PDM誌上セミナー - 第四回(最終):PDM最近事情


 PDMが製品データ管理システムとして世に認知されてから約10年余り、日本では約8年を経過しようとしている。その間、3次元CADの進展によるデジタルデータの活用、インターネットの急速な普及によるビジネスモデルの変化、そして企業に於けるIT(情報技術)の本格的な活用と大きな変革を経験してきている。CADやERPに比べて、比較的新参モノのPDMもこれらのテクノロジーの進化に対応して次々と強化が図られている。この点を見すえて導入や拡張を行っていく必要がある。さもないと再びカストマイズだらけのレガシー・システムを構築することになる。米国CIMdata社ではこれら業界の変化と進展に合わせてcPDm(collaborateive Product Definifion management)を最近新たに提案をした。

ツールからソリューションそしてデータからプロセス

PDM Evolution

 PDMのルーツはどこにあったのであろうか? この質問に答えることは難しくない。黎明期の多くのPDM製品は固有の企業のBOMシステムをパッケージ化して登場、もしくはメカニカルCADベンダーのデータ管理システムの発展型を背景としてきた。その後、PDM機能実現のためにBOMシステムやCADシステムなど固有の背景を持たないPDM製品が登場して来た。更にERP系ベンダーが既存顧客ベースと生産・製造における基幹業務システムでの強みを背景にこの市場に参入して来た。

 この間、PDM製品は顧客での成功例を取込み、所謂、ベスト・プラクティスの提供やテンプレートの充実など、ツールそのものに柔軟性や拡張性を持たせること、導入手法の確立や導入支援ツールの充実、導入に於ける経験やリソースの拡充、技術インフラへの対応などを鋭意進めてきたのである。これは『正常進化』であり、PDMが顧客のビジネス目的(これは各企業により異なる)に応じて、その成功を支援するための価値を提供するソリューションに育って来たことを意味する(上図、「PDM市場の歴史的発展」)。

ポータル、コラボレーション、ビジュアライゼーション....

 様々なインターネット・ビジネスの話題のなかでも、最近特にB2C(企業と消費者)やB2B(企業間)という言葉を聞く機会が多いかと思う。特にB2Bの市場規模は、B2Cに比較して非常に大きいのでベンダーサイドもそこでのビジネスを期待している。

 実は昨年の第一回のPDM動向・動機についての『PDMビジョン』や『OEM(製造元)とサプライヤの関係』はこのB2Bの支援を指している。古典的な『PDMビジョン』そのものに変化はないもののPDM製品が世の中の進化、すなわち、市場とテクノロジーを敏感に取り入れて『正常進化』してきていることを裏付ける機能のひとつである。

 ここ1~2年の間に各ベンダーがポータル、コラボレーション、ビジュアライゼーションなど、更に『c』、『e』、『i』などをキーワードにしたパッケージ、アプリケーション、ソリューションを全面に打ち出して来ている。それはPDMが『Product Definition Lifecycle (製品定義ライフサイクル)』を支援するからである。

Major Lifecycle

企業の製品に関するライフサイクルを見た場合、右図の「企業に於ける主要なライフサイクル」にあるように3つに大別することが出来る。それぞれの要素が企業の利益を創り出す源泉となるが、PDMの機能はその中の『知的生産』である『製品の定義』を支援している。これは例えば、既存製品の上に新製品が成り立っている、極論すれば、新製品は旧製品の設計変更(その要求は様々なレベルがあろうが)なのである。製品の生産や資源については一般的にERP/MRPなどが当てはまろう。この製品定義のライフサイクル管理が、最近のビジネス・モデルであるB2B(企業間取引)において必要不可欠な要素となる。なお、この『知的生産』には昨今、話題のナレッジ・マネージメントも含めることが出来る。

