“Realizing the Digital Twin (デジタルツインの実現) ” - Siemens PLM Software アナリストカンファレンス 2017 (論評) (2017年10月3日)


“Realizing the Digital Twin (デジタルツインの実現) ” - Siemens PLM Software アナリストカンファレンス 2017 (論評) 
“Realizing the Digital Twin” - Siemens PLM Software Analyst Conference 2017 (Commentary)  
2017年10月2日


重要事項:

  • Siemens PLM Softwareは、Siemens AGの戦略的部分として包括的で一貫したエンドツーエンドソリューションを提供しています。
  • Siemens PLM Software (シーメンス) は、買収に10億ドル以上を投資しており、事業およびサービスの拡大など、業界のデジタル変革を支援するソリューションを提供し続けています。
  • Siemensのデザイン・設計ソリューションであるNXとSolid Edgeは、ファセットされた精密なジオメトリ、アディティブマニュファクチャリング、リバースエンジニアリングを含むコンバージェントモデリングを活用して、トポロジの最適化を含むジェネレーティブデザイン手法のワークフローを改善します。
  • シーメンスの実用的で総合的なデジタルツインは、製品、性能、生産を含む複数の機能的なツインで構成され、市場の他のデジタルツインソリューションよりも幅広いものです。
  • メンターグラフィックスの買収は、ワイヤハーネスの設計や電子機器の製造など、多くの面で効果を生じています。Siemensは、今日のスマートで多くのセンサーで接続された製品の開発と継続的な運用をサポートするマルチドメインIT環境を提供するとともに、自律型走行車などの未来の製品をサポートします。

 CIMdataは最近、9月5日から8日まで、マサチューセッツ州ボストンで開催されたSiemens PLM Softwareの第11回年次アナリストカンファレンスに参加しました。このイベントは、ほぼ100名の業界アナリストとジャーナリストが参加、Siemensのソリューションポートフォリオが拡大に伴い拡大し続けています。今年のイベントのテーマは「Realizing the Digital Twin」でした。Siemens は、製品ライフサイクル、様々な製品、生産、パフォーマンスのあらゆる側面を網羅した全体的・包括的かつ実行可能なデジタルツインのセットを創生するアプローチについて説明しました。同社の全体的なデジタルツイン戦略は、図1に示すシステム主導による製品開発へのアプローチをサポートするものです。2日半のイベントは内容が豊富であったため、この解説は図に示されている主要な要素のハイライトを提供します。

 開会基調講演に於いて、Siemens AGのDigital Factory部門のCEO、Jan Mrosik博士は、市場へのスピードと柔軟性を改善・向上させることは、製造業界全体の企業にとって不可欠な要件であることを強調しました。Mrosik博士によると、すべてのSiemens AG部門はデジタリゼーション技術を推進しており、Digital Factoryグループは、企業が Industrie 4.0 に移行するにつれて、グローバルな製造業界がデジタル化するのを支援するという目標を持っています。Siemens AGは、CIMdataはまったく同意する考え方である、デジタル化することは十分ではなく、つまり企業はデジタル戦略と関連する有効化技術を使用したデジタリゼーションをビジネスモデルの変更に活用する必要があると述べています。このビジョンを実現するために、Siemensは、メカニカル、ソフトウェア、エレクトロニクス、シミュレーション、生産、サービスなど、あらゆる面でバリューチェーンプロセス全体にデジタルツインを提供するデジタルツインを構築しています。CIMdataは、Siemensの全体論のデジタルツインライフサイクルプロセスを改善する大きな可能性と完全に実装された場合の競争上の差別化要因であることに同意するものです。


図1 - Systems Driven Product Development - システム主導による製品開発
 (Courtesy of Siemens PLM Software) 

 Siemens AGは、幅広いビジョンを達成するため、PLMポートフォリオを拡大するための戦略的買収に100億ドル以上を費やしました。単一の最大の投資は約45億ドルでのMentor Graphicsであり、Mentor Graphics (現Mentor) は、CIMdataの世界的なPLM市場分析で報告されているように、電子設計自動化 (EDA) 分野のリーダーであり続けてきました。Mentor Graphicsは、既存のSiemensのポートフォリオと非常に相補的な計算流体力学 (CFD) やデジタルマニュファクチャリングにも強みをもたらします。Siemens は、Mentorの機能をオーサリングツールのワークフローに迅速に統合するよう取り組んでいます。さらに、MentorのDr. Walden (Wally) C. Rhines (Mentor社長兼CEO) は、EDAの競合他社とは異なり、ツールだけでなく、システム周りの仕事から収入の50%以上を得ていることを強調しました。この強みは、Siemensのシステムビューに完全に合致し、ワークフローやデジタルツインにエレクトロニクスを組入れるための視野を広げるためのさらなるツールをもたらします。CIMdataは、1年以上前に開始したSiemensとMentorの統合イニシアチブが、買収以来スムーズに移行し、加速し、クロスドメインのエレメカ生産のデジタルツインの実例を生み出したことに感銘を受けました。(セッションの中で、買収が確定する前にパートナーとの間でコラボレーションの強さが増し、実行後すぐに簡単に移行できるようになったことが明らかになりました。) CIMdataの市場調査に基づいて、Siemens / Mentorのコンビネーションは、2017暦年の最大のPLMソリューションプロバイダーであるでしょう。

