独自の計算モデルを開発して量子コンピュータの実用性を確認
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長:柘植 一郎、本社:東京都港区、略称:CTC)は、複雑な自然条件を疑似的に再現する独自の計算モデルを開発して、風力による発電量が最大になる風車の配置を、量子コンピューティングを活用して割り出す実証実験を行いました。
CTCは25年以上にわたり、気象予測や、風力発電などの再生可能エネルギーの出力予測に関するシミュレーションをベースとした技術開発を行い、再生可能エネルギーの事業性評価や出力予測の情報サービスなどを提供しています。特に風力発電の事業性評価に関しては、地形データの活用や現地調査の実施を含め既に多くの実績があります。
CTCは、量子コンピューティングの1つで組み合わせ最適化問題を解くことに特化した、NECの量子インスパイア型のシミュレーテッドアニーリングの量子コンピューティングサービス「NEC Vector Annealingサービス」を活用し、12km四方のエリア内にある約10,000ヵ所のポイントから、20基の風車を建設する際の最適な風車配置のシミュレーションを実施しました。
設置ポイントや風車の台数の増加に伴い計算量が指数関数的に増加するもので、地形を含めた自然条件や風車間の影響も考慮に入れるとシミュレーションにおける計算量は膨大なものになります。今回、量子コンピューティング向けに独自の計算モデルを開発し、従来のシミュレーションでは10時間かかっていた計算を10分で算出することができました。また、計算結果についても、実績のある従来の結果と同等の結果が得られたことで、風車配置の最適化における量子コンピューティングの実用性が確認できました。
再生可能エネルギーの導入や気候変動への対応などに向けて、地球規模での自然現象の予測が必要とされている中で、CTCは今後も、長年蓄積したシミュレーション技術をベースに、AIやデータ分析を含めた量子コンピューティングの活用の可能性を探り、脱炭素を含めた豊かな社会の実現に貢献していきます。
本件の参照先:https://www.ctc-g.co.jp/company/release/20220616-01445.html