2021.11.16:高度かつ安全なAI利用の実現に向け、イスラエルの研究拠点にて富士通とベングリオン大学が共同研究を開始


富士通株式会社(注1)(以下、富士通)とBen-Gurion University of the Negev(注2)(以下、ベングリオン大学)は、イスラエルのベングリオン大学内に設置した富士通の研究拠点「Fujitsu Cybersecurity Center of Excellence in Israel(以下、富士通CCoE IL)」(所在地:イスラエル ベエルシェバ市)において、実社会での安全なAI利用を支援する技術およびソリューションの開発に向けて、研究テーマの検討や体制整備を経て、2021年10月より共同研究を開始しました。

富士通とベングリオン大学は、昨今課題となっている、AIモデルや学習データなどへのセキュリティ脅威が引き起こす様々な問題を解決する技術を研究開発し、AIを実装したシステムやソフトウェアにおけるセキュリティの高度化を目指します。

なお、本共同研究にあたり、富士通は、ベングリオン大学の100%子会社として産学連携の窓口を担うBGN Technologies Ltd.(注3)(以下、BGNテクノロジーズ)と、2021年9月1日より3年間の契約を締結しています。

20211116 Fujitsu 1

写真.イスラエル拠点にいる研究員

背景

昨今、監視カメラを用いた不正行動の検知や、製品の異常検知による品質管理、顧客へのおすすめ商品のレコメンド、自動運転など、あらゆるシーンでAIの利用が浸透しており、今後も広く加速していくと考えられます。

一方で、映像データに特殊なノイズを加えることでAIに人物の誤認識や動作の誤検知を起こさせたり、AIの学習データに含まれる機密情報を盗み漏洩させたりするなど、攻撃の手口が巧妙化しており、それらの対策が急務となっています。

共同研究の概要

  1. 研究期間:

2021年9月から2024年8月まで

  1. 役割分担および体制:

<役割分担> 

富士通

  • AIを実装したシステムやソフトウェアにおけるセキュリティ技術の研究開発
  • 技術検証のシナリオ検討
  • 技術の検証および評価の支援

ベングリオン大学

  • AIを実装したシステムやソフトウェアにおけるセキュリティ技術の研究開発
  • 技術の検証および評価

<体制> 

富士通とベングリオン大学の研究員 約20名

  1. 研究内容:

富士通とベングリオン大学は、イスラエルに設立した研究拠点「富士通CCoE IL」において、AIに対するセキュリティ脅威に関する様々なケースを想定した実証実験を行い、それらを防御するために必要となる技術の確立に向けて先進的な研究を推進します。

研究テーマの一例として、自動航行ドローンへの攻撃検知やネットワーク通信への不正検知などのシーンに、新種の攻撃など未知の脅威を検知可能なAIモデル(Out of Distribution 検知モデル(注4))を適用し、日々進化する攻撃手口に適切に対処するための技術を開発します。そして、その技術を製品の異常検知などにも応用し、学習時には想定していなかったデータが出てきた場合にも対応できるAIの実現を目指します。

今後の展望

今後も、富士通とベングリオン大学は、「富士通CCoE IL」での研究開発を通じて、幅広い分野に対応できるAIのセキュリティ技術を確立するとともに、それらの先進技術をソリューションとしてグローバルに提供し社会実装することで、様々な社会課題の解決に貢献していきます。

富士通株式会社 執行役員専務 CTO ヴィヴェック・マハジャンのコメント

セキュリティ分野における高いソフトウェア開発能力を持つベングリオン大学との共同研究および「富士通CCoE IL」の開設を嬉しく思うとともに、大変期待しております。今後、富士通はベングリオン大学と共同でAIにおける新たなセキュリティ技術を確立し、様々な社会課題の解決を進めてまいります。

ベングリオン大学 教授 ユーヴァル・エロヴィッチのコメント

本共同研究を通じて、世界をリードする情報通信技術を手掛ける富士通との連携を強化できることを嬉しく思います。AIに焦点を当てた攻撃に対して、我々が研究開発していく技術を活用することで、より堅牢なシステムの実現を目指します。

BGNテクノロジーズ CEO ジョッシュ・ペレッグのコメント

ベングリオン大学と富士通が連携し、サイバーセキュリティ分野におけるリーダーシップを発揮することを期待しています。この3年間の共同研究を通じて、AIにおけるセキュリティを向上させ、より安全な社会の実現に貢献するとともに、ベングリオン大学がAI、機械学習、サイバーセキュリティ分野におけるグローバルプレイヤーとしてのポジションを強化できるよう、研究支援に注力していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

注1 富士通株式会社:
本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁。
注2 Ben-Gurion University of the Negev:
本部 イスラエルベエルシェバ市、総長 ダニエル・チャモヴィッツ。
注3 BGN Technologies Ltd.:
本社 イスラエルベエルシェバ市、CEO ジョッシュ・ぺレッグ。
注4 Out of Distribution 検知モデル:
AIにおいて、学習時には想定していなかったデータを検知するモデルの総称。サイバー攻撃における新種の攻撃検知や、製品の異常検知など、未知のデータに対応するための手法の一つ。

ベングリオン大学について

ベングリオン大学は、イスラエルで最も急速に成長している研究機関で、およそ2万人の学生が在籍し、6,000人ほどのスタッフおよび教職員が勤務しています。ネゲブから台頭するイスラエルの将来を構想したイスラエルの初代首相であるデヴィッド・ベングリオンのビジョンを実現すべく設立され、現在、ベエルシェバ、スデ・ボーカー、エイラートの3箇所にキャンパスを構えています。 

工学や自然科学、健康科学、人文・社会科学などをはじめとする多くの分野において、国内外で活躍するリーダーを輩出しており、政府や産業界との学際的な協力を得ながら、起業家精神とイノベーション力を持った学生を育成しています。また、地域社会への貢献にも力を入れており、学生の3分の1以上が世界中の地域活動プログラムに参加しています。詳細は、BGUのWebサイトをご参照ください。 
https://in.bgu.ac.il/en/Pages/default.aspx

BGNテクノロジーズについて

BGNテクノロジーズは、ベングリオン大学の技術移転会社として、市場に技術革新をもたらし、研究者および学生の研究や起業に向けた支援を行います。これまでに、バイオテクノロジー、ハイテク、クリーンテクノロジーの分野で100社以上のスタートアップ企業を設立し、主要なテクノロジーハブ、インキュベーター、アクセラレーターを立ち上げてきました。この10年間に、Deutsche Telekom、Dell-EMC、PayPal、Lockheed Martinなど多国籍企業との長期的なパートナーシップの構築に注力し、ベングリオン大学とネゲブ地域の発展に貢献してきました。詳細は、BGN テクノロジーズのWebサイトをご参照ください。 
https://in.bgu.ac.il/en/bgn/Pages/default.aspx

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。

本件の参照先:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2021/11/16-3.html

全ての内容は、固有に記載のあるものを除き所有権は当サイトオーナー、メタリンク株式会社に帰属します。
AIを含む如何なる形式での再利用、複製、また再配布はくれぐれもご注意ください。
All contents, unless otherwise stated are copyright MetaLinc K.K.
So not reuse, redistribute, or duplicate in in any format or way, including AI.
© 1995-2023 MetaLinc K.K.  - メタリンク株式会社