 CIMdataの世界的なPLM市場調査に示されているように、Siemensは自動車業界のリーダーであり、同社が引き続き強化している強みです。自律走行車両は、妥当性確認を実行するために試験からシミュレーションに移行してしています。SiemensのCEO兼社長を務めるTony Hemmelgarn氏は、基調講演で、自律走行車両が直面するすべての可能な状況をサポートするために大規模な妥当性確認と検証 (V&V - validation and verification) サイクルが必要であると述べました。何十億時間もの物理的な妥当性確認を実行することは不可能であり、シミュレーションがさらに重要なものになっています。CIMdataでは、シミュレーションが物理的な試験を排除するとは考えていませんが、ハードウェアインザループ (HIL) やソフトウェアインザループ (SIL) と組み合わせることで、より包括的かつ迅速な妥当性確認と検証プロセスをサポートすることができます。

 このイベントの中で、Siemensは最近、自動運転ソリューションのグローバルリーダーであるTASS Internationalを買収したことに述べました。この買収により、同社の自動車分野におけるシミュレーションおよび試験サービスの能力がさらなる強化となります。 TASSの顧客リストには、Tier 1およびTier 2の多くのサプライヤーだけでなく、世界の大半の自動車OEMが含まれています。自動車はTASSに焦点を当てていますが、同社は大手航空宇宙業界の多くの顧客を抱えており、航空宇宙および防衛分野でのSiemensのグローバルビジネスとの素晴らしい相乗効果もあります。CIMdataは、TASSの買収は、Simcenterのビジョンとその関連機能を拡張に役立つもう1つの選択肢と考えます。CIMdataは、自律走行車両と他の複雑なシステム製品の両方で、Siemensが顧客のV&Vプロセスを改善に役立つことも期待しています。

 今日のスマートでつながれた世界では、企業は生き残るために適応しなければなりません。 ある種はデータを新しい石油として、ビジネスを成功する潤滑油やパワーとして話しています。Hemmelgarn氏は、「Digitalization Changes Everything, Everywhere (デジタリゼーションは、あらゆる場所で、あらゆるモノに変化を起こす) 」と題する氏の発言では、問題を特定するためのデータ収集だけでは不十分であると強調しました。

 残念ながら、これは多くのソリューションプロバイダの価値提案で留まることです。みなさんは問題を解決する方法も特定する必要があります。Siemensは、現実と運用結果を正確に予測することができる総合的なデジタルツインアプローチと関連する有効化技術を使用して、製造業者に適切な解決策を促す計画しています。この特徴的な目標を達成する1つの方法は、サービスの適応・順応だけでなく、実際の製品や生産設計の変更を引き起こす情報を提供するMindSphereプラットフォームを使用することです。多くのソリューションプロバイダーはこのニーズを理解していますが、ほとんどは単にこの情報が製品のライフサイクルプロセスにどのようにそして何時フィードバックするかの詳細に以前として正しています。

 Siemensによると、MindSphereは、図に示すように、システム主導による製品開発の基盤を提供します。Cloud and Data Servicesのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであるStephen Bashada氏は、MindSphereとその関連製品とサービスを発表しました。MindSphereは、platform as a service (PaaS) として提供される「クラウドベースのオープンなIoTオペレーティングシステム」として位置付けられています。MindApps は、MindSphere基盤上で動作するアプリケーションをサポートしています。製品、マシン、アセット、およびエッジデバイスは、MindConnect 組込みソフトウェアを使用するか、専用の統合されたデバイスとしてMindSphereプラットフォームに簡単に接続できます。Bashada氏によると、SiemensにはMindAppsのスイートがあり、アプリケーションとサービスを提供するオープンなパートナーエコシステムがあります。同社は、製品ライフサイクル全体にわたる継続的な品質改善のために稼働しているMindSphereとアナリティクスとのデジタルツインループを閉じる方法を明らかにしました。同社はMindSphereに大きく投資しており、.Bashada氏は、このアプローチの価値を実証しているMindSphereを運用中のビジネスケースをいくつか紹介しました。Siemens AGは、IoTデバイスのソフトウェアプロバイダー、製造業者、ユーザーとしての地位を確立しています。CIMdataは、この組合わせが、Siemensが全体的なデジタルツイン戦略を完全に実現するのに役立つと考えています。Siemensの顧客であるRittal社は、MindSphereの情報を活用して、社のマシンの稼動時間とデザイン・設計を改善する方法について説明しました。

