~設備の安定稼働を支援し、生産ラインにおけるDX加速に貢献~
NECは、サントリービール株式会社(注1)にAIを活用した設備の異常予兆検知システム「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」(注2)を提供します。本システムは、サントリー〈天然水のビール工場〉京都に新設される缶充填ラインにおいて5月下旬より稼働開始予定です。なお、本案件はサントリーグループのITテクノロジーを担うサントリーシステムテクノロジー株式会社(注3)と協働で進めているもので、サントリーグループ各社への展開も見据えた活動です。
従来、大量生産を行う製造現場の生産ラインでは、現場担当者が設備のセンサーデータを活用してしきい値による監視を中心に行っています。しかし、個々のデータの微細な変化を捉えるには経験やノウハウが必要になり、これらの継承が課題となっています。
今回提供するシステムは、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(注4)の1つである「インバリアント分析技術」(注5)を用いた「NEC Advanced Analytics – インバリアント分析」を中心に構築しています。
PLC(Programmable Logic Controller)などの制御システムを通じて設備に設置されている多数のセンサーから大量の時系列データを収集・分析し、センサー間の不変的な関係性(インバリアント)をモデル化するとともに、ここから予測されるデータの変化と実際のデータを比較することで「いつもと違う」状態を予兆段階で検知します。また、ホワイトボックス型AIの特長を生かし、どこがどのような理由で異なるのかといった、保全現場でのアクションに必要な情報を提供します。なお、モデル化にあたっては、相関関係を見たいセンサー情報とそれらのセンサーが「いつもの状態」として正常稼働していた時間をシステム上に入力するだけで、現場担当者自身で簡単に設定可能です。
サントリー〈天然水のビール工場〉京都では、生産ラインにおけるDXを加速するため、IoTを活用した缶充填の新ラインが4月に稼働します。NECは、本ラインにおいて、制御システムで管理する電流値や電圧値などの約1,500のセンサー情報からセンサー同士の関係性を自動的に発見し、本関係性に変化が起きた際にアラームを出すことで、設備の異常を予兆段階で検知し、早期対処を支援します。
また新たな試みとして、充填機の設置されている部屋内にマイクを設置し、いつもと違う音の特徴を見ることで早期の異常検知が可能かを検証します。これにより人による属人的な保全業務の脱却や作業負荷の軽減、早期の異常検知が期待されます。
NECは、本システムの提供を通して、熟練者のノウハウや経験の継承、また、熟練者でも気づきにくい異常を検知することで設備の安定稼働を支援し、生産ラインのDX加速に貢献します。
以上
(注1) 本社:東京都港区、代表取締役社長:西田 英一郎
(注2) NEC Advanced Analytics インバリアント分析
https://jpn.nec.com/invariantanalyzer/index.html
(注3) 本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:川村 博昭
(注4) 「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)はNECの最先端AI技術群の名称です。"The WISE"には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めています。
プレスリリース NEC、AI(人工知能)技術ブランド「NEC the WISE」を策定
https://jpn.nec.com/press/201607/20160719_01.html
NECのAI https://jpn.nec.com/ai/
(注5) インバリアント分析技術:大量に収集したセンサーデータの中に埋もれている、システムの特徴を表す普遍的な関係性(インバリアント)を、対象プラント・システムのドメイン知識に頼らずに自動的、かつ網羅的に抽出して、モデル化し、モデルと一致しない「いつもと違う」挙動をサイレント障害として検知するAI技術。
https://jpn.nec.com/ai/analyze/invariant.html
本件の参照先:https://jpn.nec.com/press/202202/20220218_02.html