コラボレーション:ビジネスプロセスでの効果


 製品開発技術者やその関係者は製品定義の価値を付加しない仕事にあまりに多くの作業時間を費やしている。典型的に紙ベースであったり、特定の場所でフェイス・ツー・フェイスで会うためにグループのスケジュールに依存する意志決定プロセスの中で作業を行なっている。

 そのような要素は往々にして遅れを引き起こすものであり、図面やドキュメントの印刷のような非生産的な調整作業や準備作業を行っている。人々が間違った情報を使用して仕事を行い、時間を無駄にしてしまい、重要な決定に遅れを引き起こしてしまう。これは人々が効果的で無駄の無いタイムリーな方法でコミュニケーションが出来ないことに起因するもので、それはビジネスプロセスの崩壊を引き起こすものである。

 ビジネス・プロセスを支援するためのリアルタイムコラボレーションの使用例を以下に紹介する。コラボレーションの効果はここに紹介したものに加え、多くのプロセスの改善に使用可能である。

変更管理とデザインレビュー

 製品開発の初期段階において、製品のコンセプトを練り上げるために技術者同士がアイデアを出す際、数多くの創っては捨てるという繰り返し作業が多く発生する。製品開発ライフサイクルの中のこの段階に於ける変更管理手続きは柔軟性を必要とする。このために矛盾を発見したり、日々刻々進む設計作業で発生する間違いや矛盾などの確認に集中する必要がある。また設計活動が地理的に分散しているところでは設計エラーが引き起こされる可能性も増加する。問題の多くは部品間、アセンブリー間、そしてサブ・システム間のインターフェイスで発生する。製品仕様書や図面が曖昧であった時、異なった場所で複数働いている設計者が、それぞれ異なった理解をする可能性が大となる。このことはそれぞれの設計者の仕事に於いて、互いに噛み合わない部品を組み合わせた際、設計者がクラッシュや干渉でシステムとして正しく動作しない部品を創ってしまうことが発生する。

 製品開発プロジェクトチームが共有コラボレーションセッションによる新たなデザインレビュープロセスの採用は、矛盾やエラーの可能性を製品開発ライフサイクルの初期段階で確認出来る効果を持つ。伝統的にデザイン・レビューはフェイスツーフェイス会議で行われていたが、分散化した設計チームは今日、リアルタイムでコラボレーティブなレビューであらゆる面で優位性を得ることが出来る。

 設計の初期段階での検証や製品の実現性の確認は資源、材料、そして製造資源を決定してしまう以前に行うべきものであり、多大なコスト低減につながる。生産中の製品の変更、またはさらに悪いケースとして製品が社外へ出てしまった時の製品の変更、これらの手戻りは設計の初期段階になされないことは格段に高いコストになってしまうことは明らかである。

サプライチェーン

 パートナーシップ指向へのサプライチェーンの変化はサプライヤ、下請け、そして顧客のいずれもが製品定義に巻き込まれることを意味する。実際可能な分散サプライチェーンを採用する企業は、データとプロセスをマネージするコラボレーティブなツールを必要とする。設計と製造を行う企業は製品デザインの交換だけでなく、リードタイムを早めたり、製品を迅速に市場に出したりするための共有環境で互いに緊密に仕事しあう能力が必要である。多くの異なったツールを使用するそれら多様なグループとの製品設計のコミュニケーションは深刻な問題になっている。変更管理に関する限り、コラボレーション・ツールは曖昧さのないコミュニケーションの手段の提供や一箇所に集まってミーティングを行うことなく自由な時間でのコミュニケーション手段を提供する。

 一方、インターネットやWebツールが持つデータのセキュリティ・レベルやパフォーマンスについては、多くの危惧がある。インターネットでのコラボレーション・ツール利用の展開は、技術が確実且つ強固で安全であることが証明されたときのみ採用される。企業がイントラネットを使うために高性能なネットワークを持っていなかったならば、コラボレーションの採用が遅れてしまうであろう。しかし、それら課題はWebがビジネスや商取引のあらゆる分野を通して急速に採用が続く中で解決に向かうであろう。

販売と入札

 製品開発の全ライフサイクルは設計、製造、そして顧客への製品配送と言った方向に向かっている。この全プロセスをカバーする狙いは顧客が購入したい製品を手にすることを確実なものにすることである。全体のビジネス・ライフサイクルはセールスから始まり、顧客のニーズや要望により行動が起こされるが、セールス・プロセスを支援するツールはまだ少ない。顧客が興味を抱いたり、製品を探したり、調査したりすることをインターネットで実現するアプリケーションの提供がコラボレーション・ツールで始まっている。今日この例は自動車業界で存在しており、このタイプのコラボレーションのための更に多くの機会が、例えば、コンシューマ・エレクロトニクス製品、補修部品のサプライ、そして建築や建設業界などにもある。

 企業は入札プロセスを如何に改善するかの課題の模索を続けている。コンカレント・エンジニアリングの実践ができていると信じている多くの企業は、入札プロセスにおける同様な仕組みを軽視している。典型的に入札は、その管理者が顧客から提案要請(RFP)を受け取り、入札に関係するすべての関係者や関係部門にコピーを送るという "スター" プロセスを用いて管理する。各部門は彼等の入札の割り当てられた部分への対応を行い、それぞれが別々に仕事をするという傾向がある。入札管理者の第一の役割は部門間のコーディネーターとして行動することである。技術部門は、コストとスケジュールを割り当てるために購買部門と製造部門に出向き、提案書を作成する。ここで営業、技術、購買、製造のそれぞれの部門をコラボレーション・セッションで結びつけ、同時に製品のオプション、代替、そしてコンセプトなどのレビューを同時に行う機会が存在する。これはより速く、より能率的になり、そしてより正確でコスト効果の高い入札が行える。

保守とサポート

 保守やサポート作業におけるコラボレーション・ツールの利用への理解が、防衛、プロセス、機械工具などのような多くの異なった分野で増加している。アニメーションやシミュレーションは、製品がどのように動作するか、保守を行えるかの実証を可能にする。支援対象の参照データのアクセスを行い、操作員や保守技術者に言葉と視覚両方での説明が提供される。この種のコンピューター支援による保守は、歴史的に会話形式でのCDソフトウエアで提供されていた。

 今日、一部で使われているWebベースの製品サポートや保守システムは技術者、オペレーター、保守担当者にオンラインによる最新情報供給の可能性を提供する。モバイル通信機器を通してのインターネットへ接続する能力は、遠隔地であっても最新のサポート情報や保守情報を直接アクセスする可能性を切り開くものである。多くのケースではサポート担当者が、問題の診断が不可能だったり、欠陥箇所を確定するための最善の方法を見い出すために、職務担当者、サプライヤー、また、その他技術を持っているセンターにコンタクトしなければならない。コラボレーション技術は保守技術者とサポート事務所の間で、リアルタイムで共有製品データ(Shared Product Data)の交換を可能にする新しい道を提供する。3Dモデル製品、アセンブリー、部品を使用しての助言や提案は、相互作用をもって調査・診断ができ、共有されたコラボレーション・セッション(Shared Collaboration Session)により曖昧さを更に減らすことが出来る。

(江澤 智、2013.5.10 改)


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