複数拠点間の再エネ由来電力融通等の最適化で企業の脱炭素化に向けた目標達成を支援
三菱電機株式会社は、カーボンニュートラルを目指す企業向けに、再生可能エネルギーで発電 した電力(以下、再エネ電力)を複数の拠点間での融通や蓄電池の活用により、拠点ごとの脱炭 素化目標の達成を支援する「マルチリージョン型デジタル電力最適化技術」を開発しました。
近年、カーボンニュートラル実現に向けて、企業に対しても再エネ 100%化や CO2 削減を求め る動きが高まっています。将来はさらに透明性の高い脱炭素化目標の管理のため、企業単位だけ でなく、工場など拠点単位での脱炭素化目標達成が重要になると考えられます。拠点単位の脱炭 素化にあたっては、拠点内に再エネを導入する方策がありますが、拠点によっては電力需要に見 合うだけの再エネ電源の設置スペースがないといった地理的偏在性の課題や、天候・時間帯によ って再エネの発電量が変動するといった時間的偏在性の課題があります。
当社は今回、自己託送制度※1 を活用した複数拠点間での再エネ由来の電力の融通、各拠点の分 散型電源・蓄電池の運用および環境価値証書※2 の購入に関する計画を自動で最適化する「マルチ リージョン型デジタル電力最適化技術」を開発しました。電力および環境価値の調達コストを最 小化するとともに、拠点ごとの脱炭素化目標の達成を支援します。
当社は今後、当社が電力市場向けパッケージ型ソフトウエア製品「BLEnDer®」シリーズとして展開している「再エネ発電・需要の予測」や「電力計画の作成・提出」などの機能と本技術を組 合せた検証を進め、本技術を実装したクラウドサービス型ソリューション「マルチリージョンEMS(エネルギーマネジメントシステム)」として 2023 年 4 月に提供を開始する予定です。
※1 電力会社が保有する送配電ネットワークを利用して、自社発電所で発電した電力を自社内の別の需要地点に 送電する仕組み
※2 再エネの発電によって発生する「環境価値」や温室効果ガスの排出削減効果を、承認機関の認証を通じて「証 書」の形にしたもの。現在国内では、非化石証書、J クレジット、グリーン電力証書などがある
開発した技術の特長
- 電力融通・蓄電池運用の最適化で、拠点ごとの脱炭素化目標達成を支援
- 再エネ電力の発電量予測値、電力需要予測値、蓄電池の容量、環境価値証書の価格等を考慮 し、再エネ電力を自拠点内で消費するか、蓄電池に充電して別時間に放電するか、自己託送制度を活用し別拠点に融通するか等の選択肢の組み合わせを最適化
- 電力融通・蓄電池運用を最適化することで、電力および環境価値の調達コストを最小化するとともに、拠点ごとの脱炭素化目標を達成する運用計画を策定
- 電力の環境価値を 30 分単位で算出し、正確で透明性の高い電力運用計画を策定
- 将来の炭素税導入や海外の動向※3 を踏まえ、従来の一般的な月単位や年間単位ではなく、30分単位で電力の環境価値を算出し、計画を策定
- 蓄電池の充電量を再エネ由来の電力量と非再エネ由来の電力量に分けて算出することで、電力の環境価値をより正確にかつ透明性高く管理することが可能
- 企業全体のコスト最小化に加え、採算が独立した各拠点のコスト最小化も支援
- 対象となる全拠点の総コストの最小化を追求する場合にも、採算が独立した各拠点が各々のコストの最小化を追求する場合にも適用可能
- 採算が独立した各拠点のコストを最小化する場合は、各拠点から再エネ電力の融通希望量・希望時間帯などのニーズを受け取り、それをマッチングさせることで最適な融通計画を策定
今後の予定・将来展望
電力需給運用パッケージ「BLEnDer」シリーズの 1 つとして、本技術を実装した「マルチリー ジョン EMS」を 2023 年 4 月に提供開始予定です。
また、本製品の導入を検討されている企業の協力を得て、本技術を用いて蓄電池などの設備の 最適導入量や投資回収計画をシミュレーションし、お客様ごとのマルチリージョン EMS 導入の 効果を検証します。
※ 以下の三菱電機 PoC Lab. ウェブサイト(お客様向け)から会員登録いただくと、マルチ リージョン EMS や経済性シミュレーターの詳細をご覧いただけます。
三菱電機 PoC Lab.ウェブサイト: https://www.MitsubishiElectric.co.jp/eig/energysystems/poc/
商標関連
商標・特許関連 BLEnDer 三菱電機株式会社の商標です。
本件の参照先:https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2022/0420.html