 製品の設計方法は、新しいデザイン・設計や製造の要件を満たすために、スマートで接続された世界に変化しなければなりません。Product Engineering SolutionsのシニアバイスプレジデントであるBob Haubrock氏は、「NXによる次世代設計」を強調しました。Haubrock氏は、「Ideation, Realization, and Utilization」という幅広いSiemensの戦略的ポジションに合わせて、ジェネレーティブデザインプロセスによってサポートされるアイディエーションにおける社の進展状況を話しました。Parasolidのジオメトリカーネルにファセットされたジオメトリを追加することで、「コンバージェントモデリング」アプローチが拡張され、古典的なB-repデータと混合するためにスキャニングあるいはトポロジ最適化プロセスのファセットされたデータを混在させることで、デザイン・設計から製造までのスムーズで統合されたワークフローを提供するための拡張をしました。Haubrock氏が進行中のNXの改善について概説した第2の重要なテーマは、ドメイン横断であるプリント基板 (PCB) の統合とワイヤ・ハーネス設計をサポートするための新たに取得したMentorの電気設計能力との統合でした。Siemensが提示した最も興味深い進歩の1つは、Capital (Mentorスイートの一部であるコンテキストを意識した (context-aware) 電気設計とレイアウトソリューション) をTeamcenterとNXに統合することでした。TeamcenterのActive Workspaceユーザーインターフェイス (UI) は、すでにCapitalに統合されています。この統合は、電子サブシステムを含む個別製品の設計を円滑にするのに役立ちます。これらのデザイン・設計の進歩は、Solid Edgeのポートフォリオにも拡大しています。

 Vice President Product DevelopmentのDan Staples氏は、Solid Edgeの最新リリースであるSolid Edge ST10の機能強化を発表しました。NXにおけるジェネレーティブデザインと並んで、Solid Edge ST10は、特定コンポーネントの材料、デザインスペース (エンベロープ) 、および許容される負荷および制約などのような、指定されたパラメータに基づいてユーザーにトポロジの最適化を提供するためにコンバージェントモデリングの利点も利用しています。社のスキャン技術を活用するためのBentley Systemsとのパートナーシップは、Solid Edge ST10がリバースエンジニアリング機能を改善・強化し、加えてコンバージェントモデリングを活用を提供するものです。CIMdataは、ジェネレーティブデザインとリバースエンジニアリングのタスクの改善されたワークフローをユーザに提供するための一歩としてこれらの機能拡張を見ています。

 ジェネレーティブデザインの主要な用途の一つは、アディティブマニュファクチャリング IAM) の実生産の使用を支援するこというもう一つの重要なトレンドであります。Siemensは、Siemens Corporate Technology グループが実施しているAM作業を活用して、この分野でかなりの間、努力してきました。氏の発言の中で、Hemmelgarn氏は、Siemens NX Additive Manufacturing機能とHPのMulti-Jet Fusionプリンタを結びつけるHPとの関係を発表しました。その後のセッションでは、SiemensのSenior Director of MarketingのAaron Frankel氏は、最終用途部品の生産におけるAMの工業化の障壁を含む、エンドツーエンドのAM戦略の詳細を提供しました。氏はまた、メンバーのエコシステムがグローバルに部品の設計、分析、検証、ソーシング、および印刷を可能にする “Part Manufacturing Platform” を紹介しました。このプラットフォームは、メンテナンス向けに絞ったオンデマンド設計と製造や少量生産の状況などのための柔軟なインフラを提供します。Frankel氏は、NX AMソフトウェアモジュールの紹介で氏のプレゼンテーションを終え、ビルドトレイでの自動部品ネスティングを含め、エンドツーエンドシミュレーションを使用してNXがアディティブマニュファクチャリングのためのデザイン・設計 (DfAM - Design for Additive Manufacturing) をサポートする方法を紹介しました。Frankel氏は、HPのMulti Jet Fusion技術を特に活用した「HP Multi Jet Fusion用NX AM」製品を発表しました。 Siemens PLM SoftwareとHPが署名した認証契約 (certification agreement) は、NX / HPの組み合わせに対するユーザーの信頼を高め、市場でのHP Multi Jet Fusion (MJF) 技術の採用を推進するのに役立ちます。

