2022.1.25:ベルトコンベアの突発的な停止を防ぐ予兆保全システムをワンストップで提供開始 (Cybernet)


IoTや機械学習による自動監視で工場/プラント設備の安全運用を実現! 導入コンサルからデータ分析までサイバネットが支援します

サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:安江 令子、以下「サイバネット」)は、工場やプラントで使用されているベルトコンベアの振動や温度などのデータを自動で取得し、設備状態の監視と予兆保全※1を行うことができるシステムのPoC※2パッケージ提供を2022年1月から開始することをお知らせいたします。サイバネットは本システムの導入コンサルティングからデータ分析までをワンストップで支援します。

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システム全体図

ベルトコンベアの運用における課題

安全な連続稼働に不可欠な予兆保全と、IoTプラットフォーム導入における障壁

プラントや工場にて使用されているベルトコンベアは24時間365日の連続稼働が求められるため、故障による停止を防ぐことは非常に重要です。特に、総機長が数十kmに及ぶこともある大規模プラントのベルトコンベアは、点検の必要な部品点数が膨大な上、検査員の立ち入りが危険な箇所も多いことから、機器の状態を常時自動で監視して異常を知らせる予兆保全の仕組みが求められています※3。

昨今では様々なセンサやIoT通信機器の進歩により、人手に頼らないベルトコンベアの状態監視の活用が広まりつつあります。しかし、それらの機器を適切に設置して監視システムを構築し、センサから集約したデータを用いて適切な予兆保全を行うには、機械や電気系統だけでなくITシステムや機械学習といった幅広い領域の専門知識が必要です。このような知識を持つ人材が組織内で不足しているのが現状であり※4、システム構築から運用面での障壁となっています。

ワンストップで実現!ベルトコンベア予兆保全システムの概要

重要設備の自動監視の仕組みを最短で立ち上げ、現場に適した予兆保全アルゴリズムを提案

サイバネットは30年以上にわたり、製造業に関する振動や温度をはじめとした物理現象をシミュレーション技術により解析し、お客様の課題解決に貢献してきました。蓄積されたノウハウを生かし、当システムでは、下記のような幅広い領域のソリューションをワンストップでご提供します。

  1. ソリューション導入前のコンサルテーション
    お客様の環境を実際に確認したうえで、必要な各種センサや通信機器をベンダーニュートラルの立場でご提案します。取付容易かつ電源利便性の高いセンサおよび中継機器などをご提案可能です。すでにセンサや収集データをお持ちの場合は、それらを活用したシステムも構築可能です。
  2. IoTプラットフォーム上で、24時間365日、重要設備の状態データを無人で収集
    センサや機器の設置後は、最短で当日からデータ収集と可視化がスタートします。お手持ちのPCや携帯機器を通じていつでも設備の状態のリアルタイム監視が可能になります。
  3. リアルタイムのデータ分析・レポート出力・警報発報。サイバネットのエンジニアによる機械学習アルゴリズムのカスタマイズ
    オートエンコーダを使った異常検知の例 システム上でオートエンコーダ※5を主としたデータ分析が実施されます。正常運転時のデータを基準に状態監視を行い、「普段とは違う」異常の兆候を検知します。
    データ分析のための適切なアルゴリズムは、ベルトコンベアにおける監視対象や物理量によって変わるため、サイバネットではシステム導入後の一定期間、収集したデータをエンジニアが分析し、現場に適したデータ分析のための改善アルゴリズムをご提供します。
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オートエンコーダを使った異常検知の例

3ヶ月間から試用できるPoCパッケージは129万円~

予兆保全システムをお客様の設備で実際にお試しいただけるパッケージをご用意いたしました。

【パッケージ内容】

  • 無線対応センサ機器(3軸加速度※6・温度それぞれ1系統)※当社指定。取付作業を含む。
  • PoC期間中のクラウド環境+状態監視用ダッシュボード(機械学習込み) ※オンプレミスをご希望のお客様はご相談ください。
  • サイバネットのエンジニアによるデータ分析レポートおよび機械学習アルゴリズムのカスタマイズ

すでにお使いのセンサ類に合わせたPoC構成もご提案可能です。電流センサも追加可能です。

今後の展望:AR技術を用いたスマートメンテナンスや、ビッグデータ分析への拡張

サイバネットでは、AR技術を活用したスマートメンテナンスの仕組みもご提供可能です。IoTプラットフォームとお客様がお持ちの携帯端末やスマートグラス等とを接続することで、収集・分析したデータを現場でリアルタイムに可視化したり、機器のメンテナンス手順の説明を現場に投影したりすることができます。

