~MR技術を活用した3D CADデータと実物の重ね合わせで現場作業を効率化~
東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:島田 太郎、以下 当社)は、製造現場の3D CADデータ活用ソリューション「Meister MR Link」(以下、本ソリューション)の提供を本日から開始します。MR注1技術(Mixed Reality、複合現実)と既存の3D CADデータ注2を用いて、フィジカル空間の実物にバーチャル空間の3Dモデルを重ね合わせて表示するソリューションです。従来、現場で紙の図面などを参照しながら行っていた、設計と実物の差異や品質の確認作業を、MR技術を活用することで、タブレット注3上で3Dモデル注4と実物を簡単に見比べながら行うことが可能になり、現場作業の手間や時間の削減に貢献します。
これまでMRを利用するには、専用の機器や環境を準備する必要があるという課題がありました。そこで、市販の汎用タブレット端末で「手軽に」、「すぐに」、「安く」MRを導入できることを目指して本ソリューションを開発しました。当社は製造業の課題を解決するさまざまなソリューションを提供しており、本ソリューションは東芝グループや自動車メーカーでの適用実績やノウハウを、製造業のお客さまに広く提供するものです。
本ソリューションでは、既存の3D CADデータをMR用の3Dモデルデータに変換し、手軽に現場に持ち込むことが可能になります。データ変換ツールとタブレットアプリケーションの2つで構成され、製造業に特化した標準機能を搭載しているため、市販の汎用タブレット端末で手軽にMR技術を活用することができます。サブスプリクションサービス(月額固定料金)による提供のため、少ない初期投資で手軽に利用を開始することができます。また、タブレットのアプリケーションは、タブレット端末にダウンロード/インストールしていただくことですぐに利用可能です注5。
■「Meister MR Link」の特長
1.データ変換はいつでもどこでも何回も
3D CADデータをお客さまの環境で”いつでも”、”好きな時に”、”好きな数だけ”、現場へ「手軽に」持ち込めます。
2.専用設備や準備は不要
タブレット端末に3Dモデルを実物に重ねることができる仕組みです。専用機器や検証ルームなどの大規模な設備投資が不要で、MR技術を素早く「安く」現場に導入できます。
3.製造業に特化した標準機能
東芝のノウハウと社内外で導入した実績を元に、製造業のお客さまに必要な機能を標準で搭載しています。個別に開発することなく「すぐに」導入可能です。今後さらなる機能強化を進め、業務利用の幅を広げていきます。
■タブレットアプリケーションの主な機能
- 重ね合わせ機能
- MR用の3Dモデルに変換したデータは、タブレットのアプリ上で、現物と重ね合わせて表示することができます。
- バーチャル付箋機能
- 画面をタップすることで、バーチャル空間上に付箋(メモ)を残すことができます。
- バーチャル付箋は、テキスト情報や、3Dモデルと紐づけた3D座標情報を保持しているので証跡管理ができます。
- 保存した付箋は、次回以降も3Dモデルに紐づけられた場所に表示されるため、情報共有や教育用途にも活用可能です。
- 実績登録機能
- 作業実績や実施した作業内容を記録できるため、作業の抜け漏れや不具合情報、気づき情報を作業後に振り返り確認できます。
- 現場でタブレットに記録した内容は、CSV形式で出力し、PC等で読み込むことができます。
- この記録した内容を共有することで、レポートの代わりになりレビュー時間を削減することができます。
■ユースケース
※ユースケースの詳細は、Meister MR Link 商品情報サイトを参照ください。
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/manufacturing-ict/meister-mr.html
例えば自動車メーカーでは、試作車両に対して実寸大模型(ガバリ)を重ね合わせて、溶接された全打点の品質をチェックする工程があります。ガバリ作成に時間がかる、設計変更のたびにガバリの修正が必要、見比べての作業のため抜け漏れが生じやすい、経験の少ない作業員は時間がかかる、などの課題がありました。
本ソリューションを導入することで、ガバリ自体が不要になり、試作車両の実物に3Dモデルと打点データを表示し、打点の品質をチェック・実績登録する一連の作業をタブレットで行えます。現場で完結できることが増え、レポート作成などの事務処理時間を削減することができます。実際、従来のガバリ作成からレポート出力までの工程を、本ソリューションの導入により、最大8割の作業時間削減に成功した実例があります。(当社調べ)
さらに紙の図面などを確認しながら作業を行っていた場合と違い、作業結果や進捗状況を可視化することができるため、作業の抜け漏れや手戻りの削減に効果が期待できます。
当社は今後も、より多くの現場で3Dモデル・MR技術を活用していただくため、3Dモデル・作業内容・その記録をリアルタイムに共有する環境、良品判定をするAIツールやIoT連携の機能などを組み込んだプラットフォームをサービスとして提供することを目指すなど、さまざまな業務の課題解決に貢献していきます。
本ソリューションの開発時にご協力いただいた、日産自動車株式会社様から以下のコメントを頂きました。
<日産自動車株式会社 塗装樹脂技術部 塗装技術課 佐藤公治様>
日産自動車は、これまで働き方改革を通して様々な業務効率化の検討を進めてきました。その一環で車両や車両に用いる部品と、図面や実寸大模型(ガバリ)を比較する業務に対して改善を進めています。特に付帯作業時間の短縮や手戻り率の削減など作業性向上を期待してバーチャル技術を取り入れています。東芝デジタルソリューションズのMeister MR Linkで、これら課題の解決ができ、さらなる効果の実現を期待しています。
注1 MR:Mixed Reality(複合現実)の略称。
注2 3D CADデータ:設計などで3D CADにより作成されるデータ。データ変換するための前提条件があります。
注3 タブレット:iPad Pro(11インチ 第3世代、動作確認済みのバージョン iPad OS14.5)。お客さまにて別途ご購入・ご準備頂く必要があります。
注4 3Dモデル:本ソリューションでMR表示させるために3D CADデータをMR表示形式にデータ変換したもの。
注5 タブレットのアプリケーションのご利用には、本ソリューションのご契約とライセンスキーが必要になります。
注6 証跡管理:作業結果に位置座標を加えてデータ保管すること。
- iPad Pro、iPad OS、AppStoreは、米国Apple社の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- Meister MR Linkは、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
- その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
- ニュースリリース/トピックスに掲載されている情報(サービスの内容/価格/仕様/関連リンク/お問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
Meister MR Link 商品情報サイト
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/manufacturing-ict/meister-mr.html
本件の参照先:https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2021/1221.html