 HP Inc.の3D印刷のグローバルヘッド、Michelle Bockman氏は、HPのMJFテクノロジーの概要を説明しました。Bockman氏は最近GE DigitalからHPに入社し、エグゼクティブバイスプレジデントとしての経験を活かして、HPのAM Printing事業をリードし、拡大する手助けをしなければなりません。Bockman氏は、印刷中に産業用インターネット(IIoT)デバイスが組み込まれたシンプルな機械部品の設計と製造を示すことで、Siemensと提携した例を締めくくりました。 この例は、AMがIIoTを可能にする方法を強調し、生産設備の先制的な保守を可能にする実際のビジネスインテリジェンス情報(すなわち、サイクル数、摩耗など)を提供する。 このプレゼンテーションでは、SiemensとHPの戦略的関係が最終用途部品の生産のためにAMを工業化する方法が強調されました。

 最後に、Siemensは電子製造業をサポートするMentorの強みをTecnomatixポートフォリオに統合することで急速に進展しています。SVP Manufacturing Engineering Softwaren、SVPのZvi Feuer氏、SVP Manufacturing Operations Management SoftwareのRene Wolf氏、そしてMentorのValor部門のGMのDan Hoz氏は、Siemensが伝統的なメカニカルな製造ワークフローと電子のワークフローをどのように組合わせることができるかについて発表しました。例えば、ValorはTecnomatixの工場の作業現場の既存の強みにPCBを追加します。Flomericsは、製品の製造とその操作いずれをもシミュレートするためにCFDを適用して機能を追加します。これは、Siemensが全体的なデジタルツインを実行するための社のビジョンと能力を如何に拡大しているかのもう一つの例です。

 すべてのアナリストイベントと同様に、Siemensは、顧客各社を独自のデジタルへの道筋、各社が直面している課題・問題、またそれらに対処するためのSiemensのソリューションを如何に利用しているかについて議論をする顧客を得ました。例えば、Rolls-RoyceのCivil Aerospace,のEnterprise Architect、Alan Wardle氏は、社のクローズドループでの製造の道筋を説明しました。氏は、21のMESに対応しているプラントについて、ERP中心の実行システムではなく、PLM中心の実行システムを望んでいると述べました。Wardle氏によると、品質と安全性がドライバーであり、最初はエンジニアリングで定義され、そして工場フロアへと移行しました。Wardle氏は、Rolls-Royceは長年必要としていた最適化とバリエーションのためにデジタルツインを使用しているとコメントしました。その全体的なソリューションには、Teamcenter (PLM用) とSIMATIC IT (MOM用) が含まれます。氏は、CIMdataの産業コンサルティングの長い指針であるまずは人につぎ込む、そして必要とする技術を選択し実装することが重要な教訓であると述べました。

サマリー

 CIMdataは、Siemensが組立てた広く深いソリューションのポートフォリオに感心しています。同社は、ライフサイクル全体にわたって価値を提供する技術とソリューションを開発し/または買収し、メカニカル、ソフトウェア、および電気および電子のサイロを接続するために使用できる技術とソリューションを開発および/または取得しています。これらの製品は、図1に示すようにアイディエーション、デザイン・設計、開発・展開、シミュレーション、妥当性確認・検証、製造、そしてサービスにわたって、アイディエーションから要件管理、PCB、半導体、ワイヤーハーネス、ソフトウェア、メカニカル、電気システムをサポートするシステムエンジニアリングまでに網羅して提供しています。同社は、企業が製品をモニタリングするだけではなく、デザイン・設計、開発・展開、生産、そしてサービスを改善するための確かなる情報に基づく是正措置を取るためのクローズドループ環境を創生するための社の実践的で、全体論的なデジタルツインの定義を使用しています。CIMdataは、このようなプラットフォーム思考のみが、シミュレーションが中心的役割を果たし、システム主導による製品開発を可能にする適切なモデルベースのデザイン・設計コンセプトアプローチを可能にすることに同意するものです。それらの包括的かつ構造化されたプラットフォームアプローチには、ドメイン特有の処理および物理特有の実行をサポートするドメイン固有のプロセスに対するクラウドサービス層 (OmneoおよびMindSphere) およびコラボレーションバックボーン (Teamcenter) などの基本要素が含まれます。Siemensと同じくらいの大企業であっても、このような仕事を一社で行うことはできません。イノベーションとテクノロジーの両方の採用をサポートするため、Siemens AGは、Mrosik氏によって述べられたベンチャー企業のプロバイダやパートナーのエコシステムを拡大するインキュベータとして “Next 47” を制定・確立しました。CIMdataはこれがSiemensの技術とソリューションの新しく拡張された用途をもたらすことになる大変興味深いアイデアだと考えています。

 Siemensは大きな進歩を遂げていますが、依然として多くの課題もあります。CIMdataは、Siemensがいつどのようにして社のスイートをフル活用するのか楽しみにしています。

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