さらに、データの蓄積および発生した異常の種別と分析データとの紐付けが進めば、ビッグデータ可視化ツールと組み合わせることにより、多変量データ※7の寄与度を可視化し、自動で異常現象を弁別する仕組みへと拡張可能です。ビッグデータ分析を用いた仕組みにより、単なる機械学習では難しい、ベルトコンベアの故障原因の推定が容易になります。

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AR技術を使った現場での可視化事例

注釈

※1: 予兆保全:予知保全とも呼ばれる。IoT技術や統計的・機械学習的手法を活用して機器の状態をリアルタイムで監視・分析し、機器が故障して機能喪失に至る前に異常の前兆を検知して、適切なメンテナンスを行うための手法。従来「TBM(Time Based Maintenance)」として定期点検などで行われてきたメンテナンスに対して、「CBM(Condition Based Maintenance)」として機器の実際の状態に即したメンテナンスを実現する。設備や工場・プラント全体の稼働率を向上させ、省エネルギーにも効果のある手法として期待されている。
※2: PoC(Proof of Concept):新たな概念やアイデアが実現可能か、効果や技術的な観点から検証する行程。
※3: 【参考】経済産業省スマート保安官民協議会発表資料「スマート保安推進のための基本方針」(2020年6月29日)」1頁
「設備の状態をデータによって常に把握・監視できる新技術を活用することで、安全性の向上のみならず、人手不足等の課題に適切に対処し、効率性の向上や競争力の強化につなげることができる。」
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/pdf/kihon_hoshin.pdf
※4: 【参考】総務省「令和3年度 情報通信白書」(2021年7月)」より「序章:我が国におけるデジタル化の歩み」25頁
「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査結果(2019年度)によると、IT人材の量について、「大幅に不足している」又は「やや不足している」という回答の合計は、89.0%にも達している。(中略)我が国では、外部ベンダーへの依存度が高く、ICT企業以外のユーザー企業に多く配置されており、ユーザー企業では、組織内でICT人材の育成・確保ができていない。」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n0000000.pdf
※5: オートエンコーダ:ニューラルネットワークを利用した教師なし機械学習の手法の一つ。様々な拡張や応用例があるが、正常な情報を学習データとして異常な状態を検知するシステムとしても利用可能である。
※6: 3軸加速度:測定対象物の単位時間あたりの速度の変化率(加速度)を、X/Y/Z方向の3軸方向で取得したデータ。3軸加速度データにより、対象物の立体的な動きを検出することが可能になり、より高度な振動状態の検出と予測を行うことができる。
※7: 多変量データ:加速度・温度などをはじめとした様々な種類の変数(項目・属性・次元数)からなるデータ。一般的に変数の種類が増えてくるに従い、異常などの特定の現象に対して、その現象の発生に寄与する割合の高い変数を特定することが困難となる。
例えば、サイバネット開発のビッグデータ可視化ツールBIGDAT@Analysisでは、検出したい事象に対する各パラメータの寄与度の強弱を視覚的に認識可能な二次元マップとして可視化することができ、事象の弁別を自動で行うことができる。

BIGDAT@Analysisの詳細については、下記Webサイトをご覧ください。
https://www.cybernet.co.jp/iot/products/bda.html

サイバネットについて

サイバネットシステム株式会社は、CAE※のリーディングカンパニーとして30年以上にわたり製造業の研究開発・設計関係部門、大学・政府の研究機関等へソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティングを提供しています。また、IT分野では、サイバー攻撃から情報資産を守るエンドポイントセキュリティやクラウドセキュリティなどのITセキュリティソリューションを提供しています。近年では、IoTやデジタルツイン、ビッグデータ分析、AI領域で、当社の得意とするCAEやAR/VR技術と組み合わせたソリューションを提案しています。

企業ビジョンは、「技術とアイデアで、社会にサステナビリティとサプライズを」。日々多様化・複雑化する技術課題に向き合うお客様の課題を、期待を超える技術とアイデアで解決し、更にその先の変革へと導くことを目標に取り組んでまいります。

サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。 
https://www.cybernet.co.jp/

※CAE(Computer Aided Engineering):ものづくりの研究・開発工程において、従来行われていた試作品によるテストや実験をコンピュータ上でシミュレーションし分析する技術。試作や実験の回数を劇的に減らすことで、開発期間や資材コストを大幅に削減できるメリットがある。

本件の参照先:https://www.cybernet.jp/company/about/news/press/2022/20220125.html

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