2022.9.28:ハードとソフトを、デジタルでつなぐ ~サステナビリティの課題解決へ、東芝の挑戦


この記事の要点は...

  • ハードだけでもソフトだけでもない、両方をデジタルでつなぐことが重要!
  • デジタルを磨き上げるため、東芝が研究開発で力をいれていることとは?
  • 人と地球が持続可能であるために、ステークホルダーとともにデジタルを生かす!
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DXはもはや流行ではなく潮流である──。この言葉を使い、三菱総研は企業のDX推進状況について報告し、その成功要因などをまとめている。またデータの世紀と言われ、調査会社IDCの「Data Age 2025」によると、世界の年間データ生産量は2025年には175ZB※1(ゼタバイト)に達する見込みだ。
※1:1ZB = 1兆GB(ギガバイト)

このような流れのなか、テクノロジーの普及を予測するGartnerは、「デジタルをサステナビリティに適用する」ことの重要性を説いている※2。気候変動、廃棄物などサステナビリティにかかわる課題を解決するために、膨大なデータをデジタルでいかに可視化し分析するか。企業はデジタルを活用して、どう価値を生むかが問われている。
※2:Global CIOs, Lead Digital Sustainability to Drive ESG Performance

ただし、デジタルの活用は、企業に限った話ではない。デジタル庁は、その重点計画において「社会全体のデジタル化は、国民生活の利便性を向上させ、官民の業務を効率化する。データを最大限に活用し、安全・安心を前提とした『人に優しいデジタル化』が必要」と強調している。これは、企業、大学、個人、行政など、すべてがデジタルを活用することが重要というわけだ。本稿では、人と地球が持続可能であるために、東芝がどのようにデジタルを活用し、価値を生んでいるのかを紹介する。

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デジタル庁の重点計画では、誰一人取り残されない、多様な幸せが実現できる社会を目指す

サステナビリティの課題解決に、デジタルを生かすときの考え方

Apple Watchは、心電図アプリによって、脳卒中などの原因になる心房細動を検知するという。この機能について、スタンフォード大学との共同研究において、見落とされがちな心房細動の症状を早く見つけることがわかったと報告されている※3。この研究をもとにして、不規則な心拍を通知する機能が開発され、その後、機械学習によって心房細動を発見するよう改良されているそうだ。
※3:Marco V. Perez, et al. Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2019;331: 1909-1917.

人と地球が持続可能であるためには、このようにハード(Apple Watch)からデータを集めて、ソフト(心電図アプリ・機械学習)で分析し、私たちに意味のある情報を提供することが重要になる。サステナビリティの課題解決に、この考え方は外せない。

東芝は、センシングによって現実世界の様々なデータを集めて、それをサイバー空間で分析し、予測をたてたり、最適な計画をたてたりすることで、現実世界に価値ある情報を戻すことを戦略の柱にしている。なぜ、この取り組みができるかというと、約150年のものづくりを通じて、ハードについての豊富な実績、技術、ノウハウを蓄積し、ソフトについても50年以上のAI研究開発などで技術を磨いてきたからだ。

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サステナビリティの課題解決には、現実世界のデータを分析し、価値ある情報として戻すことが重要

ハードとソフトをつなぐデジタル、東芝はこう生かす

では、どのように東芝はハードとソフトをデジタルでつなぎ、価値を出しているのか?ここで、東芝でCEOを務める島田氏に聞いてみよう。島田氏は、航空機(ハード)の設計に長く携わり、前職のシーメンスではソフトの知見を磨いてきたことから、今の時代の企業に求められること、東芝がやるべきことに確信を持っている。

「東芝は、止まってはいけないエネルギーや社会インフラを担っています。当然、ハードに求められる信頼性は高くなりますが、それに応え続けています。このようにハードの知見が深いということは、どういったデータを、どのようにデジタルで可視化し、分析すればいいか分かっているということです。

だから、エネルギーの需要と供給を調整したり、橋梁などの社会インフラを効率的にメンテナンスしたりと、『ハードとソフトをデジタルでつなぐ』というコンセプトのもと、様々な価値を生めるのです。また、東芝には、世界初の技術を次々と開発してきた能力と実績があります。そして、『島田さん』と互いを『さん付け』で呼び、立場や年齢に関係なく議論できる組織風土があるので、どんどんとイノベーションが生まれるのです」

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株式会社 東芝 代表執行役社長 CEO 島田 太郎氏

 そんな東芝が、ハードとソフトをデジタルでつないだ代表的な例を、いくつか紹介しよう。「こんな所でもデジタルが使われるのか」と、様々に社会実装されていることを感じていただけると思う。

VPP(バーチャルパワープラント:仮想発電所)

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーといった分散する電源や、蓄電池などのストレージ、そしてエネルギー需要家のデータを収集する。刻々と変わる電気の需給状況に応じてIoTでリアルタイムに機器を制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる。

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詳細:見えない発電所 バーチャルパワープラントとは?

