オートデスクは 10 年以上前から、サステイナビリティをビジネスや製品に組み込むことが、気候変動の影響軽減につながると認識してきました。いつからのことなのか正確には分かりませんが、お客様の間でも大きな変化がありました。現在、多くのお客様がサステイナビリティをビジネスにおける優先事項として位置付けています。実際昨年、一部のお客様を対象に調査を行ったところ、約 90%* のお客様が二酸化炭素排出量を管理するテクノロジー ソリューションの導入を計画していることがわかりました。
オートデスクのお客様がこうした投資を行うのは、それが正しいことだと考えているからであり、市場が進化しているからでもあります。お客様の顧客が製品を購入したり、建物を建設したりする際に、その製品や建築構造にサステイナビリティの基準を適用するケースが増えています。環境を配慮した建物は、居住者や環境に優しいだけでなく、運用コストを抑え、資産価値を高めることができます。
市場では環境に配慮した取り組みが行われるようになりましたが、オートデスクはお客様が環境にポジティブな影響をもたらしやすくするソリューションを作り続けてきました。建築分野で排出される温室効果ガスは、温室効果ガスの年間排出量の約 40% を占めています。また、製造業では 20% 近くを占めています。インサイトを高め、より良い意思決定を行うために必要なテクノロジーをお客様に提供することは、オートデスクにとって環境にポジティブな影響を与えることができる最も大きなチャンスだと思います。毎年発行しているインパクトレポート(英語版)では、オートデスクのソフトウェア プラットフォームをお客様のサステイナビリティに対する取り組みに役立てるさまざまな方法をご紹介しています。
これらのソリューションを構築する製品チームは、単独で活動しているわけではありません。オートデスクのサステイナビリティ チームと一緒に仕事をしています。サステイナビリティ チームは、オートデスクのミッションを前進させることができる人々やパートナーシップの動向を把握しています。オートデスクのサステイナブル ビジネス担当ディレクターであるベン・トンプソンに、オートデスクのお客様がこれまでにどれだけのことを成し遂げてきたのか、そして次は何に目を向けているのかを聞いてみました。
エイミー:お客様からは、サステイナビリティの目標を達成するためにオートデスクの技術を必要としているという声を聞くことが多くなりました。ベンもそう思いますか?
ベン:まさにそうですね。お客様は非常に多くの要求に直面しており、プロセスの調整や合理化をサポートするだけでなく、増え続けるステークホルダーや大量のデータからインサイトを得る必要があります。だからこそ、高度なシミュレーションや人工知能を備えたクラウドベースのソリューションが注目されているのです。プロジェクトの関係者は、一つの道を突き進む前に、選択肢や影響の全体像を把握することができます。他の方法ではコストがかかりすぎて評価できないようなこを探ることも、このソリューションなら可能なのです。例えば製造業では、Fusion 360 とジェネレーティブ デザイン テクノロジーが、プロセス効率の向上、材料使用の最適化、二酸化炭素排出量の削減に役立ちます。
エイミー:私は、お客様がサステイナビリティへの効果をしっかり出せそうな設計プロセスの初期段階で、設計上の意思決定を効率化するサポートができることを嬉しく思っています。Embodied Carbon in Construction Calculator(EC3)は、建築家やデザイナーがコンクリートやスチールといった素材を選択する際の二酸化炭素排出量を表示するもので、業界全体でパートナーシップを結んでいます。EC3 を使用している企業からは、コスト目標を達成しつつ、より良い選択がより簡単にできるという声が届いています。まさに Win-Win の関係ですね。
ベン:この例は、サステイナビリティ チームと製品チームがどのように連携しているかをよく表していて、とても気に入っています。私たちサステイナビリティ チームは業界の賛同を得るために必要なパートナーシップの構築を支援し、製品チームは私たちの製品をそこに導入します。サステイナビリティに関しては、非常に多くのニッチな分野があります。私たちは、この革新的なエコシステムの中でスカウトする役割を担っており、お客様と一緒に試作版を作ったり、次の大きな流れを掴もうとしているスタートアップと一緒に仕事をしたりしています。
エイミー:重要な点に触れてくれました。私たちは常に、より多くのイノベーターに参画してもらいたいと考えています。だからこそ、サステイナビリティの取り組みに熱心な企業の買収を行ったのです。スペースメーカー(Spacemaker)社は、建築家やプランナー、デベロッパーが、建築物のサステイナビリティに影響を与える配置計画のオプションを迅速に評価する AI を活用しています。また、イノヴァイズ(Innovyze)社は、顧客がきれいな飲料水を提供したり、廃水を処理したりするための目的別ソリューションを開発しています。また、自治体が自身のシステムを監視・管理し、危機的な状況に陥る前に問題を認識できるようにもしています。さらに、同社はインフラの状況把握をしやすくし、復旧の際にも効果的なデジタルツインの活用をリードしています。デジタルツインは、より効率的な運用を可能にするダイナミックなモデルで、物件所有者の誰もが求めるものです。
ベン:そのとおりですね。Autodesk Tandem のようなデジタルツイン プラットフォームは、効率性を超えて循環性を実現する可能性を秘めています。これらのツールは、ビル、キャンパス、鉄道、都市など、物理的な資産のレプリカを作成します。そして、このデジタルレプリカは、設計・建設から運用に至るまでのデータと価値を集約します。デジタルツインは建物の運用を効率化し、環境に対する運用上の悪影響を軽減することができますが、さらに構造物の改修や改装の際には、データが豊富なデジタルツインを利用することで、材料の再利用やコスト回収が容易になります。建物を資材の銀行と見なすこの考えは、ヨーロッパではすでに普及しています。
エイミー:サステイナビリティがこれほどまでに注目されていることに、とても感激しています。カリフォルニアでは、昨年の記録的な山火事に続き、深刻な干ばつに見舞われており、ヨーロッパやアジアでは壊滅的な洪水が発生しています。世界中の人々が気候変動の影響を実感しており、これらの問題の解決は喫緊の課題となっています。オートデスクのチーム、パートナー、そしてお客様が一丸となって努力すれば、きっと何かを変えることができると、これまで以上に実現の可能性を信じています。
ベン:私もそう思います。このコラボレーションを継続し、来年はさらに多くの成果を報告できればと楽しみにしています。
お客様がどのようにテクノロジーを利用してサステイナビリティの目標を達成しているかについては、こちらのインパクトレポート(英語版)の全文でご覧いただけます。
脚注: *2020 年 5 月に実施されたオンライン カーボン マネジメント調査の対象業種は、建築、MEP、構造工学、土木、建設、設備の 6 業種でした。調査対象は米国の中堅企業(従業員数 250人~4,999 人)の 450 人で、その大半がカーボン マネジメントの意思決定者でした。
執筆者:デザイン・製品クリエイティブ部門 シニア バイスプレジデント/エイミー・バンゼル
本件の参照先:https://blogs.autodesk.com/autodesk-news-japan/sustainable_future/