昨今の投資事情について

 昨年来、特に下期以降、Y2K対策の投資も完了し、2000年の投資項目として多くの企業が「PDM」をあげて動きだしている。その中で、ある種の企業は、経済不況の中でここ数年PDM投資を凍結していたものが、復活してきたものと思われる。この場合、旧い導入プランのままで再度PDMの蓋を開けないことをお奨めする。ここ数年で、PDM製品のソリューションとテクノロジーが大きく変貌しているからである。現在のビジネス環境を数年前のPDM製品で語ることはもはや出来ない。

 今、日本で見られるPDM製品の多くは米国を中心としたものである。特に米国・欧州においてPDM製品は、ここ10年近くに渡る景気の進展に伴って『正常に進化』してきたといってよい。また、その中には欧米独特の手法やユーザーの貢献によってベスト・プラクティスやテンプレートが搭載され、より導入のし易い製品に仕上ってきているものが多い。

 一方、日本の状況はどうであろうか? 例えば、システム化されているフローが日本のビジネスプロセスに合わないなどといった、ERP系製品にあった課題は解決されてきているのだろうか? ツールそのものの問題ではない。そのプラクティスはどこから来たのかが問題である。それはユーザーの経験であり、システム進化への貢献の賜物である。ベンダー自身の対応もあろうが、よくある日本の体質、自社のノウハウは出せないとか、自社のものははずかしいとかいった論理、また、自分達の業務プロセスは絶対だといったことはないだろうか? このような固定観念によってITの有効活用が妨げられていることはないだろうか。少なくとも、別表に掲げた「PDM製品の満足度」に対するユーザーの声の×の部分にはこの種の問題が関係していると、筆者は考える。

まとめ:PDMからePDmへ

 今後の日本に於ける正常進化へのをコメントとして列記する:

  • PDM導入の動機は何なのか?ビジネス上の『Must to have』はあるのか?
  • IT投資の変化:ITは戦略テクノロジーである。それは利益貢献の評価しなければならない。PDMもまた戦略テクノロジーである。
  • PDM製品はツールからソリューション、データからプロセスへと変化した。
  • PDMツールの選択の際、最初に○×評価を行わない。どのツールも必要があって存在する。ツールそのものに○×を付けることは出来ない。あるとすれば利用目的とのギャップである。
  • 投資効果の見極め:PDMビジネス・アプレイザル(前号参照)を奨める。PDMでどう利益を得るのか?後に発生する課題を事前に予測し、目標の設定が可能になる。
  • 投資の先延ばしの損失も考慮する。
  • 早く実施して、早く結果を出し、次の予算を確保(半期単位で)する。3年先の目標はビジョンにしかならない。実行は効果が早く出るものから進める。
  • 日本的プロセスの考慮も必要。これはベンダーとユーザーが協調すれば良い。
  • ユーザーとベンダーの役割の明確化:ユーザーはビジネス・プロセスを知り、ベンダーはツールを知り
  • そしてユーザーはオーナーシップを持っている。などなど。

 折しも冒頭に様に業界の進展とともにもはやPDMも単なる製品データ管理だけの領域だけでその導入世界を語る時代は去り、企業の知的製品部分を支援する『Product Definition Lifecycle (製品定義ライフサイクル)』はcPDmとして新たに従来のPDM機能そのものとベスト・プラクティス、コラボレーション、ビジュアライゼーション、コラボレーティブ・プロダクト・コマース、エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション、コンポーネント・サプライヤ・マネージメントなどテクノロジーの組合せで、現在進展するe-ビジネス環境に於いて企業にとって革新的でより利益を望める製品を創出するためのビジネス・ソリューションと位置付けられている。

 cPDmそのものや最新のcPDm市場規模含めて、弊社のWeb サイト(www.MetaLinc.comまたwww.CIMdata.com)を参照いただきだい。また、皆様の導入に際してはセミナーならびにカンファレンス、マーケット・サービス、エンドユーザー向けのコンサルティング・サービスをご活用いただきたい。この1年間にもインターネットの進化の速度同様に、PDMからCPDmへと進展も絶えまなく続いている。これらの変化を受け止め、皆さんの立場に置かれて最適な導入計画の開発・実行されることを期待するものである。

(江澤 智、2013.5.10 改)


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