Meister Cloudシリーズ

工場の製造装置や設備のIoTデータと、製品の設計・開発から製造、運用・保守(O&M)に関する業務データをもとに、サイバー空間に現実世界を再現するデジタルツインを構築。これらのデータを高速に関連づけ、製造状況の変化やトレーサビリティ、設備の稼働状況を可視化し、分析・シミュレーションすることにより、「ものづくり」の生産性や品質向上、「O&M」の効率化や高度化、さらにはバリューチェーン全体の最適化につなげる。

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詳細:ものづくりのDXを目指す IoTサービス「Meister Cloudシリーズ」

プラント監視ソフトウェアEtaPRO™

プラントの熱効率や運転状態を監視し、劣化や異常兆候を検出する。タイムリーなメンテナンスや設備更新が可能になり、安定的に高効率で運用できる。また、機器の故障、発電所の停止によるエネルギーロスを極小化する。

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詳細:M&Aで社会課題解決へ ~世界の発電データを取得し温暖化対策に光

 インフラの老朽化対策

外からは見えないコンクリート内部のひび割れなどに対して、車両が通行するときの微弱な波を検出することで、劣化の度合を評価する。補修を効率化し、社会インフラを長寿命化する。

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詳細:橋梁床版内部の健全度を解析・可視化する技術を福岡高速で実証
詳細:センサーで橋梁の健康をチェック! インフラヘルスモニタリングとは?

MLOps(Machine Learning Operations)

既に社会実装したAIに、最新データで再学習させる。①様々な環境でAIを運用しつつ、②その状況をモニタリングし、想定外の事象が起これば、③そのデータをAIに再学習させる。実態に応じて自動的に改良し、パフォーマンスを保つ。

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詳細:東芝のAI、作って終わりから次のステージへ ~AIの学習サイクルを自動化する「MLOps」構想

人と地球が持続可能であるために、デジタルを磨き上げる

「電力の需給調整」「ものづくりのDX」「プラントの安定かつ効率的な運営」「インフラの老朽化対策」「社会実装後のAI更新」と、いくつか代表的な例を紹介した。だが、社会課題を解決し、サステナビリティにつなげるには、まだまだ取り組むべき技術は多く残っている。人と地球が持続可能であるために、東芝がデジタルの思考や技術を磨き上げていくために、どのような領域で研究開発に投資していくか、それについて島田氏はこう語る。

「東芝では、あちらとこちらの技術を組み合わせて、イノベーションが生まれるのが日常茶飯事です。本当に不思議で、面白くて楽しくてしょうがありません。ちょっと無茶ぶりすると『こんなのが、できました』と持ってくるなど、掘れば掘るほどどんどん広がります。

通信のセキュリティ、再生可能エネルギー、AIなどの分野を中心とした研究開発に積極的に投資するのは、サステナビリティの課題を解決する東芝にとって使命の一つです。デジタルの力を生かして、新しい社会を形づくりますが、研究者、技術者がやることは基本的に変わりません。1875年の創業以来つないできたベンチャースピリットを胸に、『誰かがこれを、やらねばならぬ』という気持ちで、地球規模の課題に技術で応えていくことです」

QKD(量子鍵配送)

重要な機密データを保護するための暗号鍵の配信に使用する技術で、暗号鍵を光の粒子(光子)にのせて伝送する。光子が何かに触れると、必ず状態が変化するという量子力学的な性質を利用して、第三者による鍵の盗聴を確実に検知することが可能。

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詳細:東芝の量子暗号通信

洋上風力発電向け風況解析

洋上での風の特性や、乱流などを調べ、風上側にある羽の回転によって生じる風速の欠損が、風下側の風車に与える影響を明らかにする。具体的には、風車の耐久性や発電量などの経済性から影響を明らかにし、大規模な洋上風力発電の導入に貢献。

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詳細:洋上風力発電に関する共同研究契約締結について

AI(人工知能)

再生可能エネルギーの発電量をAIで予測し、安定した電力供給を実現。膨大なセンサーデータからAIが異常予兆を検知し、プラント監視業務の負荷を軽減。AIモデルの自動コンパクト化により、機器スペックに応じた最適なAIの提供を実現、など現実世界に価値を還元するためのAIを開発。

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詳細:東芝AI技術カタログ

ここまで、サステナビリティの課題解決において、ハードとソフトをデジタルでつなぐことが重要であり、そのなかで東芝がどのような考え方で価値を生み、デジタルの力を磨いているかを紹介した。冒頭のデジタル庁の重点計画で触れたように、企業、大学、個人、行政すべてのステークホルダーが、それぞれの領域においてデジタルを活用することが、人と地球が持続可能であるためには重要だ。最後に、東芝がデジタルを生かす意味合いについて、島田氏に聞いた。

「東芝の強みは、次々と様々な技術を生み出すことと言いました。気候変動など、サステナビリティの課題が深刻になるなか、東芝のような企業が健全に活躍することが大切だと本気で思っています。

私たちは、エネルギー、社会インフラの領域で、これからもデジタルの力を生かしていきます。約150年にわたって価値を生んできた私たちが活躍することは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現など、明日につながっていきます。これからも、様々なステークホルダーと連携しながら、経営理念の『人と、地球の、明日のために。』を実践していきます」

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世界の人々の生活・文化に貢献するために、東芝は、デジタルを生かしてハードとソフトをつなぎ、豊かな価値を創造していく。それは、誰一人取り残されない、多様な幸せが実現できる社会を目指す、人に優しいデジタル化とぴたりと一致している。

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関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

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