、技術群を提供するテクノロジーアセット提供型のデジタルツイン共創プログラム注3を開始し、同プログラムで取り組む社会課題を「City:都市における経済発展と環境負荷低減の両立」「Well-Being:健康・幸福のため、一人ひとりが納得して行動を変えていけるサービスの実現」と定義しました。
その中で、ナイトレイのこれまでの自治体や企業との取り組みで培われたSNS解析データや車両走行データ、アプリGPSデータなどのロケーションビッグデータの解析技術や、データの取り込み・可視化に関するノウハウと、NTTデータのシミュレーション技術や大量データ処理技術、保有するデータを掛け合わすことで、特定地域における人々の動態や移動手段、滞在傾向を推定することで、街に滞在する人々のデジタルツインの創造が可能になると考え、協業を開始しました。
取り組み概要
ナイトレイと共同開発するデジタルツインは、ロケーションビッグデータを使って地域生活者や観光客の行動傾向を分析し、行動傾向から地域生活者や観光客の行動を仮想的に再現・予測します。具体的には、イベントやプロモーションを実施したときの経済的な効果の予測や、渋滞・混雑の発生予測と混雑緩和に向けた施策のシミュレーションなどを行います。これらは、イベント等を実施する自治体や観光業者、小売店や飲食店に活用されることを想定し、2023年に一部のエリアでの実証実験を目指します。
表:役割分担 (企業 役割)
- NTTデータ
- 自治体、企業等との共同実証を目的としたデジタルツイン共創プログラムの推進
- NTTデータの保有するGPS・Beacon移動軌跡データや地図データ等の提供
- 数理最適化やシミュレーション技術を使ったデジタルツインの構築
- IOWN構想注4の成果と安心安全なデータ連携や大量データ処理を可能とする開発・実証基盤の提供
- サービス提供に伴う周辺業務およびシステム改修などの導入や運用の支援
- ナイトレイ
- CITY INSIGHT注5で取り扱うロケーションビッグデータの解析、提供
- SNS解析データを用いた定性的なクチコミ情報や人気施設の分析
- 車両走行データやアプリGPSデータ、決済データ等を用いた定量的な動態分析や消費分析
- 既存顧客の紹介および顧客開拓の実施
想定利用シーン
- 地方自治体
地域の生活者だけではなく旅行者や訪日外国人の動きをシミュレーションすることで、街の都市開発や交通計画に活用可能です。平常のみならず、イベント開催時等に災害が起こった場合の避難誘導の配置選定等に活用できます。 - 観光業
旅行者や訪日外国人の動きをシミュレーションすることで、潜在的な観光地への送客や、大規模イベント開催時等に混みやすい時間帯や移動しにくいルートなどについて事前に対策ができ、オーバーツーリズムやナイトタイムエコノミーなどの検討に活用できます。 - 小売、飲食業
平常時や大規模イベント開催時等の来街者属性をシミュレーションすることで、ターゲット層に合わせた販売計画やプロモーション計画、外部MaaSサービスと連携した送客等に活用可能です。
デジタルツインとは
デジタルツインとは、現実空間の、ヒト・モノ・コトのさまざまなデジタルコピーをサイバー空間上に表現する先進技術です。いわば現実空間とそっくりな双子をサイバー空間上に作り出すため、デジタルの双子(デジタルツイン)と呼ばれます。このデジタルツインを使ってデータ分析や未来予測などのシミュレーションを実行し、その結果に基づいて最適な方法や行動を現実空間にフィードバックすることで、街づくりや工場・生産ラインの改善など、社会やビジネスプロセスを進化させることができる技術概念として注目を浴びています。
デジタルツインのユースケース例
- 製造業:生産ラインの自動化機器導入効果の推定および作業動線などの確認、導入後のスケジューリング最適化
- 物流業:稼働率向上のための集配拠点の配置最適化や集配ルートの最適化
- 不動産業:データを用いたエリアごとのマーケット特性を踏まえた上で、都市設計・テナント呼込計画の策定
- 小売・健康サービス業:地域生活者の生活動線、健康活動実績に基づく商圏分析、商品開発
今後について
NTTデータはナイトレイとともにサービスの開発を進め、地域活性や渋滞・混雑等に課題を有するエリアにおいて、自治体のみならず観光業や小売業などさまざまな業界で活用されることで、来街/来場者が快適に過ごせるサービスの実現に取り組みます。そして、段階的に対象エリアを拡大し、日本の街のさまざまな課題解決を目指します。
注釈
注1 出典 IDC Japan「グローバルで1年間に生成されるIoTデータ/非IoTデータの量およびIoT接続数」
注2 NTTデータ デジタルツイン共創プログラム 第一期募集ページ
https://growth.creww.me/c7afb569-3403-11ec-b3bb-237e4f6628b2.html
注3 デジタルツイン共創プログラムを開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2022/041900/
注4 IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。
注5 CITY INSIGHTとは、ナイトレイが提供する最新ロケーションビッグデータを用いて地域の生活者・旅行者を読み解くことができるサービスです。
https://cityinsight.nightley.jp/
- 「IOWN」は、日本電信電話株式会社の登録商標です。
- 商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
- 本件で取得する情報には、個人情報保護法で定める個人情報を含んではおりません
- 本件に用いるデータ、ならびに本件の推定結果は、個人を特定する目的、ならびに個人への関与を目的として利用されることはありません
- 本件に用いるアプリGPSデータ等の位置情報等のロケーションビッグデータの取り扱いは、一般社団法人LBMA Japanの「位置情報等の「デバイスロケーションデータ」利活用に関するガイドライン」に準拠しております。
https://www.lbmajapan.com/
株式会社ナイトレイとは
ナイトレイは2011年からロケーションビッグデータの解析技術を用いて人々の移動・滞在、属性、クチコミなどの調査・分析を行っており、最新ロケーションビッグデータを用いて地域の生活者・旅行者を読み解くことができる地域活性化支援ソリューション(CITY INSIGHT)を展開し、MaaS/まちづくり/スマートシティ/観光対策/DXなど多くの分野で実績を持つスタートアップです。
本件の参照先:https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2022/100700/